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Zip Drive(ジップドライブ)

米 Iomega が 1994 年発売の 100 / 250 / 750MB 容量リムーバブルストレージ。フロッピー後継 / CD-R 前駆として 1990 年代後半に大ヒット、Click of Death と呼ばれる故障問題で 2000 年代に急速に衰退した記録媒体。

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2026/5/9 更新
関連タグ
Storage
Iomega
Zip Drive
Removable
Floppy Successor
1994

概要

Iomega Zip Drive(イオメガ ジップ ドライブ)は、米 Iomega 社が 1994 年に発売した 100 / 250 / 750MB 容量のリムーバブル磁気ストレージです。Iomega は 1980 年に米ユタ州で創業した記録媒体メーカーで、Bernoulli Box(1982)・Bernoulli Box II(1989)等のリムーバブルストレージで業界に存在感を示していましたが、Zip Drive で本格的なコンシューマ市場へ進出しました。

最大の特徴は、当時主流のフロッピーディスク(1.44MB)の約 70 倍以上の容量を持ちながら、3.5 インチフロッピーよりわずかに大きい程度のコンパクトカートリッジに収まる点でした。CD-R / CD-RW(1990 年代後半に普及)登場前の「フロッピーの後継」として 1990 年代後半に大ヒットし、特に DTP / 印刷業界(Mac OS Classic ユーザー)のデータ受け渡し標準として君臨、印刷会社・デザイン事務所・大学生のレポート提出・写真データバックアップなど幅広く採用されました。

Mac / Windows 両対応で、外付け SCSI / パラレルポート(LPT)/ USB / 内蔵 IDE / 内蔵 ATAPI 等多彩なバリエーションが提供されました。1990 年代末には全世界で 5000 万台以上が出荷されたと言われ、Iomega は一時期売上 $20 億超の規模に達しました。

しかし、2000 年代に入ると問題が噴出しました。「Click of Death(死のクリック音)」と呼ばれる、ドライブヘッドのアライメント故障で連続的なクリック音とともにメディアを破損する深刻な品質問題が発生、集団訴訟にまで発展しました。さらに CD-R / DVD-R / USB フラッシュメモリ / SD カードの急速な台頭で Zip の優位性が失われ、2000 年代後半までに事実上市場から姿を消しました。Iomega 自身も 2008 年に EMC(現 Dell EMC)に買収されてブランド消滅、Zip Drive は 1990 年代後半 PC 史を象徴する記録媒体として記憶されています。

主な特徴・仕組み

  • 容量バリエーション: 100MB(初代、1994)→ 250MB(1999)→ 750MB(2002)。
  • 物理サイズ: カートリッジ 約 102 × 98 × 6mm、フロッピーよりわずかに大きい程度。
  • 接続方式: 外付け SCSI / パラレル(LPT)/ USB / FireWire、内蔵 IDE / ATAPI。
  • 転送速度: 1.4MB/s(初代)→ 2.4MB/s(250MB)→ 7.4MB/s(750MB)。
  • 書込回数: 約 1,000-10,000 回(メディア / 使用環境による)。
  • 互換性: 上位ドライブで下位メディア読込可(750MB ドライブで 100MB / 250MB 可)。
  • 主な OS 対応: Mac OS / Windows 95 / 98 / Me / 2000 / XP、後年 Linux も。
  • 価格(1996): ドライブ約 $200、メディア $20 / 100MB(現代換算で 約 ¥30,000 / ¥3,000)。
  • 出荷総数: 全世界で 5,000 万台以上(1994-2010)。

主要 1990 年代リムーバブルストレージ比較

製品容量公開年結末
Iomega Zip Drive100-750MB19942010 衰退
Iomega Jaz Drive1-2GB19962002 衰退
Imation LS-120 SuperDisk120MB19962003 衰退
Sony HiFD200MB19982001 大失敗
3.5" フロッピー1.44MB19812010 終焉

自作PCユーザー向けの注意点

Zip Drive は現在新規購入できませんが、レトロ自作 PC ビルダー(Mac OS Classic / Win98 環境)には今も人気のあるリムーバブルストレージです。中古市場では Zip 100 / 250 / 750 ドライブが ¥3,000-10,000、メディアは ¥500-2,000 / 枚で流通中です。

注意点として、Click of Death 故障問題は今でも発生する可能性があるため、重要データの恒久バックアップには使えません。レトロ PC データの一時的な交換 / レトロ環境の体験再現用途に留めるのが無難です。Mac OS Classic でのデータ転送ニーズには Zip が今も最も実用的な選択肢で、当時のクラシック環境を完全再現するならドライブ + メディア複数枚の確保が推奨されます。

関連用語との違い

  • Iomega Jaz Drive(1996): 同じ Iomega の上位リムーバブル、容量 1-2GB の HDD カートリッジ式。
  • LS-120 SuperDisk(1996): Imation の Zip 競合、120MB + フロッピー互換。
  • Sony HiFD(1998): Sony の Zip 競合 200MB、初期不良で大失敗。
  • USB フラッシュメモリ(2000): Zip を駆逐した後継、容量 / 速度 / 信頼性すべてで上回る。

よくある質問(FAQ)

Q1: Click of Death とは何ですか? A: Zip Drive のヘッドがメディアと干渉してアライメントを失い、連続的なクリック音とともにメディア / ドライブの両方を破壊する故障モードです。1990 年代末から問題が深刻化、Iomega は集団訴訟を抱えました。

Q2: 現代の PC に Zip ドライブを接続できますか? A: USB 接続版なら現代 Windows / Mac でドライバ次第で動作可能です。SCSI / パラレル接続版は古い PC が必要、IDE 内蔵版は古い PC ケースに装着して使う必要があります。

Q3: Zip メディアは現代でも入手可能ですか? A: 新品メディアの製造は終了しています。中古 / 在庫処分品が eBay / メルカリで稀に出回りますが、状態の良し悪しが激しく、保管環境が劣悪なものは即破損の可能性があります。

まとめ

  • Iomega 1994 年発売、100 / 250 / 750MB のリムーバブル磁気ストレージ
  • フロッピー後継 / CD-R 前駆として 1990 年代後半に大ヒット
  • Click of Death 故障 + USB / CD-R 台頭で 2000 年代に衰退
  • 1990 年代後半 PC 史を象徴する記録媒体
この記事について
カテゴリーストレージ
難易度上級
作成日2026/5/9