Qi2(チーツー)
WPC(Wireless Power Consortium)が2023年に策定したワイヤレス充電の次世代規格。Apple MagSafe由来のMPP(Magnetic Power Profile)をオープン標準として採用し、マグネットによる精密なコイル位置合わせで最大15Wの安定充電を実現する。
Qi2(チーツー)とは、WPC(Wireless Power Consortium)が2023年1月のCESで発表した次世代ワイヤレス充電規格である。最大の特徴はAppleがMagSafe技術をベースに提供したMPP(Magnetic Power Profile)の採用で、リング状マグネットによるコイルの精密位置合わせを規格として標準化した。
概要
Qi2は従来のQi規格(BPP: 5W / EPP: 最大15W)の後継として位置づけられ、2023年後半からiPhone 15シリーズが最初の対応デバイスとなった。2024年にはSamsung Galaxy S24シリーズ、Google Pixel 9シリーズもQi2対応を果たし、AndroidエコシステムでもMagSafe互換のマグネット充電が利用可能になった。
Qi2の規格体系は2層構造になっている:
- MPP(Magnetic Power Profile): マグネットアライメント対応。15W標準出力
- EPP(Extended Power Profile): 従来のQi EPPと互換。マグネットなしで最大15W
2025年6月にはQi2.2(v2.2)が発表され、将来的に最大50Wまでの出力拡張ロードマップが公開された。これにより有線急速充電との出力差が大幅に縮小する見込みである。
主な特徴・仕組み
- MPP(Magnetic Power Profile): Apple MagSafe由来のマグネットリング配列(直径56mm、36個のN52ネオジム磁石)を規格化
- コイルアライメント精度: 磁力による自動位置合わせで±1mm以内のアライメントを実現。手動配置時の±5mm誤差から大幅改善
- 伝送効率: マグネットアライメントにより充電効率80〜88%を達成。従来Qi(65〜75%)比で約15%向上
- FOD 2.0(Foreign Object Detection): 金属異物だけでなく導電性液体も検知する次世代FOD。応答時間200ms以下
- NFC統合: Qi2認証デバイスはNFC通信による認証ハンドシェイクを実施。偽造充電器による過電圧攻撃を防止
- 熱管理プロトコル: デバイス・充電器間で温度データをリアルタイム共有し、35℃超過で出力自動制限
- 後方互換性: Qi2 MPP充電器はQi1.x EPP/BPPデバイスも充電可能(マグネットなしで自動フォールバック)
- i2C通信拡張: 充電器とデバイス間の双方向通信帯域を拡張。充電状態・電池残量・最適出力レベルをネゴシエーション
- Qi2認証プログラム: WPCによる相互運用性テストに合格した製品にQi2認証ロゴを付与。2026年4月時点で認証製品は500機種超
対応デバイス一覧(2026年時点)
| デバイス | 対応規格 | 最大受電 | マグネット | 発売時期 |
|---|---|---|---|---|
| iPhone 16 Pro Max | Qi2 MPP / MagSafe | 25W(MagSafe) / 15W(Qi2) | 内蔵 | 2024年9月 |
| iPhone 15シリーズ | Qi2 MPP / MagSafe | 15W | 内蔵 | 2023年9月 |
| Samsung Galaxy S25 Ultra | Qi2 MPP | 15W | 内蔵 | 2025年1月 |
| Google Pixel 9 Pro | Qi2 MPP | 15W(Google充電器23W) | 内蔵 | 2024年8月 |
| OnePlus 13 | Qi2 EPP | 15W | 外付けケース | 2025年1月 |
| Nothing Phone (3) | Qi2 MPP | 15W | 内蔵 | 2025年3月 |
Qi2認証充電器の選び方
Qi2充電器を選ぶ際はWPCの公式認証(Qi2 Certified)マークを確認することが最重要だ。非認証品はFODやNFC認証が不完全で、過熱や互換性問題が発生する可能性がある。
チェックポイント:
- Qi2 Certifiedマーク(WPC公式サイトで製品検索可能)
- MPP対応(マグネットアライメント搭載)
- 出力W数(15W MPP標準、EPP互換モードの出力も確認)
- 過電流・過電圧・過熱保護の3重安全機構
- ファン内蔵モデルは冷却性能に優れるが動作音に注意
関連用語との違い
| 用語 | Qi2との関係 | 主な違い |
|---|---|---|
| Qi 1.x | 前世代規格 | マグネットアライメントなし。BPP 5W / EPP 15W |
| MagSafe | Apple独自実装 | Qi2 MPPの技術ベース。Apple製品ではMagSafe認証で25W対応 |
| AirFuel | 競合規格 | 磁気共鳴方式。WPCとは別団体が策定。普及は限定的 |
| PMA | 旧競合規格 | 2018年にAirFuelに統合され消滅 |
| USB PD | 有線急速充電規格 | 最大240W。ワイヤレスではなくUSB-C接続 |
よくある質問(FAQ)
Q1: Qi2とMagSafeの違いは何ですか? A: MagSafeはApple独自のワイヤレス充電仕様で、Qi2はMagSafe技術をベースにWPCがオープン標準化した規格である。Qi2 MPP充電器でiPhoneは15W、MagSafe認証充電器ではiPhone 16で最大25Wまで対応する。Android端末はQi2 MPP対応なら15Wで充電できる。
Q2: 古いQi充電器でQi2対応スマホを充電できますか? A: 充電可能だが、マグネットアライメントが効かないため位置ずれによる効率低下が起きやすい。またQi BPP充電器では5Wに制限される。Qi2対応充電器に買い替えることで充電速度と安定性が大幅に改善される。
Q3: Qi2は今後どこまで高出力化しますか? A: WPCのロードマップでは、Qi2.2で最大50Wまでの出力拡張が計画されている。2026年後半には30W対応の充電器が登場予定で、2027年には50W製品の認証開始が見込まれる。有線のUSB PD(45〜100W)には及ばないが、日常使用には十分な速度となる。
まとめ
- Qi2はApple MagSafe技術をオープン標準化した次世代ワイヤレス充電規格
- MPP(マグネットアライメント)により充電効率80〜88%、位置合わせ精度±1mmを実現
- iPhone/Samsung/Pixel等の主要スマートフォンが2024年以降順次対応
- Qi2.2では最大50Wロードマップが提示され、有線充電との差は縮小傾向
- 購入時はWPC公式のQi2 Certifiedマークを確認することが最重要