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熱伝導率(ネツデンドウリツ)

物質内部の温度勾配に対する熱エネルギーの伝達しやすさを表す物性値。単位はW/m·K(ワット毎メートル毎ケルビン)で、値が大きいほど熱を効率よく伝える。サーマルペーストやヒートシンク素材の性能評価において最も重要な指標の一つ。

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熱伝導率とは

熱伝導率(Thermal Conductivity)は、物質が熱エネルギーをどれだけ効率的に伝えるかを示す物性値である。フーリエの法則に基づき、単位面積あたりの熱流束が温度勾配に比例する際の比例定数として定義される。単位は W/m·K(ワット毎メートル毎ケルビン)で、1メートルの厚さの物質を通して1K(ケルビン)の温度差あたりに流れる熱流が1ワットであることを意味する。

PC自作や電子機器の放熱設計において、熱伝導率はヒートシンク素材、サーマルペースト、サーマルパッド、基板材料など、あらゆる放熱コンポーネントの性能を決定する基本パラメータである。

PC関連素材の熱伝導率一覧

素材熱伝導率 (W/m·K)用途
ダイヤモンド900-2300高性能フィラー(粉末)
銅 (Cu)401ヒートパイプ、ベースプレート
アルミニウム (Al)237ヒートシンク本体
銀 (Ag)429銀ペースト、接点
窒化アルミニウム (AlN)150-200セラミック基板
シリコン (Si)149CPUダイ
液体金属(Ga合金)40-80最高性能TIM
銀配合ペースト8-15高性能サーマルペースト
セラミックペースト3-8汎用サーマルペースト
シリコンゴム0.2-0.5サーマルパッドのベース材
空気0.026断熱材(排除すべき対象)

放熱設計における熱伝導率の役割

CPUからヒートシンクまでの熱経路を考えると、全体の放熱性能は各層の熱抵抗の合計で決まる。

CPU ダイ(149 W/m·K、0.3mm)
  ↓ はんだ/TIM1(20-50 W/m·K、0.05mm)
IHS(銅: 401 W/m·K、2mm)
  ↓ サーマルペースト/TIM2(1-15 W/m·K、0.05mm)
ヒートシンクベース(銅/アルミ: 237-401 W/m·K)
  ↓ ヒートパイプ(銅: 401 W/m·K + 蒸気相変化)
フィン(アルミ: 237 W/m·K)
  ↓ 空気(0.026 W/m·K → ファンで対流促進)

このチェーンの中で最も熱伝導率が低い層がボトルネックとなる。TIM2(サーマルペースト)の熱伝導率は1-15 W/m·Kと、前後の金属に比べて1-2桁低いため、ここが全体の放熱性能を最も大きく左右する。

測定方法

熱伝導率の測定には複数の規格化された方法がある。

レーザーフラッシュ法(LFA)

JIS R 1611 / ASTM E1461 準拠。試料の片面にレーザーパルスを照射し、反対面の温度上昇の時間変化から熱拡散率を求め、密度と比熱から熱伝導率を算出する。薄いシート状試料(サーマルパッドなど)の測定に適する。精度は±5%程度。

ホットディスク法

ISO 22007-2 準拠。センサーディスクを2枚の試料で挟み、センサーの加熱と温度応答から熱伝導率を直接測定する。バルク素材の測定に広く使われ、サーマルペーストのメーカー公表値の多くはこの方法で測定されている。

定常法

ASTM D5470 準拠。サーマルペースト/パッドの実使用条件に最も近い測定法で、一定の荷重で挟んだ状態での接触熱抵抗を測定する。メーカー公表の「バルク熱伝導率」と実使用時の性能が乖離する原因を評価できる。

温度依存性

多くの素材の熱伝導率は温度に依存する。金属は温度上昇とともに熱伝導率が低下する(銅は25℃で401 W/m·K、100℃で395 W/m·K)。一方、サーマルペーストは温度上昇で粘度が下がり界面への密着が改善されるため、実効的な熱伝導性能がやや向上する場合がある。

FAQ

熱伝導率が高いサーマルペーストほど冷えますか?

傾向としては正しいが、実測温度との相関は完全ではない。バルク熱伝導率はペースト素材の性質であり、実際の冷却性能は塗布厚さ、接触圧、表面粗さ、ポンプアウト耐性など多くの要因に依存する。熱伝導率12 W/m·Kのペーストが8 W/m·Kのペーストより1-3℃しか優位にならないケースは珍しくない。

アルミと銅のヒートシンクはどちらが良いですか?

銅(401 W/m·K)はアルミ(237 W/m·K)の約1.7倍の熱伝導率を持つが、密度が3.3倍(8,960 vs 2,700 kg/m³)で重く、価格も高い。タワー型空冷クーラーではベースプレートに銅、フィンにアルミを使うハイブリッド構造が最も一般的で、コスト・重量・性能のバランスが良い。

なぜ空気は断熱材なのですか?

空気の熱伝導率は0.026 W/m·Kと、銅の約15,000分の1しかない。気体は分子間距離が大きく、熱エネルギーの伝達が分子の衝突に依存するため効率が極めて低い。これがサーマルペーストで空気層を排除することの重要性の物理的根拠である。