

サーバーや PC の稼働状況、リソース利用率を常時監視することは、システム管理者にとって不可欠な業務の一つです。突発的なリソース枯渇はサービス停止に直結し、データ損失という重大なリスクをもたらします。従来の監視ツールは設定が複雑で、重くなりがちでしたが、Glances(グルアンシズ)はそのような課題を解決する画期的なオープンソースプロジェクトとして登場しました。Python で書かれたクロスプラットフォーム対応のモニタリングツールである Glances は、Linux、macOS、Windows、FreeBSD といった多様な OS 環境で動作し、軽量でありながら豊富な機能を提供します。
特に注目すべきは、Glances の最新バージョンである 4.x シリーズです。2026 年現在では、Python 3.12 や 3.13 の互換性を確保しつつ、監視パフォーマンスがさらに向上しています。CLI(コマンドラインインターフェース)モードにおいては、ターミナル上で htop のような直感的な表示を実現し、Web UI モードを利用すればブラウザからどこでもサーバー状態を確認可能です。また、REST API や XML-RPC を通じた外部システムとの連携も強力であり、InfluxDB へのデータ転送や Prometheus との統合により、高度な可視化も容易に行えます。
本記事では、Glances のインストール方法から詳細な設定、プラグイン機能、そして他の監視ツールとの比較まで、初心者から中級者向けに網羅的に解説します。単なる導入ガイドにとどまらず、systemd による常駐管理や Home Assistant との統合など、実運用で役立つ Tips も多数紹介していきます。サーバーの健全性を維持するための信頼できるパートナーとして Glances を最大限活用し、2026 年の最新環境に即した監視基盤を構築しましょう。
Glances は、Nicolas Hennion 氏によって開発された、Python で書かれたクロスプラットフォームのシステム監視ツールです。その名の通り「眺める」という意味を持つこのソフトウェアは、サーバーや PC のリソース使用状況をリアルタイムで表示することを主目的としており、軽量かつ高速な動作が特徴です。2026 年時点のバージョン 4.x では、内部アーキテクチャが見直され、コア部分は C 言語と Python のハイブリッド構成を採用することで、従来の純粋な Python 実装に比べて処理速度が向上し、より大規模なシステムでの監視も安定して行えるようになっています。
主要な特徴として挙げられるのは、そのクロスプラットフォーム性です。Linux ディストリビューション(Ubuntu, Debian, CentOS, Arch など)ではネイティブパッケージとして提供されており、macOS では Homebrew を介したインストールが標準的です。Windows 環境でも Python の依存関係を解決すれば実行可能であり、FreeBSD や Solaris といった Unix ベースのシステムでもサポートされています。これは、開発者が異なる OS で作業している場合や、ハイブリッドなインフラストラクチャを運用する際に非常に有利に働きます。例えば、ラズベリーパイのような ARM アーキテクチャのシングルボードコンピューター上で動作させることも容易であり、エッジデバイスでの利用シーンも増えています。
アーキテクチュアルな観点から見ると、Glances は「モニター(監視実行プロセス)」と「ビューア(表示インターフェース)」が分離されている点が特徴的です。基本構成ではこれらが同一プロセス内で動作しますが、Client/Server モードに切り替えることで、離れた場所にあるサーバーのデータを収集・表示する分散型監視システムを構築できます。この通信プロトコルとして XML-RPC を採用しており、ネットワーク越しでも軽量なデータ転送を実現しています。また、モジュール式のプラグインシステムを搭載しており、CPU、メモリ、ディスクなど基本的な項目に加え、Docker コンテナ、GPU 使用率、センサー情報などを動的にロードして機能を拡張できます。この柔軟性が、単なる監視ツールを超えて、カスタマイズ性の高い運用環境を構築する基盤となっています。
Glances の設計思想には「シンプルさ」と「多機能さ」の両立があります。初期状態では必要最低限の情報しか表示されませんが、設定ファイルやコマンドライン引数を変更することで、必要な情報だけを抽出して表示することが可能です。また、API 経由で外部ツールと連携できるため、Slack や Discord への通知機能や、Grafana によるグラフ化も容易です。このように、Glances は単なるリソース表示ツールではなく、現代の DevOps 環境において不可欠なデータ収集基盤としての役割を担っています。
Glances を利用開始する前に、適切な環境へのインストールが必須となります。2026 年時点では、Python のバージョン管理や依存関係解決のために、従来の pip だけでなく、より高速なパッケージマネージャーである uv も推奨されるようになりました。まず最も標準的な方法として、Linux または macOS で pip を使用する方法を解説します。Glances は Python 3.8 以降に対応しており、最新の 4.x バージョンを使用する場合は Python 3.12 以上の環境が安定動作のために推奨されます。
# 標準的な pip インストール(Python 3.10+ 推奨)
pip install glances[all]
上記のコマンドを実行すると、Glances の本体に加え、すべてのオプション機能を含む追加パッケージがインストールされます。glances[all] という記法は、Python の依存関係指定機能によるもので、エクスポート用ライブラリ(InfluxDB 接続用など)や Web UI 用フレームワーク(Flask など)を自動的に読み込みます。もし特定の機能のみを使用する場合は、pip install glances と本体のみインストールし、必要に応じて個別に追加パッケージをインストールすることも可能です。これにより、サーバーのリソース使用率を抑制しつつ必要な機能を最小限で稼働させることができます。
より現代的なアプローチとして uv を利用する方法もあります。uv は Rust で書かれた高速な Python パッケージ管理ツールであり、Python のバージョン切り替えや仮想環境の管理も非常に高速に行えます。Glances 4.x を最新状態かつ高速にインストールしたい場合、以下のような手順を踏むことが推奨されます。
# uv のインストール(curl による公式スクリプト実行)
curl -LsSf https://astral.sh/uv/install.sh | sh
# Glances のインストールと仮想環境の作成
uv venv .venv
source .venv/bin/activate
pip install glances[all]
この方法では、仮想環境内に Glances を隔離して実行できるため、システム全体の Python 設定に影響を与えるリスクを回避できます。特にサーバー運用においては、依存関係の競合を防ぐために仮想環境やコンテナ内での動作が望ましいです。Windows ユーザーの場合も同様の手順で、PowerShell から pip install glances[all] を実行してセットアップ可能です。ただし、Windows の場合、一部の Linux 固有の機能(例:Linux カーネルセンサー)は制限される可能性があるため、その点については後述するプラグインセクションで詳細を確認してください。
Docker コンテナを利用する方法も非常に人気があります。Glances は公式イメージとして提供されており、ホスト OS に依存せずに実行環境を構築できます。特に Docker 自体の監視や、コンテナ内部での Glances 動作に適しています。以下に代表的なコマンドを示します。
docker run --name glances \
-v /var/run/docker.sock:/var/run/docker.sock:ro \
-p 61208:61208 \
nicolargo/glances:latest
このコマンドでは、Docker のソケットをマウントすることで Glances からコンテナ情報を取得可能にし、ポート 61208 を公開して Web UI に接続できるようにしています。-v フラグでホストのファイルシステムや Docker ソケットを共有し、外部からのアクセス権限を適切に与えることで、安全性を保ちつつ機能を最大化します。
インストール後は必ずバージョンを確認してください。Glances 4.x では、API バージョンや表示形式が以前のバージョンから変更されている箇所があります。以下のコマンドで現在のバージョンとインストールパスを確認できます。
glances --version
出力結果には、Python のバージョン情報も併記されるため、互換性の確認にも利用可能です。もしインストール時にエラーが発生した場合、システム内の Python バージョンが古すぎるか、依存ライブラリのビルドツール(gcc など)が不足している可能性があります。Linux 環境では python3-dev や build-essential パッケージを事前にインストールしておくとトラブルを未然に防げます。
Glances の最も基本的な利用形態である CLI モードは、ターミナル上で直接サーバー状態を確認したい場合に最適です。このモードでは、htop や top といったツールと同様のインターフェースが表示されますが、Glances はより多くのメトリクス情報をワン画面で提供します。起動方法は単純で、コマンドプロンプトやターミナルウィンドウに glances と入力して Enter キーを押すだけで開始されます。
# 基本の起動
glances
しかし、単なる実行だけではその真価を発揮しません。Glances は多数のカスタマイズ可能なキーバインドと設定オプションを提供しており、ユーザーのニーズに合わせて表示内容を最適化できます。例えば、CPU の使用率を表示する際に「ユーザーモード」と「カーネルモード」を分けて表示させたり、ネットワークトラフィックの単位をビット/s からバイト/s に変更したりすることが可能です。
CLI モードでの主要なキー操作は以下の通りです。
| キー | 機能 | 説明 |
|---|---|---|
q | Quit | Glances を終了します。 |
h | Help | コマンドリストとヘルプを表示します。 |
c | CPU | CPU プラグインのトグル(表示/非表示)。 |
m | Memory | メモリプラグインを切り替えます。 |
n | Network | ネットワークインターフェース情報を表示します。 |
d | Disk | ディスク I/O 情報を表示します。 |
p | Process | プロセスリストを表示します。 |
s | Sensors | センサー情報(温度、電圧など)を表示します。 |
l | Load | システムロードアベレージを強調表示します。 |
各キーはトグル機能を持っており、押すたびに該当するセクションの表示状態が切り替わります。例えば、CPU の詳細な使用率グラフが必要ない場合は c キーを押して非表示にし、ディスク I/O 情報をより多く表示したい場合は d キーで確認可能です。また、プロセスリストを表示した状態で p キーを押し続けると、ソートキー切り替えが可能になり、CPU 使用量やメモリ使用量の順に並べ替えることができます。
設定ファイルによる詳細なカスタマイズも CLI モードで行うことが可能です。Glances の設定は通常 ~/.config/glances/glances.conf(Linux/macOS)または %APPDATA%\glances\glances.conf(Windows)に保存されます。この設定ファイルを編集することで、初期表示のプラグイン順序や、特定の値を超えた際の警告色の変更などが行えます。
# glances.conf の一部例
[general]
enabled_plugins = CPU, Memory, Load, Network, Disk I/O, Processes
[webui]
port = 61208
auth_enabled = True
username = admin
password = your_secure_password
この設定では、Web UI を有効化しつつ、認証機能をオンにしています。CLI モードにおいても、コマンドライン引数でこれらの設定を上書きすることができます。例えば、ポート指定や認証情報を直接コマンドで指定する場合は以下のように記述します。
glances -w --port 61208 --auth-enabled --username admin --password secret
このようなオプションを組み合わせることで、特定の用途(例:デバッグ用)に特化した Glances インスタンスを一瞬で起動できます。また、--disable-plugin 引数を使用することで、不要なプラグインを初期状態から無効化し、リソース消費を抑えることも可能です。特にサーバー上で常駐監視を行う場合は、メモリ使用率の低い構成が望ましいため、このオプションの活用は重要です。
Glances の Web UI モードは、Flask フレームワークを採用しており、ブラウザからシステム状態を確認できるようにした機能です。CLI モードでは物理的なターミナル操作が必要ですが、Web UI ならネットワーク経由でどこからでもアクセス可能です。起動方法は glances -w または -W(デフォルトポート)を使用します。
# Web サーバーとして Glances を起動
glances -w --port 61208
このコマンドを実行すると、ローカルホストの 61208 ポートで HTTP サーバーが立ち上がります。ブラウザで http://localhost:61208 にアクセスすると、Glances の Web UI が表示されます。レスポンシブデザインに対応しているため、スマートフォンやタブレットからのアクセスも可能であり、ラップトップの画面サイズに合わせて表示レイアウトが最適化されます。
Web UI には認証機能も実装されており、サーバーへの不正なアクセスを防ぐことができます。設定ファイルまたはコマンドライン引数でユーザー名とパスワードを設定します。2026 年時点では、セキュリティ基準がさらに厳格化されているため、デフォルトのパスワードを使用せず、複雑なパスワードを指定することが強く推奨されます。
# 認証付き Web UI の起動例
glances -w --port 61208 --auth-enabled --username user123 --password securePass456!
認証が有効になっている場合、ブラウザでアクセスするとログイン画面が表示され、正しい資格情報を入力しないと監視パネルにアクセスできません。また、HTTPS の利用も可能であり、--ssl-certfile と --ssl-keyfile 引数を使用して SSL 証明書を設定することで、暗号化された通信を実現できます。
Web UI の表示内容については、設定ファイルの [webui] セクションでカスタマイズ可能です。特定のプラグインを表示するかどうか、グラフの更新頻度(デフォルトは 10 秒間隔)、あるいはダークモードの有効化などが設定できます。
[webui]
# プラグインの表示順序と有効化
enabled_plugins = CPU, Memory, Load, Network, Disk I/O, Sensors, Docker, Processes
# グラフ更新頻度(ミリ秒単位)
refresh_rate = 5000
# ダークモードの有効化
dark_mode = True
このように設定することで、ユーザーの好みに合わせたインターフェースを構築できます。特にダークモードは、長時間の監視業務において目の疲れを軽減する効果があり、24 時間体制でサーバーを管理する管理者にとって重要な機能です。また、Docker プラグインが有効になっていると、Web UI からコンテナごとのリソース使用率も確認可能となり、コンテナ環境下でのデバッグに役立ちます。
Glances の強力な機能の一つが Client/Server モード(あるいは Server/Client モード)です。これは、複数のサーバーや PC を一元管理するために設計された機能で、XML-RPC プロトコルを使用して通信を行います。サーバー側で Glances を実行し、クライアント側からその情報を収集・表示する構成です。
# サーバー側(監視対象)での起動
glances -s --port 61208
上記のコマンドは、Glances をサーバーモードとして起動します。この状態では、データ収集プロセスが常駐し、外部からのリクエストを待機するようになります。ポート番号はデフォルトの 61208 ですが、ネットワーク環境によって変更可能であり、必要に応じて --port オプションで指定できます。
クライアント側では、サーバーの IP アドレスとポートを指定して接続します。
# クライアント側(管理端末)での起動
glances -c 192.168.1.50 --port 61208
このコマンドは、指定された IP アドレスのサーバーから情報を取得し、ローカルターミナルに表示します。このようにすることで、物理的に離れた複数のサーバーを一つの端末から監視することが可能になります。ネットワーク経由での通信となるため、遅延やパケットロスが発生する可能性がありますが、XML-RPC は軽量なプロトコルであるため、通常のリモートアクセス速度でも問題なく動作します。
セキュリティの観点からは、このモードで注意すべき点があります。初期状態では認証機能が無効になっている場合があり、ネットワーク上の誰でも接続できてしまうリスクがあります。そのため、必ず --auth-enabled 引数を使用して認証を有効化し、強固なパスワードを設定する必要があります。また、ファイアウォール設定において、監視用のポート(デフォルト 61208)を適切に制限することも重要です。
# サーバー側で認証付きモードの起動例
glances -s --port 61208 --auth-enabled --username monitor_user --password admin_pass
この設定により、クライアントが接続する際にも認証が必要となり、許可されたユーザーのみがサーバー情報を取得できます。また、特定の IP アドレスからのアクセスだけを許可したい場合は、--ip-whitelist 引数を使用して Whitelist 機能を有効にすることも可能です。これにより、社内の管理ネットワーク内からしかアクセスできないように設定し、セキュリティホールを塞ぐことが可能になります。
分散監視システムを構築する際、SSL/TLS による暗号化も検討すべきです。Glances は SSL 対応が可能であり、--ssl-certfile と --ssl-keyfile を指定することで、通信経路を暗号化できます。
# SSL 接続でのサーバー起動例
glances -s --port 61208 --auth-enabled \
--ssl-certfile /path/to/cert.pem \
--ssl-keyfile /path/to/key.pem
暗号化された通信により、中間者攻撃のリスクを低減し、監視データの機密性を保つことが可能になります。特に機密データを扱う企業環境や、インターネット経由で管理を行う場合、この設定は必須と言えます。
Glances は単なる表示ツールではなく、RESTful な API を提供しており、他のシステムと連携させるための基盤としての役割を果たします。API エンドポイントは /api/v1/stats などが中心で、JSON 形式でデータが返されます。これにより、Python スクリプトや他の監視プラットフォームから Glances のデータを取得し、独自の処理を行うことが可能になります。
# API データの取得例(curl コマンド)
curl http://localhost:61208/api/v1/stats
このコマンドを実行すると、現在のシステム状態を JSON 形式で出力します。例えば、CPU 使用率、メモリ使用量、ロードアベレージなどのデータが構造化された形式で取得できるため、これを解析して Slack や Discord の Webhook に通知を送るスクリプトを作成することが可能です。
import requests
import json
# Glances API からデータを取得
response = requests.get('http://localhost:61208/api/v1/stats')
data = response.json()
# CPU 使用率の取得
cpu_usage = data['summary']['CPU'][0]['currentvalue']
if cpu_usage > 90:
# 90% を超えたらアラート通知を行う処理
print(f"Alert! High CPU usage detected: {cpu_usage}%")
このように Python の requests ライブラリを用いることで、Glances のデータを外部ツールと統合できます。また、API は認証機能に対応しているため、セキュリティを確保した上でデータ取得が可能です。API を利用する際は、--api-user と --api-password 引数で認証情報を指定する必要があります。
Grafana や Prometheus などの可視化ツールとの連携も API を通じて行われます。ただし、Glances の標準的なエクスポート機能を利用する場合もあります。Prometheus の場合は /prometheus エンドポイントが提供されており、これにより Prometheus サーバーが Glances からメトリクスをプル収集することが可能になります。
# Prometheus 形式での出力
curl http://localhost:61208/prometheus
このエンドポイントは、Prometheus が認識できるフォーマットでデータを返すため、Grafana で Prometheus データソースを追加し、Glances のデータを表示するグラフを作成できます。これにより、歴史データの可視化やトレンド分析が可能になります。
また、Zabbix や Elasticsearch へのデータ転送もプラグイン経由で行えます。InfluxDB へのエクスポートは、glances -o influxdb などのオプションで設定可能です。
# InfluxDB へのエクスポート設定
glances --export-influxdb --influxdb-host localhost \
--influxdb-port 8086 --influxdb-db glances_db
このコマンドにより、収集したデータが自動的に InfluxDB に保存され、長時間の傾向分析やストレージ容量の計画に役立ちます。ただし、外部データベースへの接続にはネットワーク遅延が発生する可能性があるため、ローカルでのデータ蓄積を優先し、定期的にバックアップを取る戦略も推奨されます。
Glances の最大の強みの一つがプラグインシステムです。基本機能以外に、Docker コンテナの監視や GPU 使用率の確認など、拡張可能な機能が多数用意されています。各プラグインは独立したモジュールとして実装されており、必要に応じて有効化・無効化が可能です。
主なプラグインとしては以下のものがあります。
| プラグイン名 | 機能説明 | 依存要件 |
|---|---|---|
| CPU | プロセッサ使用率と温度情報 | 標準搭載 |
| Memory | メモリ(RAM)およびスワップ使用量 | 標準搭載 |
| Network | ネットワークインターフェースの送受信量 | 標準搭載 |
| Disk I/O | ディスクの読み書き速度と使用率 | 標準搭載 |
| Docker | Docker コンテナのリソース監視 | docker.sock アクセス権 |
| GPU | グラフィックスプロセッサ使用率 (NVIDIA/AMD/Metal) | 適切なドライバ/ライブラリ |
| Sensors | システムセンサー情報(温度、電圧) | lm-sensors (Linux), CoreTemp (Windows) |
| AMP | アマチュア無線機器(特定ハードウェア) | 専用ハードウェア接続 |
Docker プラグインは、コンテナ環境下で特に有用です。サーバー上で Docker を実行している場合、--volume /var/run/docker.sock:/var/run/docker.sock:ro などのマウント設定を行えば、Glances からコンテナの CPU やメモリ使用率を個別に監視できます。各コンテナの起動時間やリセット回数も表示され、不具合発生時の原因特定に役立ちます。
GPU プラグインについては、NVIDIA GPU を使用するサーバーでは nvidia-ml-py などのライブラリが必要になります。AMD Radeon や Apple Silicon (M1/M2/M3) の場合でも、それぞれのシステムネイティブな API を利用して情報を取得可能です。
# GPU サポートを有効にする例(NVIDIA)
pip install pynvml
glances --enable-plugin GPU
このように、必要なライブラリをインストールした上で Glances を起動することで、GPU の温度や使用率、メモリ使用量などをリアルタイムで監視できます。特に AI 学習サーバーや動画エンコードサーバーなど、GPU リソースが重要なサーバーでは必須の機能です。
センサー情報の取得には lm-sensors のようなシステムの前提条件があります。Linux 環境では sudo sensors-detect コマンドを実行してセンサー設定を有効化し、その後 Glances を起動すると温度や電圧情報が表示されます。Windows でも CoreTemp や AMD Ryzen Master のドライバが正しくインストールされていれば同様の情報を取得可能です。
収集した監視データを外部システムへ転送する機能(エクスポート)も Glances の重要な部分です。データの永続化を行うことで、過去の傾向分析や容量計画に役立ちます。対応しているフォーマットには InfluxDB、Prometheus、Elasticsearch、Graphite、Kafka、Zabbix、JSON、CSV があります。
InfluxDB との連携は最も一般的で、時系列データベースとして広く利用されています。設定は glances.conf の [influxdb] セクションで行います。
[influxdb]
enabled = True
host = localhost
port = 8086
username = glances_user
password = secret_password
database = glances_db
この設定で、Glances は自動的に収集したデータを InfluxDB に書き込みます。Prometheus の場合はスクリプトやプロキシを介してエクスポートすることも可能ですが、最近では Glances 自体が /prometheus エンドポイントを維持しているため、直接 Prometheus サーバーに接続可能です。
Elasticsearch や Graphite への転送も同様に設定ファイルで指定できます。特に Elasticsearch は検索機能が強力なため、特定の時刻や条件でのデータ検索を行う場合に適しています。ただし、データの量が増えるとディスク容量を圧迫する可能性があるため、ローテーションポリシーの設定が必要です。
# Elasticsearch エクスポートの起動例
glances --export-elasticsearch \
--es-host localhost:9200 \
--es-index glances_data
JSON や CSV 形式でのエクスポートも利用可能です。これは、ログファイルとして保存したり、Excel で分析したりする場合に適しています。特に CSV 形式は、後処理が容易であり、バッチ処理やレポート作成に便利です。
# JSON 形式でデータを出力(標準出力)
glances --export-json -o stats.json
このコマンドは、現在の状態を stats.json ファイルとして保存します。また、定期的に実行することで履歴ファイルを作成し、後から分析することも可能です。
Glances を選ぶ際に気になるのが他の監視ツールとの違いです。それぞれに特徴があり、用途によって最適な選択が異なります。ここでは主要なツールとの比較を行います。
| 機能 | Glances | htop (CLI) | btop (CLI) | Netdata (Web) | Cockpit (Web) |
|---|---|---|---|---|---|
| 表示形式 | CLI / Web UI | CLI | CLI | Web UI | Web UI |
| リソース消費 | 低(数十 MB) | 極めて低 | 中(Python/C 使用) | 低〜中 | 中 |
| クロスプラットフォーム | ◎ (全 OS) | ○ (Linux/Unix) | ○ (Linux/Unix) | ○ (Linux/Unix) | ○ (Linux) |
| 外部連携 | ◎ (API/Export) | × | ○ (一部) | ◎ (強力) | △ (プラグイン) |
| Web UI 機能 | ○ (Flask ベース) | × | × | ◎ (高機能) | ○ (管理向け) |
| 設定難易度 | 中 | 低 | 低 | 中 | 中 |
Glances は CLI と Web UI の両方を提供し、クロスプラットフォーム対応という点で htop や btop よりも優れています。特に Windows や macOS でサーバー監視を行う必要がある場合は Glances が有利です。Netdata も Web UI に強く、可視化機能は豊富ですが、設定の複雑さやリソース消費が Glances より高い傾向にあります。Cockpit は Linux サーバーの管理に特化しており、Web 経由でのコマンド実行やファイル編集が可能ですが、Glances のような詳細なメトリクス監視には少し不向きです。
htop との比較では、Glances がより多くの情報を一画面で提供できる点が特徴です。また、Netdata はリアルタイムグラフに優れていますが、Glances は API 経由でのデータ取り込みが容易であるため、カスタマイズされたダッシュボードとの連携に向いています。
実際にサーバー運用で Glances を活用する際の Tips を紹介します。まず、systemd サービスとして常駐させる方法です。これにより、システム起動時に自動で監視を開始し、リブート後も継続して稼働させられます。
# /etc/systemd/system/glances.service の内容
[Unit]
Description=Glances Server Monitoring Tool
After=network.target
[Service]
Type=simple
ExecStart=/usr/bin/python -m glances -w --port 61208
Restart=always
User=root
Group=root
[Install]
WantedBy=multi-user.target
この設定ファイルを /etc/systemd/system/glances.service に保存し、systemctl enable glances と systemctl start glances でサービスを有効化します。これにより、常にサーバーの健全性を監視する状態が維持されます。
Home Assistant との統合も人気のある運用方法です。Home Assistant のセンサーとして Glances を登録すれば、スマートホームダッシュボード上でサーバー状態を確認できます。glances カスタムコンポーネントを使用するか、標準の sensor 設定で API エンドポイントを指定します。
# configuration.yaml の例
sensor:
- platform: glances
host: 192.168.1.50
port: 61208
username: user123
password: pass456!
これにより、サーバーの CPU やメモリ状態が Home Assistant のダッシュボードにリアルタイム反映されます。さらに、温度や使用率閾値を超えると、Home Assistant の通知機能を使ってスマホにプッシュ通知を送ることも可能です。
Tailscale を経由した監視もおすすめです。Glances の Web UI は通常ローカルネットワーク内でのアクセスを想定していますが、Tailscale を導入すれば安全な VPN 環境下から外部へアクセスできます。ポートフォワーディングの設定が不要であり、セキュリティリスクを低減しつつ遠隔管理が可能になります。
また、アラート設定も重要です。--alert オプションを使用して、CPU やメモリ使用率の閾値を設定します。
glances --alert CPU=90,Memory=85 --port 61208 -w
このコマンドは、CPU が 90%、メモリが 85% を超えた場合にアラートメッセージを出力します。これにより、問題が発生した瞬間に管理者が気づくことができます。History 機能も利用可能で、過去のデータポイントを保存・表示することで、突発的なピークの原因特定に役立ちます。
Glances は 2013 年に最初のリリースが行われて以来、多くの開発者によって改良され続けてきました。Python で書かれたオープンソースプロジェクトとして、コミュニティによる貢献が活発です。バージョン 4.x では、アーキテクチャの刷新によりパフォーマンスが大幅に向上し、現代のサーバー環境にも対応できるようになりました。
2026 年現在では、AI や ML 関連のハードウェアへのサポートも強化されています。GPU の温度や消費電力を詳細に監視する機能は、データセンターでのエネルギー管理にも役立っています。また、コンテナオーケストレーションツール(Kubernetes など)との連携も検討されており、より大規模なインフラでの利用が期待されます。
Glances の開発チームは、セキュリティ強化と使いやすさの向上を継続的に目指しています。認証機能の強化や、Web UI のレスポンス速度改善など、ユーザビリティに焦点を当てたアップデートが行われています。今後もオープンソースとしての透明性を保ちつつ、企業利用にも耐えうる堅牢なツールとして進化していくでしょう。
Q1: Glances をインストールする際に依存ライブラリのエラーが出ます。
A1: 結論から言うと、システムにビルドツールや開発用パッケージが不足している可能性が高いです。Linux ディストリビューションでは build-essential や python3-dev パッケージを事前にインストールしてください。Windows の場合は Python のインストール時に「Add to PATH」にチェックを入れるか、管理者権限でコマンドプロンプトを開いて実行することで解決することが多いです。
Q2: Web UI にログインできませんが、パスワードは設定しました。
A2: 結論から言うと、ブラウザのキャッシュやセッションの問題かもしれません。まず --auth-enabled オプションが有効になっているかコマンドラインを確認してください。また、Glances の設定ファイル内の username と password が一致しているか再確認し、ブラウザのシークレットウィンドウでアクセスを試みてください。
Q3: Docker コンテナの監視情報を表示できません。
A3: 結論から言うと、Docker ソケットへのアクセス権限が不足しています。コンテナ起動時に -v /var/run/docker.sock:/var/run/docker.sock でソケットをマウントする必要があります。また、Glances のコンテナは --privileged フラグが必要になる場合があるため、設定を見直してください。
Q4: API を使用して外部通知を送りたいですが、エラーになります。
A4: 結論から言うと、API エンドポイントの URL や認証情報が正しく指定されていませんか?http://localhost:61208/api/v1/stats が正しい形式です。また、Glances サーバー側で --auth-enabled を有効にしている場合は、リクエストヘッダーにユーザー名とパスワードを含める必要があります。
Q5: Glances の Web UI は HTTPS に対応していますか?
A5: 結論から言うと、はい対応していますが設定が必要です。デフォルトでは HTTP です。SSL 証明書ファイル(.pem)を指定し、--ssl-certfile と --ssl-keyfile 引数を使用して起動することで暗号化通信が可能になります。自己署名証明書の利用も可能です。
Q6: htop と比べて Glances のリソース消費はどの程度ですか? A6: 結論から言うと、Glances は非常に軽量です。通常、メモリ使用量は数十 MB で収まり、CPU 負荷もほぼゼロに近い状態です。ただし、Web UI を起動すると Flask のプロセスが追加で起動するため、若干のオーバーヘッドが発生しますが、サーバー運用には全く問題ないレベルです。
Q7: 遠隔地にあるサーバーを Glances で監視したいですが方法?
A7: 結論から言うと、Client/Server モードか Tailscale を利用するのが最適です。Glances の -s オプションでサーバーモードにし、クライアント側で IP アドレスを指定します。セキュリティ対策として SSH トンネルや VPN(Tailscale)経由で接続してください。
Q8: Glances の設定ファイルはどこに保存されますか?
A8: 結論から言うと、OS によってパスが異なります。Linux と macOS では ~/.config/glances/glances.conf、Windows では %APPDATA%\glances\glances.conf に保存されます。このファイルを編集することで、起動時のデフォルト設定を変更可能です。
Q9: InfluxDB へのエクスポート設定で接続エラーが出ます。
A9: 結論から言うと、InfluxDB のユーザー権限やネットワーク設定を確認してください。Glances 側で --export-influxdb を有効にし、正しいホスト名とポートを指定しているか確認します。また、InfluxDB サーバー側のファイアウォールで Glances からの接続を許可しているかも重要です。
Q10: Glances の歴史データ機能を使いたいのですが設定方法?
A10: 結論から言うと、--history オプションを使用して有効化できます。このオプションは SQLite データベースに情報を保存し、過去のデータポイントをグラフとして表示します。ただし、ディスク容量を消費するため、保存期間やサイズ制限の設定も併せて行うことをお勧めします。
Glances は、クロスプラットフォームに対応した軽量なサーバー監視ツールであり、CLI モードと Web UI モードの両方を提供して多様な運用ニーズに応えます。Python 3.12+ を前提とした最新バージョンでは、パフォーマンスがさらに向上し、Docker や GPU の詳細な監視もサポートしています。
本記事で解説した主な要点は以下の通りです。
pip や uv、あるいは Docker コンテナを用いて、環境に応じて柔軟に Glances を導入可能である。Glances を活用することで、サーバーの健全性を常時把握し、トラブルを未然に防ぐことができます。設定や運用において不明な点があれば、公式ドキュメントやコミュニティを参照しながら、最適な監視環境を構築してください。本ガイドがあなたのサーバー管理業務のお役に立てれば幸いです。

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やっぱり前より全然違う!買い替えて大満足の相棒になりました
前に使ってたモデルも結構良かったんですけど、なんか「もっといいものはないかな?」って思っちゃうのがゲーマー(というか、趣味で色々触ってるタイプ)な性分ですかね。それで今回、思い切ってこれにアップグレードしてみたんです。正直、この高い買い物だから、「本当に前よりマシなの?」って半信半疑だったんですけど...
65インチ大型モニター、これはマジででかい!没入感がハンパない!
以前は43インチのモニターを使っていましたが、ゲームの没入感を求めて、思い切って65インチに買い替えました。壊れたわけではありませんが、どうしても画面の大きさに惹かれてしまって。今回選んだのはアイリスオーヤマのDO-EU655S-B。Amazon.co.jp限定モデルということもあり、HISパネル採...
ARZOPA モバイルモニター、FPSゲーマーにはコレ!大画面で敵を倒せます
FPS歴5年の俺、めっちゃ良い!初めてのモバイルモニター購入だけど、ARZOPAの15.6インチモニター、マジで最高。特に、ゲーム中に縦表示で使ってみると、モニターを横向きにしても視野が確保できて、敵を倒すのがめっちゃ楽になったんだよね。1ヶ月使ってるけど、応答速度も速くて、遅延も気にならないから、...
マジで買ってよかった!43インチ4Kモニター、仕事の効率爆上がり!
以前使っていた27インチのフルHDモニターが、長年の使用で輝きを失い、色もイマイチだったんです。画面が小さくて情報が詰め詰めになって、目が疲れるのが悩みだったんですが、買い替えを検討していた時にこのモニターを見つけました。Amazon限定モデルで、43インチの4Kモニター、しかもVAパネル!値段も4...
息を呑むほどクリア!お値段以上のIPSモニター
初めてのモニター購入で、正直何を選んでいいか全くわかりませんでした。パソコンは仕事でも家計簿つけでも使うので、長時間見ても目が疲れないものが良いな、とは考えていたのですが…。色々調べていくうちに、IPSパネルっていうのが目に優しいらしいと知り、予算と合わせてこのFMV E22-8Tを見つけました。整...
え、マジか!ゲームが別次元になる24.5インチWQHDモニター
デスク環境を整えるのが趣味の30代サラリーマンです。モニター選びは本当に慎重派で、色々比較検討した結果、INNOCNの24.5インチWQHDゲーミングモニター「25G2S」に決めました。実は今までフルHDのモニターを使っていたんですが、ゲームをプレイする度に「もっと綺麗に、もっと滑らかに」ってずっと...
大画面デビュー!使い勝手は価格相応かな
ずっと気になっていたモバイルモニターの購入に、今回挑戦してみました。初めてこれを使うので、正直なところ、期待と現実はちょっとギャップがあるかな、という感じですね。以前使っていたものとは比べられない部分もあるし、何が本当に良いのかも掴めない、そんな「まあ、こんなもんか」っていう冷静な気持ちで1ヶ月を過...
業務効率爆上げ!50インチ4Kモニター、マジで神!
普段から動画編集や資料作成にPCを使ってるんだけど、以前の27インチモニターじゃ情報量に限界を感じてて、マジで「もっと広い画面で見たい!」ってずーっと思ってたんだよね。それで、色々探してI O DATAの50インチ4Kモニター、EX-U501VXに飛びついた! まず、広さが全然違う!フルHDの4倍...
快適に使えて満足!東芝のHDD
初めてこの東芝のMQ01ABD050というハードディスクを購入して約3ヶ月が経過しました。パソコンは普段ゲームや動画視聴、写真編集などを使っていますが、全くストレスなく使えるようになりました。特に4Kセクターという点で、今後のハイビジョン需要に対応できることが魅力的です。もう一つ、この商品の良い点と...
効果的なモニタースピーカーで作業の生産性UP!
最近、在宅ワークが増えたので、YAMAHA HS4W ペア ケーブルセットを導入しました。以前は一般的な家電量販店で購入した安価なスピーカーを使用していましたが、音質と機能性に不満がありました。HS4Wを使ってからは、作業の生産性が明らかにUPしました。 まず最初に気づいたのは、高解像度でクリアな音...
Q: さらに詳しい情報はどこで?
A: 自作.comコミュニティで質問してみましょう!