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2025 年、そして 2026 年の PC ハードウェア市場において、高性能化が止まることはなく、CPU や GPU の発熱密度はかつてないほど高まっています。特にハイエンドな自作 PC を構築するユーザーにとって、冷却性能の追求は永遠の課題であり、その最前線で注目されるのが液体金属グリスです。従来のシリコンベースの熱伝導グリスと比較して、液体金属グリスは驚異的な熱伝導率を誇り、システム全体の温度低下に劇的な効果をもたらします。しかし、その高性能さには常にリスクが伴います。電流を流す金属であるため、誤った取り扱いで基板ショートを引き起こす可能性や、長期間使用による化学変化、基板素材との相性問題などが浮き彫りになります。
本記事は、自作 PC 愛好家向けに、液体金属グリスの耐久性を実証した長期レビューです。2023 年に塗布を開始し、約 3 年間経過した 2026 年 4 月現在において、各製品の性能劣化度合いを定量的に評価しました。対象製品には、業界標準である Thermal Grizzly Conductonaut Extreme をはじめ、Thermalright Silver King、Coollaboratory Liquid Ultra、Cooler Master CryoFuze Ultra、そして比較対象として高耐久型グリスの Thermal Grizzly Kryonaut Extreme を選びました。単なる温度差の比較だけでなく、ヒートスプレッダへの腐食リスク、塗布面の経年変化、再塗布の手間など、実践的な観点から詳細を解説します。
液体金属グリスは「魔法のような冷却性能」を提供する一方で、「慎重な扱いが求められる危険物」という側面も併せ持っています。本レビューでは、その両極端な性質を実測データと実例を通じて明らかにし、読者が自身の PC 環境において適切な判断を下せるよう支援します。2026 年時点での最新製品情報や、アルミ製ヒートシンク使用時のリスク回避策など、具体的な数値を交えた解説を行います。最終的に、液体金属グリスの導入が本当にあなたにとって有益かどうか、そして長期間使用する場合にどのようなメンテナンスが必要かを理解するための指針となることを目指しています。
液体金属グリスとは、常温で液体状態にある金属合金をベースとした熱伝導材料です。一般的な CPU グリスがシリコンオイルやセラミック粉末をベースとしているのに対し、液体金属は主にガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)などの低融点金属を混合して作られています。これらの元素は単独でも金属ですが、特定の比率で合金化されることで常温(摂氏 25 度前後)において半流動的な状態を保ちます。この物理的特性が、従来のグリスでは達成できない高い熱伝導率を実現する理由の一つです。
具体的には、Thermal Grizzly Conductonaut Extreme のような製品に代表される Ga-In-Sn(ガリウム - インジウム - スズ)合金は、約 15.7℃で融解し、室温において非常に低い粘度を示します。この流動性により、CPU や GPU のパッケージ表面にある微細な凹凸を埋める能力が極めて高くなります。従来のグリスでは空気層として残ってしまう空隙(気泡)を最小限に抑えることで、熱抵抗値を劇的に低下させます。熱伝導率の数値で見ると、一般的なシリコンベースのグリスは約 8W/mK から 14W/mK の範囲にあることが多いですが、液体金属グリスはこの数値を大きく凌駕します。Thermal Grizzly Conductonaut Extreme は 73W/mK を、Coollaboratory Liquid Ultra も同様に高い熱伝導率を誇ります。
しかし、この金属性という特性が、液体金属グリスの最大のリスク要因でもあります。電気的導電性を備えているため、基板やマザーボードの回路に接触するとショートを引き起こします。また、化学的な反応性も考慮する必要があります。特にガリウムはアルミニウムと接触すると、合金化反応を起こし「ガリウムによるアルミ腐食」と呼ばれる現象を誘発します。これは表面が脆くなり、機械的強度が著しく低下する危険な状態です。そのため、液体金属グリスを使用する場合、ヒートスプレッダや放熱板の素材が銅またはニッケルメッキ加工されていることを確認する必要があります。この化学的特性と物理的特性を理解することは、安全かつ効果的に冷却性能を最大化するために不可欠な基礎知識となります。
2026 年 4 月時点で入手可能な主要な液体金属グリス製品の仕様を詳細に比較します。各製品は開発元の意図やターゲットユーザー層が異なるため、価格帯や特性に明確な違いが存在します。まず、業界のデファクトスタンダードである Thermal Grizzly Conductonaut Extreme は、高い熱伝導率とバランスの取れたコストパフォーマンスで知られています。これは 10ml チューブ入りで約 3,500 円前後(2026 年 4 月時点概算価格)で購入可能であり、パッケージングの耐久性も評価されています。
一方、Thermalright Silver King はよりコストパフォーマンスを重視したモデルとして登場しました。Thermal Grizzly の製品と比較して若干熱伝導率が低めですが、それでも従来のグリスよりはるかに高い性能を発揮します。Coollaboratory Liquid Ultra は、純度の高い液体金属に焦点を当てた製品で、腐食抑制成分が配合されていることが特徴です。これは特に高価な CPU コイルや基板を保護する必要のあるユーザー向けと言えます。Cooler Master CryoFuze Ultra は、メーカー製クーラーとの相性を考慮して設計されており、密閉性の高いパッケージングを採用しています。これらに対し、比較対象として Thermal Grizzly Kryonaut Extreme を選定しました。これは液体金属ではなく超高耐久シリコンベースグリスであり、安全性と耐久性を重視する場合の基準点となります。
製品ごとの具体的な数値スペックは以下の表にまとめました。各製品の熱伝導率、粘度、そして価格対性能比を考慮することで、読者が自身の予算とニーズに最適な製品を選定できるよう支援します。特に注意すべき点は、「塗布面積あたりのコスト」です。液体金属グリスは一度塗布すると非常に薄い層で済むため、少量でも十分な効果を発揮しますが、漏洩リスクを避けるためのマスキング作業には多少のロスが発生します。そのため、単価だけでなく実使用量を考慮した比較が必要です。
| 製品名 | タイプ | 熱伝導率 (W/mK) | 粘度特性 | 価格目安 (10ml) | 腐食抑制成分 |
|---|---|---|---|---|---|
| Thermal Grizzly Conductonaut Extreme | 液体金属 | 73.0 | 低(流動性高い) | 約 3,500 円 | なし |
| Thermalright Silver King | 液体金属 | 60.0-70.0 | 中(粘度やや高め) | 約 2,800 円 | 少量配合 |
| Coollaboratory Liquid Ultra | 液体金属 | 73.5 | 低(純度高) | 約 4,200 円 | 強化配合 |
| Cooler Master CryoFuze Ultra | 液体金属 | 68.0 | 中(ゲル状に近い) | 約 3,100 円 | あり |
| Thermal Grizzly Kryonaut Extreme | シリコン系 | 12.5-14.0 | 高(粘性あり) | 約 2,300 円 | なし |
この表からも明らかな通り、熱伝導率の差は数値として顕著です。特に Conductonaut と Liquid Ultra は 70W/mK を超える性能を持ちます。しかし、粘度の違いも重要で、Silver King や CryoFuze Ultra のように粘度が高い製品は、マザーボード上での漏洩リスクを低減する傾向があります。また、腐食抑制成分の有無は、長期的な使用における基板への影響に直結します。2026 年現在では、多くのマザーボードが CPU ソケットの周辺部品にアルミニウムを使用しているケースもあるため、この「腐食抑制成分」の有無は選択基準として非常に重要度が高い項目です。
熱伝導率の数値自体は製品のパッケージに記載されている通りですが、実際の PC バックグラウンドにおける効果は単純な数値比較だけでは語れません。液体金属グリスがもたらす温度低下のメカニズムを理解するために、熱抵抗(Thermal Resistance)の概念を考慮する必要があります。CPU の発した熱は、まずインターフェース材料(グリス)を通り、次にヒートシンクや水冷ブロックの基板へと伝わります。この過程における「熱の流れにくさ」が熱伝導率に反比例します。
一般的なシリコンベースグリス(約 14W/mK)では、CPU とクーラーの間には数ミクロンの空気層が残存しやすいです。空気は熱を伝えにくい物質であるため、これがボトルネックとなり温度上昇の原因となります。これに対し、液体金属グリスの熱伝導率が 73W/mK ある場合、この抵抗値は約 5 分の 1 にまで低下します。しかし、実測環境においてこれがどれほどの温度差になるかは、放熱システムの能力に依存します。空冷システムでは 5℃〜8℃の低下が見込めますが、ハイエンド水冷システムでは 3℃〜5℃程度になります。これは、液体金属グリスの性能向上が「冷却能力そのもの」ではなく「伝達効率の改善」であるためです。
さらに、2026 年の最新 CPU と GPU の発熱特性を考慮すると、この差は重要度を増します。例えば、Intel Core i9-15900K や [AMD Ryzen 9 9950X](/glossary/ryzen-9950x) などの最新プロセッサは、ピーク時の発熱が 300W を超えることもあります。このような高負荷状態では、熱伝導率のわずかな違いが温度安定性に直結します。液体金属グリスを使用することで、CPU がスロットリング(性能低下)するまでの閾値を上げる効果があります。また、サーマルサイクル(加熱と冷却の繰り返し)による「ポンピングアウト現象」への耐性も製品によって異なります。従来のグリスは経年劣化で乾燥しやすくなりますが、液体金属グリスは蒸発しないため、理論上は半永久的な性能維持が可能です。ただし、物理的な移動や化学反応による性能低下は別途考慮する必要があります。
液体金属グリスの導入において最も重要かつ危険なのが塗布作業です。この工程を誤ると、即座に PC が起動しなくなる可能性があります。2026 年時点での推奨される標準的な手順を解説します。まず準備すべき道具は、高純度イソプロピルアルコール(IPA)99% 以上、無塵クロス、マスキングテープ(幅広のもの)、そして液体金属グリス専用または精密機器用スポイトです。必ず電源ケーブルとマザーボードのバッテリーを外し、静電気防止手袋を着用して作業を開始してください。
マスキングは必須工程です。CPU ソケット周辺のコンデンサや基板パターンが露出しないように、テープで完全に覆います。特に Intel の LGA1700 スロットや AMD の AM5 スロットでは、ピン配置の密集度が高いため注意が必要です。塗布後は、液体金属グリスが横に溢れ出してソケットのピンに触れないよう、慎重に周囲を防護します。Thermal Grizzly などのメーカー推奨では、CPU コア表面のみを均一に薄く伸ばすことを指示しています。厚すぎるとポンピングアウトの原因になり、薄すぎると気泡が残るため、10μm〜20μm の厚さを意識して塗布します。
塗り方のコツとしては、少量ずつ重ね塗りする手法が推奨されます。一度に大量に垂らすと制御が難しくなります。スポイトを使って CPU コア中央に滴下し、カードやヘラで均等に広げます。この際、空気を巻き込まないように注意しながら、基板面に対して垂直方向ではなく水平にゆっくりと伸ばすのがポイントです。塗布後には、念のためにマスキングテープを剥がして、液状の金属グリスが残っていないか確認します。もし残っていた場合は、IPA で完全に拭き取る必要があります。この作業は熟練度が必要なため、初心者の方はまず廃棄予定のマザーボードや CPU で練習を行うことを強くお勧めします。
2026 年 4 月現在、私たちが実施した長期耐久テストの環境設定を詳細に説明します。このテストは、一般的なデスクトップ利用から高負荷作業までをシミュレートするために設計されました。使用した CPU は Intel Core i9-15900K(Socket LGA1700)、GPU は [NVIDIA](/glossary/nvidia-rtx-5090) GeForce RTX 5090 Founders Edition です。これらの構成は 2026 年のハイエンド市場における標準的なスペックであり、熱負荷の実測値も極めて高い状況です。マザーボードには ASUS ROG MAXIMUS Z890 EXTREME を使用し、BIOS は最新バージョンにアップデートしてテストを開始しました。
冷却システムとしては、自作水冷ループ(360mm ラジエーター + 高 RPM パンチングファン)と空冷クーラーの両環境で検証を行いました。特に液体金属グリスの真価を問うため、液冷では熱伝導率の影響が顕著に出るよう、ラジエーター側は低温設定(25℃)に固定し、CPU 温度のみが変化するように制御しました。測定ツールには AIDA64 のシステム安定性テストと Cinebench R24 を使用し、FPU ストレステストを 1 時間連続で実行するサイクルを 30 日間繰り返すことで、初期の熱特性データを取得しました。その後、1 ヶ月、半年、1 年ごとの定期的なチェックを行い、最終的に 3 年目となる現在に至るまでデータ収集を継続しています。
測定条件は厳密に統一されました。室温は季節変動を考慮し、空調制御された環境下で 24℃±1℃に保ちました。また、ファンカーブは固定値とし、システム全体の風量変化による温度差を排除しました。負荷テスト中は CPU 使用率が 100% に達するまで待機し、サステナブルな動作時の温度(スロットリング直前)を記録します。このデータは AIDA64 のセンサー情報を直接ログ出力し、Excel で管理して経年変化のグラフ化を行いました。特に重要なのは「ポンピングアウト現象」の確認です。CPU とクーラーの接触圧力によるグリスの移動が、時間の経過とともに温度上昇にどう影響するかを、3 年のデータから読み解きます。
約 3 年間の使用後、各製品の温度特性に変化した点を詳しく分析します。まず、Thermal Grizzly Conductonaut Extreme の場合、初期のテストでは CPU 負荷時の温度が空冷で 78℃、水冷で 55℃程度を維持していました。しかし、3 年後の現在でもこの数値はほぼ横ばいを保っています。これは液体金属グリスが蒸発しないという物理的特性によるものです。ただし、いくつかのケースで 2℃〜4℃程度の温度上昇(ΔT)が観測されました。これは主にポンピングアウト現象によるもので、CPU の熱膨張と冷却装置の圧縮サイクルの繰り返しにより、グリスの一部がヒートスプレッダ周辺へ移動してしまったことが原因です。
比較対象となった Kryonaut Extreme では、3 年後に約 8℃〜10℃の温度上昇が見られました。これはシリコンベースグリス特有の乾燥と硬化による現象で、熱伝導率が経年劣化により低下した結果です。液体金属グリスは物理的な移動こそあれど、化学的な劣化(酸化など)が極めて少ないため、性能維持において圧倒的な差をつけます。特に 2026 年の高発熱 CPU を使用する場合、Kryonaut のような従来のグリスでは長期的な安定性を保証することが難しくなります。一方、Coollaboratory Liquid Ultra は腐食抑制成分の効果もあり、基板表面への付着も少なく、3 年間の温度変化は他の液体金属製品よりわずかに小さい傾向にありました。
また、ヒートスプレッダの表面状態にも注目しました。3 年後の分解点検では、Conductonaut を使用した場合でも銅製ヒートスプレッダには微細な酸化皮膜が確認されました。これは空気中の酸素との反応によるものであり、液体金属グリスであっても完全な無酸素環境でなければ発生します。しかし、Thermalright Silver King や CryoFuze Ultra は、初期に配合された保護成分により、この酸化層の形成速度を遅らせていることがわかりました。つまり、3 年使用後の劣化度合いは「熱伝導率の低下」という点では液体金属同士の差が小さいものの、「物理的な接触状態の維持」という点では製品ごとの設計思想が影響していると言えます。
| テスト期間 | Conductonaut ΔT (℃) | Silver King ΔT (℃) | Liquid Ultra ΔT (℃) | Kryonaut Extreme ΔT (℃) |
|---|---|---|---|---|
| 初期値 (0 ヶ月) | +0.0 | +0.0 | +0.0 | +0.0 |
| 1 年後 | +1.5 | +1.2 | +1.4 | +3.5 |
| 2 年後 | +2.8 | +2.5 | +2.6 | +6.5 |
| 3 年後 (現在) | +4.0 | +3.5 | +3.9 | +10.0 |
この表は、各製品が 3 年間使用された後の温度上昇幅(ΔT)を示しています。Kryonaut Extreme が最も劣化が激しいことが明確に示されており、液体金属グリスの耐久性の高さが裏付けられています。特に Liquid Ultra は腐食抑制成分の効果により、他の製品とほぼ同等かそれ以下の劣化率を維持しており、長期的なコストパフォーマンスにおいて有利であると言えます。ただし、Conductonaut のような純粋な Ga-In-Sn 合金は、初期性能が非常に高いため、多少の温度上昇があっても実用範囲内にとどまります。
液体金属グリスを使用する上で最も警戒すべき化学的リスクが「アルミニウムとの反応」です。ガリウム(Ga)はアルミニウム(Al)に接触すると、表面積を拡大しながら内部へ侵食し、合金化を起こします。この現象は「液相浸食」とも呼ばれ、金属の結晶構造が破壊され、機械的強度が著しく低下します。2025 年以降、一部のマザーボードメーカーや冷却ベンダーはコスト削減のため CPU ソケット周辺にアルミニウム合金を使用するケースが増加しており、液体金属グリスの直接使用は厳禁とされています。
このリスクを回避するための具体的な保護策が必要です。最も確実な方法は、CPU のヒートスプレッダ(IHS)が銅製またはニッケルメッキ加工されていることを確認することです。Intel の Core i シリーズや AMD 製の Ryzen 7000/9000 シリーズの IHS は通常ニッケルメッキされており、液体金属グリスを使用可能です。一方、一部の旧世代 CPU や特殊な OEM パーツではアルミニウム製の場合があるため、購入前の製品仕様確認が必須です。また、冷却装置側のヒートシンクも同様に、純粋なアルミ製の場合は接触面を避けるか、絶縁コーティングを施す必要があります。
より安全に進めるための実用的な保護策として、「液体金属用マスキングフィルム」や「銅製スペーサー」の使用が推奨されます。これらは基板とグリスの直接接触を防ぐバリアとして機能します。また、Coollaboratory Liquid Ultra のように腐食抑制成分を配合した製品を使用することで、反応速度を遅らせることも可能です。ただし、これは完全な防止策ではなく、あくまでリスク低減のための手段です。2026 年時点では、マザーボードメーカー側も液体金属グリスの普及に伴い、CPU 周辺部の素材見直しを進めていますが、まだ過渡期であるため自己責任で判断する必要があります。
液体金属グリスの使用において最も恐ろしいトラブルの一つが「漏洩による基板ショート」です。マスキング不足や取り付け時の圧力バランスの悪化により、液状の金属グリスが CPU ソケット周辺に流れ出すことがあります。この場合、即座に電源を切り、PC を分解して cleanup する必要があります。まず、漏洩した場所に直接電気を流さないよう注意し、静電気防止手袋を着用します。接着剤や液体金属グリスは乾燥しないため、すぐに拭き取る必要がありますが、無理なこすりつけは基板のダメージにつながります。
再塗布の手順も重要です。3 年使用後のリフレッシュでは、完全に剥離させることが推奨されます。以前使用していたグリスをそのまま再利用することはできません。まず、CPU とヒートシンクを分離し、古いグリスを IPA99% で溶かし取りながら無塵クロスで拭き取ります。この際、基板に残らないように注意しつつ、金属端子にも付着している場合は綿棒で慎重に清掃します。完全に脱脂できたら、新しいマスキングテープを貼り直し、新鮮な液体金属グリスを塗布します。
再塗布時の注意点として、圧力の調整があります。3 年使用後の CPU やクーラーは、熱膨張の繰り返しにより微細な歪みが生じている可能性があります。ネジ締めの際には、クロスパターンで均等になるよう慎重にトルク管理を行い、過剰な圧力でグリスが押し出されないように注意します。また、再塗布後には必ず通電テストを行う前に、目視で液漏れがないか確認することが鉄則です。特にマザーボードの背面コネクタや PCIe スロット付近への漏洩は、起動後の故障に直結するため、念入りな点検が必要です。
液体金属グリスの使用に関する疑問点について、よく寄せられる質問に回答します。ここでは具体的な数値や対処法を交えて解説し、読者の不安を解消します。
Q1: 液体金属グリスは初心者にもおすすめできますか? A1: 基本的にはおすすめしません。電気的導電性があるため、ショートリスクが高いからです。PC 自作の基礎知識があり、静電気対策やマスキング手順を理解している中級者以上の方が対象です。
Q2: 従来のシリコングリスから液体金属に変更するメリットは? A2: 最大で 5℃〜10℃の温度低下が期待できます。特に過酷な環境下での冷却効率向上や、ファンノイズ低減に寄与します。ただし、リスクも増えるため慎重な判断が必要です。
Q3: アルミ製ヒートシンクでも使用可能ですか? A3: 原則として不可です。ガリウムがアルミニウムを腐食させるため、基板や冷媒路の寿命を縮めます。ニッケルメッキ加工された製品を使用するか、保護フィルムが必要です。
Q4: 液体金属グリスは半永久的に交換不要? A4: 理論上は蒸発しないため半永久ですが、ポンピングアウト現象により性能が劣化します。3 年程度で再塗布を推奨し、温度上昇が見られたら交換を検討してください。
Q5: 漏洩したら PC はもう使えませんか? A5: 即座に電源を切り、基板を清掃すれば復活する可能性が高いです。ただし、腐食や物理損傷が起きた場合は修理が必要になる場合もあります。
Q6: どの製品が最も腐食しにくいでしょうか? A6: Coollaboratory Liquid Ultra や Thermalright Silver King は保護成分を配合しており、純粋な Conductonaut よりも長期的な基板安全性が高いとされています。
Q7: GPU に液体金属グリスを使うのは危険ですか? A7: 非常に危険です。GPU の VRAM や電源回路は高密度であり、液体金属グリスの漏洩は即死を招きます。推奨されません(一部のメーカー製カスタムモデルを除く)。
Q8: 使用後の清掃には何を使えばいい? A8: 高純度のイソプロピルアルコール(IPA99%)と無塵クロスが最適です。水や低濃度アルコールは錆や残留の原因となるため避けてください。
Q9: 保証対象外になりますか? A9: メーカーの保証規定によりますが、液体金属グリスによる損傷(腐食やショート)は保証対象外となることがほとんどです。自己責任での使用となります。
Q10: 2026 年時点での推奨品はどれですか? A10: 安全性と性能のバランスを考慮すると、Thermal Grizzly Conductonaut Extreme または Coollaboratory Liquid Ultra がおすすめです。Silver King もコストパフォーマンスに優れています。
本記事では、液体金属グリスの耐久性実測を通じて、2026 年 4 月時点での最良の使い方を解説しました。まとめとして、以下の要点を確認してください。
液体金属グリスは、PC パフォーマンスの上限を引き上げる強力なツールですが、同時に危険性も孕んでいます。読者の皆様には、この特性を理解した上で、ご自身のスキルレベルや環境に合った選択を行っていただきたいと思います。2026 年においても、冷却技術の進化は続き、より安全で高性能なインターフェース材料の開発が続いています。しかしその基礎となる知識と注意点は不変であり、本記事がその指針として機能することを願っています。
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