
PC 自作の世界において、空気冷却(エアクーリング)から水冷却へと移行する最大の理由は、静寂性、冷却性能、そして美しさです。2026 年現在でも、高性能なグラボや CPU を使用する場合、空気冷却では限界に近づいた熱排熱能力を、本格水冷は凌駕し続けています。特にオーバークロッキングや長時間のレンダリング作業を行うクリエイターやゲーマーにとって、カスタムループは単なるドレスアップではなく、システムの安定性を保つための重要な要素となっています。しかし、その構築には高い技術と時間が必要であり、初心者にとってはハードルの高い領域です。
空気冷却と比較した最大のメリットは、放熱効率の高さです。水は空気に比べて比熱容量が大きく、同じ体積あたりに運ぶことができる熱エネルギーが圧倒的に多いため、CPU や GPU の高負荷時でも温度上昇を緩やかに抑えられます。また、ラジエーターの面積を増やすことで、ファンの回転数を下げても同等以上の冷却性能を発揮できるため、静音性を追求するユーザーにとって不可欠な選択肢です。さらに、チューブやパーツの色・形状を自由に選べるため、PC ケース内の世界観を統一したオリジナルのインテリアとして仕上げることができます。
一方で、デメリットも明確に理解しておく必要があります。最も懸念されるのは「液漏れ」リスクであり、万が一の事態はハードウェアの破損につながる可能性があります。また、初期コストが非常に高く、単純な組み立て以上の知識(流体力学の基礎や素材の化学的性質など)を求められます。さらに、空気冷却に比べてメンテナンス頻度が高く、定期的な交換や清掃が必要となるため、手間暇がかかることも覚悟しておく必要があります。本ガイドでは、これらのリスクを最小限に抑えながら、安全かつ美しく本格水冷システムを構築するための実践的な知識を提供します。
本格水冷(カスタムループ)を構成する際に必要なパーツは、決して一つだけでなく、複数のコンポーネントが連携して初めて機能を果たします。まず、冷却液を送り出す「ポンプ」が存在し、これがループの心臓部として働きます。次に、気泡を分離し供給量を安定させる「リザーバー(タンク)」。そして、熱を外部へ逃すための放熱板である「ラジエーター」が主要な 3 大要素です。これらに加えて、CPU や GPU の表面に直接取り付けて熱を奪う「ウォーターブロック」、パーツ同士をつなぐ「フィッティング」、液を流すための「チューブ」、そして熱媒体そのものである「冷却液(クーラント)」が必要です。
各パーツには規格が厳密に定められています。例えば、フィッティングとウォーターブロックの接続部分は、国際標準である G1/4 ねじ山を採用しているか確認する必要があります。2026 年現在でも、この規格は互換性を担保する基盤として広く使われており、異なるメーカーのパーツを組み合わせる際の基準となります。また、ポンプには直結型と独立リザーバー型の二種類があり、リザーバー付きポンプは気泡混入を防ぐ役割も兼ねているため、初心者向けや静音性を求める場合に推奨されます。
[画像:本格水冷ループの主要パーツ図解(ポンプ、ラジエーター、ブロック、チューブなど)]
また、冷却液の種類によって選ぶべき材質が異なる点にも注意が必要です。例えば、金属製のパイプを使用する場合は腐食防止処理が施されている必要がありますし、プラスチック製の部品には化学反応による劣化を防ぐために専用の添加剤が含まれたクーラントを選定します。パーツ一覧を理解することは、設計段階で互換性を確保し、将来的なメンテナンスを容易にする基礎となります。特にリザーバーの容量は、システム全体の水量と密接に関係しており、過不足なく選定することが循環効率に直結します。
ポンプとリザーバーは冷却システムの循環力を生み出すエンジンであり、性能や静音性に直結する最重要パーツです。2026 年市場において主流となっているのは DDC(ダイレクトドライブ)シリーズや DCX シリーズなどの高耐久性ポンプで、これらは 5000rpm 付近まで回転数を制御可能で、静圧と流量のバランスに優れています。特に静音性を重視する場合は、PWM 制御に対応し、温度センサーと連動して回転数が自動調整されるモデルを選ぶのが賢明です。例えば、D5-DIY ベースのポンプは昔ながらの信頼性を持ち続けますが、最近では小型化された DDC-PUMP 3.2V などのコンパクト設計も人気を集めており、スペース効率を重視するケースには適しています。
リザーバー(タンク)の役割は単に冷却液を溜めるだけでなく、ループ内に混入した気泡を分離し、ポンプが空気を吸い込むのを防ぐ「デエアレーション」機能にあります。容量としては、200ml から 300ml が一般的ですが、システム全体のチューブ長やブロック数が多い場合は大容量(500ml 以上)を選定することで、冷却液の滞留時間を長くし、気泡を確実に分離できます。形状も重要で、円筒型は内部空間が広く効率的ですが、サイドマウント用の薄型モデルはケース内のレイアウト制約に柔軟に対応可能です。
[画像:高容量リザーバーと小型ポンプの比較イメージ]
また、ポンプとリザーバーを一体化したユニット(ポンプリザーバーコンボ)も存在します。これは組み立ての手間を減らし、配管の接続箇所を減らすことでリークリスクを低減するメリットがありますが、内部構造が複雑になるため、故障時の修理や清掃が難易度が高まるというデメリットがあります。初心者の方には、最初は別々のパーツで構成し、慣れてきたらコンボモデルを検討するのが安全なアプローチです。さらに、ポンプの取り付け位置は「重力」との関係で重要であり、可能であればリザーバーよりも高い位置にポンプを配置することで、自然対流による気泡排出が促進されます。
ラジエーターは水冷システムの肺臓部であり、ファンから送り込まれた空気との熱交換効率を決める重要なパーツです。2026 年時点での主流規格は、厚みが 30mm のスタンダードタイプと、より放熱面積を広げる 60mm タイプの二種類に大別されます。厚さ 30mm は一般的なケース対応性が高く、120mm ファンを 2 枚以上積むことで十分な冷却性能を発揮しますが、極端な高負荷環境やオーバークロックを目的とする場合は、厚みのある 60mm ラジエーターの導入を検討すべきです。ただし、60mm タイプはケースの奥行きを大きく消費するため、事前にケースとの干渉確認が必須となります。
冷却性能を見る際は、単にラジエーターのサイズだけでなく、内部フィンの密度や材質も重要な要素です。高品質なアルミニウム合金や銅製パイプを使用し、表面積を最大化した設計のものほど熱交換効率は向上しますが、その分 airflow(空気の流れ)が阻害されやすくなります。そのため、ラジエーターに搭載するファンの静圧性能とのマッチングが求められます。例えば、高密度フィンを持つラジレターには、高静圧型のファンを装着し、低密度のものには大容量空気を送れるスルータイプファンを選ぶことで最適化が可能です。
[画像:30mm と 60mm ラジエーターの断面比較と airflow の違い]
また、2026 年以降は「デュアルラジエーター」や「可変式ラジエーター」といった新しい形態も登場しており、スペース制限に合わせて厚みを調整できるモデルが増えています。これらは、ケース内の自由度を高めつつ、必要な冷却性能のみを発揮するための工夫です。さらに、ラジエーターの取り付け位置についても考慮が必要です。通常は上面または前面に設置されますが、前面設置の場合は排熱が外部へ直接逃げるため効率的ですが、室内温度の影響を受けやすいという点があります。背面や上面の場合、ケース内の熱気が循環しやすい傾向にあるため、ケース全体のエアフロー設計と連動して決定することが推奨されます。
ウォーターブロックは、冷却液が直接電子部品に触れる唯一の接触部であり、冷却効率を決定づける最も重要なパーツの一つです。CPU ブロックと GPU ブロックでは設計思想が異なり、それぞれに最適化された構造を持っています。CPU ブロックは、単一のコア面積に対して熱を均一に分散させる必要があるため、マイクロフィンと呼ばれる微細な溝が密集したデザインが採用されています。これにより、冷媒との接触面積を最大化し、瞬時の熱吸収を実現しています。近年では、銅製ベースプレートにニッケルメッキを施すことで、耐腐食性と見た目の美しさを両立させるのが主流です。
一方、GPU ブロックはより複雑な熱設計が求められます。グラボには GPU コアだけでなく、VRAM(メモリ)や VRM(電圧調節回路)など複数の発熱箇所があり、これらを同時に冷却する必要があります。そのため、GPU ブロックはコイル状の配管や広範囲に広がるフィンスペックを持っており、対応するマザーボードの形状によって設計が異なります。特に 2026 年モデルの高性能 GPU では、VRAM の発熱量が著しく高いため、メモリチップ用にも独立したブロック面を設けることが一般的になっています。
[画像:CPU ブロックと GPU ブロックの内部構造図解]
また、デザイン性の観点からも違いがあります。CPU ブロックはシンプルで機能的な形状が多くなる一方、GPU ブロックはケース内の視認性を高めるため、LED ライトやアクリルカバーを併用したモデルが多く見られます。さらに、ブロックの厚みや接続部の位置も製品によって異なるため、ラジエーターへの配管経路を考える際に重要な要素となります。特定のメーカーでは、ブロックの表面温度センサーを搭載し、システム制御ソフトと連動させることで、負荷に応じたポンプ速度やファンスピードを調整できる「スマート制御」機能を提供するモデルも登場しています。このように、それぞれのパーツ特性を理解して選定することが、最終的な冷却性能に大きく影響します。
カスタムループの設計において最も重要なのは、「流体の経路(フロー)」を適切に設定することです。液体は高温になるほど密度が下がり、気泡が発生しやすくなります。そのため、ポンプから出た冷却液はまず最も発熱の大きいパーツに送られ、徐々に温度が上がった後、ラジエーターで放熱されるのが理想的な順序とされています。標準的な設計では「ポンプ→リザーバー→CPU ブロック→GPU ブロック→ラジエーター→ポンプ」という循環経路が一般的ですが、より効率的にするためには気泡の排出経路も考慮する必要があります。
特に注意すべきは、ポンプへの戻り経路です。ポンプは常に液体が入っている状態を維持することが望ましく、空回りすると摩耗や破損の原因となります。そのため、ラジエーターから戻ってきた冷却液がスムーズにリザーバーへ落ちるような配置が必要です。また、ループ内の最高点には気泡溜まりが生じやすいため、ポンプの位置は可能であればシステム内で最も高い場所に設置し、重力を利用して気泡をリザーバーへ誘導する設計が推奨されます。2026 年時点のベストプラクティスでは、リザーバー内にも気泡分離用の仕切り板を設け、液面から離れた部分でポンプが吸い込むように配置するのが安全です。
[画像:理想的なループフロー順序の図解(ポンプ位置、ラジエーター接続など)]
また、配管の曲がりや屈曲も流体抵抗に影響を与えます。過度なカーブは流れを阻害し、冷却効率を低下させる要因となります。可能な限り直線的な経路を確保しつつ、必要な場合のみフィッティングを使って方向転換を行います。特に GPU ブロックからの配線が複雑になる傾向があるため、事前に紙や CAD ソフトでシミュレーションを行うことが推奨されます。さらに、ラジエーターへの接続順も重要で、通常は「下から入り上へ出る」か「横から横へ出る」配置が主流ですが、ケース内の空間制限に合わせて柔軟に変更します。設計段階での綿密な計算こそが、安定した冷却性能と静音性を確保する鍵となります。
水冷ループを構成する配管には、「ソフトチューブ」と「ハードチューブ」の二つの選択肢があります。それぞれの特性を理解し、用途やスキルレベルに合わせて選択することが成功への近道です。ソフトチューブは、PVC やポリエチレン系の素材でできており、非常に柔軟性が高く、曲げ加工が容易です。そのため、パーツ間の距離が不規則な場合や、複雑なレイアウトを組む場合に適しています。2026 年現在では、耐熱性と耐久性を向上させた高品質なソフトチューブも登場しており、長期使用においても劣化しにくい素材が開発されています。
一方、ハードチューブはアクリルや PETG(ポリエチレンテレフタレートグリコール)などの硬い素材を用いた配管です。形状が固定されるため、美しい幾何学的な曲線を描くことが可能で、PC ケース内の見た目に統一感と高級感を与えることができます。ただし、熱を加えて成形する必要があり、失敗すると破損するリスクがあります。また、切断や曲げ加工には専用の工具が必要となるため、初心者にはハードルが高いのが実情です。しかし、一度成型した形状は長期にわたりその形状を維持するため、安定した設計を求める上級者には欠かせない選択肢となっています。
[画像:ソフトチューブとハードチューブの素材比較および曲げ加工イメージ]
| 比較項目 | ソフトチューブ | ハードチューブ(アクリル/PETG) |
|---|---|---|
| 柔軟性 | 高い。自由な形状が可能 | 低い。熱による成形が必要 |
| 見た目の美しさ | 自然で有機的な印象 | シンプルで幾何学的な印象 |
| 加工難易度 | 低(カッター等でカット可能) | 高(専用ツール・加熱器具必要) |
| 耐久性 | 経年劣化による変色リスクあり | 高い。変形しにくい |
| コスト | 比較的低価 | 素材費および工具費用が高め |
ソフトチューブを選ぶ場合、内径と外径の寸法に注意する必要があります。一般的な規格は 10mm または 12mm ですが、ブロックやフィッティングとの適合性を確認することが必須です。また、ハードチューブを使用する場合は、成形温度や曲げ半径を厳密に守る必要があります。過度な熱を加えると素材が変色したり割れたりするため、専用のヒーターやフォームを使用するのが安全です。どちらを選ぶか迷った場合は、まずはソフトチューブでテストループを組み、慣れてきたらハードチューブへ移行するのが現実的なアプローチです。
フィッティングはパーツ同士をつなぐ接点であり、ここでの設計ミスが液漏れの原因となります。2026 年現在、最も一般的なのはネジ山の規格である G1/4 です。これに準拠したパーツであれば、異なるメーカーの製品を組み合わせても接続が可能ですが、品質にはばらつきがあります。フィッティングには主に「ストレート(直管)」と「エルボー(直角曲がり)」があり、配管経路に合わせて使い分けます。また、素材としては真鍮製やステンレス製が主流で、耐久性と耐腐食性の観点からステンレス製が推奨されます。
接続時の注意点として、締め付けの強さが重要です。緩すぎれば液漏れを起こし、硬すぎるとパーツを破損させます。特にプラスチック製のポート(ウォーターブロック側)に金属フィッティングをねじ込む場合は、手作業で軽く回した後、工具で数回転ほど加減して止めるのがコツです。「指で回らなくなるまで」ではなく、「さらに半回転程度」という感覚が求められます。また、Oリングやパッキンの状態も確認し、損傷している場合は新品へ交換するのが安全です。
[画像:フィッティングの正しい取り付け手順と工具の使用イメージ]
さらに、2026 年時点では「クイックコネクト」や「スクリューレスフィッティング」といった新しい接続方式も一部で採用されています。これらは締め付け作業を不要にし、取り外しを容易にするメリットがありますが、信頼性の観点から本格水冷のメインラインにはまだ使用が推奨されていないのが現状です。特に液漏れリスクが高いとされるため、長期運用を前提とする場合は伝統的なネジ式フィッティングの使用が安心です。また、接続部には「テフロンテープ」や「シーラント」を使用するケースもありますが、水冷システムにおいては Oリングの圧縮力が重要であるため、これらの添加物は推奨されません。クリーンな状態で確実に締め付けることが最も重要です。
冷却液は、水冷システムの血液であり、冷却性能や腐食防止に直接影響を与えます。2026 年時点で市場に出回っている主なタイプには、「透明(クリア)」・「カラー」・「パステル」の三種類があります。透明クーラントは内部の状態が確認しやすく、気泡や異物の混入を早期発見できるため、初心者や保守性を重視するユーザーに推奨されます。また、添加剤が含まれていない純粋な水ベースのものは、化学的安定性が高く、長期間使用しても劣化しにくい傾向があります。
カラークーラントは視覚的な美しさを追求するためのものですが、注意すべき点が多いです。色素が沈殿してチューブ内を汚染したり、微生物の栄養源となって藻やバクテリアを繁殖させたりするリスクがあります。特に光を通すアクリル製パーツを使用する場合、色付きクーラントは内部の腐食や変質が見えにくくなるため、定期的な点検が難しくなります。また、パステルカラーと呼ばれる半透明タイプも人気がありますが、これも同様に沈殿物の混入に注意が必要です。
[画像:透明・カラー・パステル冷却液の色見本と内部汚染の例]
さらに、凍結防止や抗菌処理の有無も重要な選択基準です。冬場の低温度環境で使用する場合は、不凍液(グリコール系)が配合されたクーラントを選ぶ必要があります。ただし、これらは熱伝導率が純水ベースのものより低下する傾向があるため、冷却性能のトレードオフを考慮する必要があります。また、抗菌剤が含まれていない場合、数ヶ月使用するとチューブ内壁にバイオフィルムが形成され、流量を減少させる可能性があります。そのため、少なくとも 6 ヶ月ごとに交換するか、抗菌機能が強化された製品を選ぶことが推奨されます。2026 年時点では、環境負荷の低い生分解性素材を使用したクーラントも一部で登場しており、エコ志向のユーザーにも選択肢が広がっています。
本格水冷システムを組み立てる際は、綿密な準備と段階的な作業が求められます。まず、すべてのパーツをケース外で「ドライフィット(仮組み)」を行います。これは、実際に接続する前に配管の長さや曲がり具合を確認し、必要な長さを正確に測定するためです。この段階でフィッティングやチューブをカットしますが、必ず余白を残して作業を進めます。特にハードチューブの場合、熱による収縮を考慮して 1mm〜2mm の余裕を持たせるのがコツです。
[画像:ケース外でのドライフィットとチューブカットの様子]
次に、各パーツの内部を清掃します。ウォーターブロックやラジエーターのポートには、製造過程で残った汚れやデブリが混入している可能性があります。エアダスターや専用のブラシを使用して徹底して掃除し、内部が清潔であることを確認してから組み立てを開始します。また、ポンプやリザーバーに冷却液を入れる前に、Oリングにシリコングリスを薄く塗布することで、摩擦による摩耗を防ぎ、密封性を高めます。
実際の接続は、左ネジ(レフトハンド)のパーツが多いことを覚えておく必要があります。これは、回転時にねじ山が緩むのを防ぐための設計ですが、水冷却システムでは通常は右ネジが主流です。しかし、一部の特殊なメーカー製品や特定のコンポーネントには逆ネジが使われることもあるため、取扱説明書を必ず確認してください。接続後は、軽く水を流して詰まりがないかテストし、その後本番の充填を行います。この手順を丁寧に踏むことで、初期段階でのトラブルを大きく減らすことができます。
組み立てが完了した後、最も重要かつ慎重に行うべき作業が「リークテスト」です。これは実際に冷却液を満たして動作させる前に、システムに水圧をかけ、漏れがないかを確認する工程です。24 時間以上のテストが理想ですが、最短でも数時間は静止状態でのチェックが必要です。まず、電源を切った状態でポンプのみを起動し、冷却液が循環していることを確認します。この段階で異常な音がしないかや、接続部に水滴が出ていないかを注意深く観察します。
リークテストを行う際は、紙タオルやキッチンペーパーをすべての接続部の上に広げて設置します。これにより、微量の漏れでも視覚的に検出できるようになります。また、PC ケースの下にビニールシートや防水マットを敷き、万が一の漏液による床への被害を防ぎます。24 時間経過する間に数回ポンプの電源を入れ直し、冷却液が十分に循環しているか確認してください。特に初期段階では、気泡が溜まって流速が不安定になる可能性があるため、ポンプの回転数を徐々に上げていくのが安全です。
[画像:リークテスト時の紙タオル配置と防水マット敷設のイメージ]
もし漏れが発見された場合、即座に電源を切り、冷却液を排出して原因を特定します。多くの場合は、フィッティングが緩んでいるか、Oリングがずれていることが原因です。その部分を再度分解し、清掃後、適切な力で締め直してからテストをやり直します。また、ポンプの空回りによる摩耗を防ぐため、漏れがないことを確認するまでポンプを長時間連続運転させないことも重要な安全対策の一つです。最終的に 24 時間無事経過した後、初めて PC の電源を入れて本格的な稼働を開始します。
本格水冷システムは一度構築すれば終わりではなく、定期的なメンテナンスが必要です。推奨されるメンテナンス周期は 6 ヶ月から 12 ヶ月です。長期間使用すると、冷却液が劣化し、内部に腐食や沈殿物が発生する可能性があります。特に夏季の高温期には微生物の繁殖速度が速くなるため、夏場の入念な清掃が推奨されます。メンテナンス作業は、冷却液を排出し、ラジエーターとブロック内を洗浄水で洗い流すことから始まります。
[画像:メンテナンス時の冷却液排出と内部洗浄の様子]
洗浄には、専用のクリーナーまたは純粋な水道水を使用します。ただし、硬水の水道水を使う場合はカルシウムイオンが析出するリスクがあるため、精製水やイオン交換水の使用を強く推奨します。また、ラジエーターのフィンの隙間に埃が詰まっている場合、エアダスターやブラシで清掃し、空気の流れを確保します。フィルター付きのリザーバーを使用している場合は、この際もフィルターを清掃または交換するのが効果的です。
長期運用における重要なコツは、「冷却液の色の変化」に注意することです。色が濁ってきたり、赤っぽく変色したりする場合は、内部の腐食やバクテリアの繁殖を疑うべきです。また、ポンプの音がうるさくなったり、回転が不安定になったりする場合は、ベアリングの摩耗が進行している可能性があります。これらの兆候を見逃さず、早期に対応することで、システムの寿命を延ばすことができます。さらに、冬季には不凍液の使用や、システム内の空気を完全に排出することが結露防止に役立ちます。
本格水冷パーツを選ぶ際、信頼性が高くサポート体制が整ったメーカーを選ぶことが重要です。2026 年時点でも主流となっているのは EKWB(EKK Water Blocks)です。同社は高品質なアルミニウムおよびニッケル製ブロックで知られ、デザイン性と冷却性能のバランスに優れています。また、Alphacool はコストパフォーマンスが高く、豊富なバリエーションを提供しています。特にラジエーターやポンプのリザーバーコンボにおいて、実用的な製品が多いのが特徴です。
[画像:主要水冷メーカー(EKWB, Alphacool, AquaComputer)のロゴと代表製品]
| メーカー | 特徴 | 価格帯 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| EKWB | デザイン性・冷却性能の高さ | 高価 | ★★★★★ |
| Alphacool | コスパ・バリエーションの豊富さ | 中〜高 | ★★★★☆ |
| AquaComputer | システム制御・スマート機能 | 高価 | ★★★★☆ |
| DMM | 日本国内サポート・安心感 | 中 | ★★★☆☆ |
コスト目安については、エントリーレベルから上級者向けまで幅があります。最小構成(ポンプ、リザーバー、ラジエーター、CPU ブロックのみ)で約 5 万円〜7 万円程度が相場です。これに GPU ブロックや高品質なフィッティング、カラークーラントなどを追加すると、10 万円を超えるケースも珍しくありません。さらに、カスタムチューブ(ハードチューブ)や LED ライトを組み込むと、15 万円を超えることもありますが、それは最終的なコストの上限です。
また、日本国内で購入する場合、輸入品に比べて少し割高になる傾向があります。しかし、保証対応や日本語マニュアルの有無を考慮すると、安心感を得られるため、初心者の方には国内販売店での購入が推奨されます。特にパーツの互換性については、メーカー公式サイトの仕様表を必ず確認し、実際のサイズや接続規格が合致しているか確認しましょう。2026 年時点では、サブスクリプション型のメンテナンスサービスを提供する企業も一部で登場しており、長期運用を支援する体制も整いつつあります。
本格水冷カスタムループの構築は、PC 自作における究極の目標の一つであり、高い技術と知識が求められますが、達成した時の満足感は格別です。本記事では、必要なパーツから組み立て手順、メンテナンスまでを詳細に解説しました。以下に要点をまとめますので、今後の実践の参考にしてください。
これらのポイントを意識して行動することで、安全かつ美しい本格水冷システムを構築することができます。2026 年時点での技術動向も考慮しつつ、自分のスタイルに合ったカスタムループを楽しんでください。PC の静寂と冷却性能の向上は、日々の使用において明確な違いとして体感できるはずです。

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