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IoTデバイスを安全に運用するためには、VLAN(Virtual LAN)を用いてネットワークを分離することが有効です。ただし、VLANはレイヤー2(L2)レベルでの分離であるため、異なるVLAN間の通信を制御するにはルーターによるレイヤー3(L3)での制御、つまりファイアウォールによるルール設定が不可欠です。
ネットワークを分離する目的によって、適切な設計が異なります。以下の表は、一般的なネットワーク構成の例です。
| セグメント名 | 主な用途 | セキュリティ要件 |
|---|---|---|
| 信頼できるLAN | PC、スマートフォン、NASなどのメイン端末 | 他のセグメントからのアクセスを制限し、高い信頼性を確保する |
| IoTセグメント | スマート家電、カメラ、センサー類 | インターネットへの通信のみを許可し、メインLANへのアクセスを遮断する |
| ゲストセグメント | 来客用Wi-Fi、一時的な利用端末 | 家庭内LANへの接続を拒否し、必要な外部通信だけ許可する |
ネットワークを設計する際は、既存のネットワークアドレスと重複しないように新しいサブネットを割り当てる必要があります。以下は、設計の検討に用いる架空の構成例です。
具体的なネットワーク構成については、自宅ネットワーク構成図の描き方 を参考に設計を進めてください。
VLANによる分離を実現するには、対応するハードウェアと適切なポート設定が必要です。
スイッチやAPのポート設定では、以下の2つのモードを区別して設定する必要があります。
設定時には、各ポートがどのVLANに属するかを示す「PVID(Port VLAN ID)」が正しく設定されているかを確認してください。
VLANで分離されたネットワーク間をどのように制御するかは、ファイアウォールの設計に依存します。ここでは、pfSenseを例に、そのルール設計の考え方を説明します。
ファイアウォールのルールを適用する際は、以下の原則に従います。
IoTデバイスがメインのネットワークに干渉しないよう、以下の順序でルールを構成することが推奨されます。
なお、この設計はIPv6環境においても同様に適用する必要があります。 pfSense公式ガイドのルール設計 通常のインターフェースルールの例です。Floatingルールやインターフェースグループのルールがある場合は、それらが先に評価されるため、既存ルールも確認してください。出典:pfSense公式ガイドの評価順序。 pfSense公式ガイドのVLAN設定
VLANによってネットワークを分離すると、mDNS(multicast DNS)などのマルチキャストプロトコルがサブネットの境界を越えられなくなる問題が発生します。
これにより、以下のような現象が起こる可能性があります。
これに対処する場合、すべての通信を全面許可するのではなく、機器がmDNSに対応しているかを確認するか、必要な通信のみを中継する仕組みを個別に検討してください。
ネットワークの再設計は、設定ミスによって通信が途絶えるリスクを伴います。安全に実装するために、以下の手順と対策を推奨します。
編集部では、インターネットへつながることだけを成功条件にせず、IoT端末からPC・NAS・管理画面へ接続できないことも確認します。端末間だけを遮断するClient Isolationは、家庭内LANへの遮断と同じ意味とは限りません。機種の説明を確認してください。
| 起点 | 宛先 | 期待する結果 | 確認すること |
|---|---|---|---|
| IoT端末 | 指定DNS | 必要な名前解決ができる | 宛先IPとDNSのログ |
| IoT端末 | 信頼LANのPC | 接続できない | 対象サービスと拒否ログ |
| IoT端末 | 管理画面 | 接続できない | HTTP/HTTPSと管理用ポート |
| 管理PC | 許可したIoT機器 | 必要な操作だけできる | 個別の例外ルール |
| ゲスト端末 | NAS | 接続できない | IPv4とIPv6の両方 |
Pingの不応答だけではサービスへの接続が遮断された証拠になりません。通信が許可されすぎた場合は、新しいルールの適用を止め、記録した設定へ戻します。編集部では一台だけを先に移し、操作・更新・再起動後の再接続まで確認してから残りを移すことを勧めます。Wi-Fi側の切断はチャンネルと電波干渉の確認も併せて切り分けてください。
設定後に通信がうまくいかない場合は、以下の点を確認してください。
A1: いいえ。VLANはL2レベルの分離であり、ルーター(L3)がVLAN間通信を許可する設定になっている場合、通信は通過します。必ずファイアウォールでのルール設定が必要です。
A2: 通信がルーターに入ってくる側のインターフェースに対して設定します。
A3: DNSやNTPといった、デバイスが動作するために必要な通信を許可した上で、インターネットへの通信を許可する設定が必要です。
A4: 設定変更前に設定をエクスポートしておくか、管理用の有線ポートを分離せずに残しておくことで、復旧を容易にできます。
A5: 全面的な許可はセキュリティを低下させます。機器の対応状況を確認するか、必要な通信のみを個別に検討してください。

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