熱風を噴出して熱収縮チューブの収縮、塗料剥がし、樹脂の曲げ加工などを行う電動工具。温度調整機能付きのモデルが電子工作・自作PC用途に適しており、100〜600℃の範囲で精密な加熱作業が可能。
ヒートガン(Heat Gun)は電熱ヒーターとファンを内蔵し、高温の熱風を集中的に噴射する電動工具である。工業用ドライヤーとも呼ばれ、熱収縮チューブの施工、塗装の剥離、樹脂板の曲げ加工、接着剤の軟化除去、凍結パイプの解凍など多目的に使用される。
ヒートガンの性能を決める3つの要素は温度範囲・風量・ノズル形状である。
| スペック | エントリー機 | ミドル機 | プロ用 |
|---|---|---|---|
| 温度範囲 | 300/600℃ 2段切替 | 50〜600℃ 無段階 | 50〜750℃ デジタル |
| 風量 | 250〜500 L/min | 200〜500 L/min 可変 | 150〜600 L/min 可変 |
| 消費電力 | 1,000〜1,500W | 1,500〜2,000W | 2,000〜2,300W |
| 価格帯 | 1,500〜3,000円 | 4,000〜8,000円 | 10,000〜25,000円 |
| おすすめ用途 | 熱収縮チューブ専用 | 電子工作全般 | 産業・建築 |
自作PCの配線加工やスリーブ処理が主目的なら、温度調整付きのミドル機で十分である。
対象素材ごとの推奨温度は以下のとおりである。
| 作業内容 | 推奨温度 | 距離 |
|---|---|---|
| ポリオレフィン熱収縮チューブ | 200〜300℃ | 5〜10cm |
| フッ素樹脂熱収縮チューブ | 350〜400℃ | 3〜5cm |
| はんだ入りコネクタ | 250〜350℃ | 3〜5cm |
| 塗料剥がし | 400〜600℃ | 2〜5cm |
| アクリル板曲げ | 150〜200℃ | 10〜15cm |
多くのヒートガンに付属するノズルの種類と用途を示す。
ヒートガンは家庭用ドライヤーの数倍の温度に達するため、以下の点に留意する。
| 加熱手段 | 温度精度 | 安全性 | コスト | 向き不向き |
|---|---|---|---|---|
| ヒートガン | ◎ | ○ | 中 | 最も推奨 |
| ライター | × | △ | 安 | 煤・ピンホール発生で非推奨 |
| ヘアドライヤー | △ | ◎ | 安 | 温度不足で収縮不完全 |
| はんだごて | △ | △ | 中 | 局所加熱で非均一 |
| 工業用オーブン | ◎ | ○ |
温度調整(少なくとも2段階以上)と1,200W以上の出力があれば、ポリオレフィン製熱収縮チューブの施工に困ることはない。無段階調整付きなら繊細な作業にも対応できる。
マキタやボッシュから18Vバッテリー式が販売されているが、最高温度が500℃前後に制限され連続使用時間も短い。屋外作業には便利だが、卓上での電子工作にはAC電源式が安定する。
専用のリワークステーションに比べて風量制御とノズル精度が粗く、周辺部品への熱ダメージを避けにくい。緊急用途では可能だが、ICリワーク専用機の使用が推奨される。
| 高 |
| 大量生産向け |