ノートPCやモニターの内蔵Webカメラレンズを物理的に覆い隠すスライド式の小型カバー。指一本でスライドするだけでカメラの開閉を切り替えられ、ソフトウェアのハッキングでは回避できない物理的なプライバシー保護を提供する。
Webカメラカバー(スライド式)は、ノートPCやデスクトップモニターに内蔵されたWebカメラのレンズを物理的に遮蔽する超薄型のスライド機構付きカバーである。2016年にMark ZuckerbergがノートPCのカメラにテープを貼っている写真が話題になって以来、テープの代替としてスライド式カバーが急速に普及した。
OSの設定でカメラを無効化しても、高度なマルウェア(RAT: Remote Access Trojan)はカメラドライバを直接操作してインジケーターLEDを点灯させずに撮影する攻撃が確認されている。物理カバーはこうしたソフトウェアレベルの攻撃を完全に無効化する。
カメラ動作中にLEDが点灯する仕様は多くのPCに搭載されているが、一部のマルウェアはLED制御を迂回できることが研究で示されている。物理カバーはLEDの有無に依存しない確実な対策である。
| タイプ | 厚み | 取り付け | 開閉方式 | 価格帯 |
|---|---|---|---|---|
| 超薄型スライド(0.7mm) | 0.7mm | 粘着テープ | スライド | 200〜800円 |
| 標準スライド(1.0mm) | 1.0mm | 粘着テープ | スライド | 300〜1,200円 |
| マグネット式 | 1.5mm | 磁石 | 着脱 | 500〜1,500円 |
| シャッター内蔵(PC組込) | - | 内蔵 | スライド/ボタン | PC本体価格に含む |
ノートPCのディスプレイは閉じたときのクリアランスが極めて小さい(0.5〜2mm)。厚いカバーを貼るとディスプレイが完全に閉じなかったり、キーボード面に圧痕が残る場合がある。0.7mm以下の超薄型モデルが推奨される。
安価な製品は粘着力が弱く数ヶ月で脱落したり、逆に粘着力が強すぎて剥がす際にベゼルの塗装を傷めることがある。3M製粘着テープ採用品は再剥離性と耐久性のバランスが良い。
近年のノートPCはカメラ位置が多様化している。ディスプレイ上部中央が主流だが、ディスプレイ下部(Dell旧モデル)やキーボード面(一部Lenovo)に搭載される機種もあり、カバーの適合を確認する必要がある。
Webカメラカバーの専業メーカーで、厚さ0.7mmの超薄型モデルが主力製品。MacBook専用設計の製品も展開しており、True Toneセンサーへの干渉を最小限に抑えた形状が特徴である。
PC周辺機器大手が展開するWebカメラカバーシリーズ。3個セットのマルチパック(AWH025GL)が法人向けに人気で、IT部門がまとめ購入して従業員に配布するケースが多い。
Lenovo ThinkPadシリーズに内蔵された純正カメラシャッター。後付けではなくベゼルに組み込まれたスライド機構で、ディスプレイの閉開に一切影響しない。
Apple は MacBook のディスプレイにカメラカバーを貼ることを公式に非推奨としている。MacBookのディスプレイとキーボード間のクリアランスは非常に狭く、カバーの厚みでディスプレイが損傷する事例が報告されている。0.1mm以下の超薄型フィルム、またはApple純正のカメラインジケーター(緑色LED、ハードウェア直結で迂回不可)への信頼が推奨される。
機能的には問題ないが、テープの粘着剤がレンズに付着して画質が劣化したり、剥がした際にレンズに残渣が残る問題がある。スライドカバーは繰り返し開閉してもレンズを汚染しない設計である。
カメラカバーはレンズのみを覆うため、マイクは遮断されない。マイクの物理的な遮断には別途マイクブロッカー(3.5mmダミープラグ)や OS レベルでの無効化が必要である。
外付けWebカメラには物理シャッターが内蔵された製品(Logitech C920sなど)を選ぶのが合理的である。後付けスライドカバーも使用可能だが、外付けカメラはUSBケーブルを抜くだけで完全に無効化できる。