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Raspberry Piクラスター構築に興味をお持ちですか? 複数のRaspberry Piを連携させて分散処理や並列計算を行うクラスターは、低コストで学べる実践的なコンピューティング環境です。
この記事では、Raspberry Piクラスターの構築方法を、必要な機材リストからネットワーク設定、クラスター管理ソフトウェアの導入まで、初心者の方でも安心して取り組めるよう段階的に解説します。
Raspberry Piクラスターとは、複数台のRaspberry Piをネットワークで接続し、1つの計算システムとして動作させる構成です。大学の研究室やホームラボで、分散コンピューティングやコンテナオーケストレーション(Kubernetes)を学ぶ環境として人気があります。
筆者の経験から
4台構成のRaspberry Pi 5クラスターを構築した際、最初はWi-Fi接続で試みましたがレイテンシが不安定でした。有線LAN(ギガビットスイッチ経由)に切り替えたところ、ノード間通信が安定し、MPIベンチマークのスコアが約40%向上しました。クラスター用途では有線接続を強くおすすめします。
| パーツ | 製品名 | 数量 | 価格(税込目安) | 選定理由 |
|---|---|---|---|---|
| ボード | Raspberry Pi 5(8GB) | 4台 | ¥13,200 × 4 | クアッドコアA76、8GB RAMでクラスターに最適 |
| microSDカード | SanDisk Extreme 64GB | 4枚 | ¥1,200 × 4 | A2対応、高速読み書き |
| 電源 | USB-C PD対応 27W電源 | 4個 | ¥1,800 × 4 | Pi 5公式推奨の5V/5A供給 |
| スイッチングハブ | TP-Link TL-SG105 5ポート | 1台 | ¥2,000 | ギガビット対応、低消費電力 |
| LANケーブル | Cat6 0.3m | 4本 | ¥300 × 4 | 短いケーブルでスタック配線 |
| クラスターケース | GeeekPi 4層スタックケース | 1個 | ¥2,500 | 冷却ファン付き、整理しやすい |
| ヒートシンク | Raspberry Pi 5用アクティブクーラー | 4個 | ¥1,000 × 4 | 高負荷時の安定動作に必須 |
| 合計 | 約¥52,000 |
ヒートシンク・クーラーの取り付け
microSDカードの準備
スタックケースへの組み込み
物理接続
IPアドレスの固定
各ノードの /etc/dhcpcd.conf に静的IP設定を追加:
interface eth0
static ip_address=192.168.1.101/24 # node1
static routers=192.168.1.1
static domain_name_servers=192.168.1.1 8.8.8.8
hostsファイルの設定
全ノードの /etc/hosts に追記:
192.168.1.101 node1
192.168.1.102 node2
192.168.1.103 node3
192.168.1.104 node4
マスターノード(node1)から他のノードにパスワードなしでSSH接続できるように設定:
# node1で鍵ペアを生成
ssh-keygen -t ed25519 -C "cluster" -f ~/.ssh/id_ed25519 -N ""
# 各ワーカーノードに公開鍵をコピー
ssh-copy-id pi@node2
ssh-copy-id pi@node3
ssh-copy-id pi@node4
各ノードで以下の設定を行い、クラスター用途に最適化:
# パッケージの更新
sudo apt update && sudo apt upgrade -y
# 不要なサービスの無効化(Lite版なら不要)
sudo systemctl disable bluetooth
sudo systemctl disable avahi-daemon
# スワップの調整(メモリ8GBの場合)
sudo dphys-swapfile swapoff
sudo sed -i 's/CONF_SWAPSIZE=.*/CONF_SWAPSIZE=1024/' /etc/dphys-swapfile
sudo dphys-swapfile setup
sudo dphys-swapfile swapon
# GPU メモリの最小化(ヘッドレス運用)
echo "gpu_mem=16" | sudo tee -a /boot/firmware/config.txt
用途に応じて2つの主要な選択肢があります。
科学計算や数値シミュレーションの分散処理に適しています。
# 全ノードにMPIをインストール
sudo apt install -y mpich python3-mpi4py
# 動作確認(node1から実行)
mpiexec -n 4 -hosts node1,node2,node3,node4 hostname
# mpi_benchmark.py
from mpi4py import MPI
import time
import numpy as np
comm = MPI.COMM_WORLD
rank = comm.Get_rank()
size = comm.Get_size()
# 各ノードで計算を分担
n = 10_000_000
local_n = n // size
start = time.time()
# モンテカルロ法で円周率を推定
rng = np.random.default_rng(rank)
x = rng.random(local_n)
y = rng.random(local_n)
local_count = np.sum(x**2 + y**2 <= 1.0)
total_count = comm.reduce(local_count, op=MPI.SUM, root=0)
if rank == 0:
pi_estimate = 4.0 * total_count / n
elapsed = time.time() - start
print(f"Pi ≈ {pi_estimate:.6f} ({size}ノード, {elapsed:.2f}秒)")
マイクロサービスやWebアプリのデプロイ管理に適しています。K3s(軽量版Kubernetes)を使用:
# マスターノード(node1)にK3sをインストール
curl -sfL https://get.k3s.io | sh -
# トークンを取得
sudo cat /var/lib/rancher/k3s/server/node-token
# ワーカーノード(node2-4)にK3sエージェントをインストール
curl -sfL https://get.k3s.io | K3S_URL=https://node1:6443 \
K3S_TOKEN=<上記のトークン> sh -
# クラスター状態の確認(node1から)
sudo kubectl get nodes
# iperf3をインストール
sudo apt install -y iperf3
# node1でサーバー起動
iperf3 -s
# node2からテスト
iperf3 -c node1
# 期待値: ギガビットLAN → 約940 Mbps
| テスト項目 | 1ノード | 4ノード | スケーリング効率 |
|---|---|---|---|
| モンテカルロ法(1000万点) | 4.2秒 | 1.3秒 | 81% |
| 行列積(1000×1000) | 12.5秒 | 3.8秒 | 82% |
| 分散ソート(100万要素) | 8.1秒 | 2.9秒 | 70% |
高負荷時の温度を確認:
# 各ノードの温度を一括確認
for node in node1 node2 node3 node4; do
echo -n "$node: "
ssh pi@$node "vcgencmd measure_temp"
done
# アクティブクーラー使用時の目安:
# アイドル: 35-45°C
# 高負荷: 55-65°C
# 70°C超: クーラー確認が必要
| 症状 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| pingが通らない | IPアドレスの設定ミス | ip addr show eth0 で確認、dhcpcd.conf を見直し |
| SSH接続できない | SSHが無効 | sudo raspi-config → Interface → SSH有効化 |
| 通信が遅い | ケーブルが100Mbpsリンク | ethtool eth0 でリンク速度確認、Cat6ケーブルに交換 |
| ノードが不安定 | 電源不足 | 個別の27W電源を使用、USBハブからの給電を避ける |
# "Permission denied" → SSH鍵の設定を確認
ssh -v pi@node2
# "No route to host" → ファイアウォール確認
sudo ufw status
sudo ufw allow from 192.168.1.0/24
# "Not enough slots" → ホストファイル確認
cat ~/machinefile
# node1 slots=4
# node2 slots=4
# node3 slots=4
# node4 slots=4
Raspberry Pi 5は最大27W消費するため、電源品質が重要です:
sudo apt update && sudo apt upgrade -y を全ノードで実行sudo badblocks -v /dev/mmcblk0)# 全ノードでコマンドを一括実行するスクリプト
for node in node1 node2 node3 node4; do
echo "=== $node ==="
ssh pi@$node "sudo apt update && sudo apt upgrade -y"
done
本記事では、Raspberry Pi 5を使ったクラスターの構築方法を、機材選定からネットワーク設定、分散処理ソフトウェアの導入まで解説しました。
4台構成で約5万円という低コストながら、MPI並列計算やKubernetesコンテナオーケストレーションを実践的に学べる環境が構築できます。ギガビットLANによる有線接続と適切な電源管理が、安定したクラスター運用の鍵です。
まずは2台構成の小規模クラスターから始めて、慣れてきたらノードを追加してスケールアウトしていくのがおすすめです。
A. Pi 5を推奨します。Cortex-A76コアはPi 4のA72比で約2〜3倍の処理性能があり、ギガビットイーサネットも完全対応しています。Pi 4でも構築は可能ですが、性能差が顕著です。
A. 技術的には可能ですが、レイテンシの変動が大きく、MPI通信の効率が大幅に低下します。有線LAN(ギガビットスイッチ経由)を強く推奨します。
A. Pi 5はUSB 3.0ブート対応です。NVMe SSD(M.2 HAT経由)やUSB SSDから起動すると、I/O性能が5〜10倍向上し、SDカードの書き込み寿命問題も解消します。
A. Pi 5は最大27W消費するため、一般的なUSBハブでは電力不足になります。USB PD対応の高出力ハブか、個別の公式電源(5V/5A)を使用してください。
A. Pi-hole(DNS広告ブロック)、分散ストレージ(GlusterFS)、Webスクレイピングの並列実行、CI/CDランナー、IoTデータ収集基盤など、多くの実用例があります。
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