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宇宙の深淵から届く微かな電波を捉え、人類の知見を広げるための活動として、電波天文学のアマチュア研究は長年の歴史を誇ります。しかし、そのためには単なる受信機だけでなく、高性能な PC を中心としたデータ処理環境が不可欠です。本記事では、2026 年 4 月時点での最新技術を用いた、SETI@home や IBT(Itty Bitty Telescope)、Radio JOVE、SDR(Software Defined Radio) を駆使した H-line(1420MHz) および 21cm 線観測用の PC 構築方法を徹底解説します。
電波天文学において PC は単なるデータ保存装置ではなく、リアルタイムで信号を処理し、ノイズを除去し、可視化する重要な計算機です。特に 2026 年現在では、AI を用いた信号検出アルゴリズムや、高速な FFT(高速フーリエ変換) 演算能力が求められます。Intel Core i7-14700K や NVIDIA GeForce RTX 4070 といった高性能パーツを組み合わせることで、通常の PC ゲーミング用途とは異なる負荷特性を持つ電波観測環境を構築できます。本稿では、ハードウェア選定からアンテナ設置、ソフトウェア設定に至るまで、具体的な数値と製品名を用いながら詳細な手順を提供します。
電波天文学は、可視光線以外の電磁波を利用して宇宙を研究する分野であり、その観測対象は水素原子から放出される 21cm 線(約 1420.4MHz)や、太陽からの強力な放射、そして地球外知的生命体の可能性を示唆する SETI(Serendipity) プロジェクトなど多岐にわたります。アマチュア天文家にとって、これらの観測は専門家だけのものではなく、市民科学として参加できる重要な領域です。特に H-line と呼ばれる 1420MHz の水素線は、銀河の構造や物質分布を把握する上で極めて重要であり、多くのアマチュアが目標とする周波数帯域となっています。
SETI@home は、Berkeley University が運営するプロジェクトで、世界中のボランティア PC が無作為な電波データを処理し、人工的なシグナルを検出します。2026 年現在では、このプロジェクトもクラウド連携や AI による前段フィルタリングが進化しており、ローカルでの処理精度が向上しています。しかし、SETI@home のような計算リソースを要するタスクを実行するには、多コア CPU と大容量メモリが必要不可欠です。また、IBT(Itty Bitty Telescope) は小型の電波望遠鏡であり、自宅の屋根上やベランダからでも銀河中心方向の観測が可能になる画期的な機材として普及しています。
アマチュアが専門家に勝る点は、設置場所の自由さと継続的なモニタリング能力です。プロの施設は限られた時間しか観測できず、天候やコストに制約を受けますが、自宅に設置された PC 基地局は 24 時間稼働が可能であり、突発的な現象(バースト波など)を逃しません。ただし、都市部では電磁ノイズ(RFI: Radio Frequency Interference)の影響が甚大であるため、PC をどのように設計し、どう電波干渉から守るかが鍵となります。本記事の PC 構築ガイドは、この RFI との戦いも含めて、最小限の投資で最大限の成果を得られる構成を提案します。
電波天文観測における PC の役割は、単なるデータ保存ではなく、リアルタイムな信号処理に重きが置かれます。2026 年時点での標準的な推奨スペックとして、Intel Core i7-14700K を採用します。このプロセッサは 20 コア(8P+12E)を備え、最大クロックは 5.6GHz に達します。電波データ処理では、FFT(高速フーリエ変換) が頻繁に使用されますが、これは並列計算に向いているため、パフォーマンスコアと効率コアの両方が活発に機能するこの構成は理想的です。特に SETI@home のような CPU 依存型のタスクをバックグラウンドで回しつつ、SDR#や GNU Radio でリアルタイムの Waterfall(周波数 - 時間表示)描画を行う場合、マルチスレッド処理能力がボトルネックになりません。
メモリ容量については、32GB の DDR5-6000MHz を推奨します。電波データは生の IQ サンプルとして記録される場合、1MHz の帯域幅で 1 秒間に数 MB から数十 MB のデータ量が発生することがあります。高解像度の観測を行うと、数分間で 1GB 以上のデータが蓄積されます。32GB を確保することで、メモリマップドファイルを使用してディスクアクセスを減らしつつ、処理中のバッファリングをスムーズに行えます。もし予算に余裕があれば、64GB への増設も検討の余地がありますが、i7-14700K とのバランスを考慮すると 32GB が現時点での最適解です。また、DDR5 の高い帯域幅は、PCIe 4.0 SSD からのデータ読み込み速度にも寄与し、リアルタイム処理の遅延を最小限に抑えます。
グラフィックカードには NVIDIA GeForce RTX 4070 を採用します。RTX 4070 は CUDA コアを多数搭載しており、GPU アクセラレーションによる FFT 演算が可能です。SDR ソフトウェアの中には、NVIDIA の OpenCL や CUDA API を利用して描画負荷を下げるものがあり、特に Waterfall スクロールやスペクトル解析の滑らかさを向上させます。また、2026 年現在は AI 検出アルゴリズムが GPU で実行されるケースも増えています。RTX 4070 の VRAM は 12GB を備えており、高解像度の画像データやキャッシュデータを保持するのに十分な容量があります。ただし、PC の電源ユニットは 850W 以上の Gold 認証以上を選び、電波観測中は電力供給の安定性を保つ必要があります。
SDR(Software Defined Radio) は、アンテナで捉えた信号をデジタル変換し、PC でソフトウェア的に処理する技術であり、現代のアマチュア電波天文学の核心です。エントリーモデルとしては RTL-SDR Blog V4 が挙げられますが、これは 2026 年現在でもコストパフォーマンスに優れ、入門には十分機能します。しかし、より高感度で広帯域な観測を行う場合は、Airspy HF+ や HackRF One を検討する必要があります。RTL-SDR のサンプリングレートは最大約 3.2Msps ですが、HF+ はさらに高いダイナミックレンジを持ち、微弱な信号を検出する際に有利です。特に H-line(1420MHz) 付近の観測では、ノイズフロアが低く抑えられるかが重要であり、Airspy のような高品質な受信機を選ぶことで、太陽活動や天体からの微弱な放射を捉える確率が向上します。
接続インターフェースとしては、USB 3.0 以上を使用することが必須です。USB 2.0 では帯域幅が不足し、データ転送中にパケットロスが発生して観測データに欠損が生じる可能性があります。特に SDR# や GNU Radio を使用する場合、1Msps 以上のデータを安定して PC に送信するには USB 3.1 Gen1(5Gbps) の帯域が必要です。PC 側では、マザーボードの rear I/O パネルにある直接接続された USB コントローラにケーブルを挿すことを推奨します。USB ハブやフロントパネル端子は電源ノイズの影響を受けやすく、電波観測には不向きです。また、ケーブルの長さは 1.5m 以内とし、 Shielded(シールド加工) された高品質な USB ケーブルを使用することで、外部からの干渉を最小限に抑えることができます。
サンプリング周波数の設定は、観測対象に応じて調整します。H-line の狭帯域観測であれば、2Msps で十分ですが、広範囲のノイズ調査や SETI@home 用には 10Msps 以上が必要になる場合もあります。RTX 4070 を搭載した PC では GPU 処理が間に合うため、高サンプリングレートでの処理も可能です。ただし、データ量が増えると SSD の書き込み速度がボトルネックとなるため、NVMe SSD の使用を強く推奨します。また、SDR は電圧に敏感なため、PC が直接給電する USB ポートよりも、外部電源アダプターを介して動作させる受信機モデル(Airspy など)の方が安定性が高い傾向にあります。
アンテナは電波天文学の「耳」とも言える部分であり、PC 性能以上に観測結果に直結する重要な要素です。本記事で推奨する Itty Bitty Telescope(IBT) は、非常にコンパクトながら高利得を誇る小型のパラボラアンナです。直径 1.5 メートルのパラボラ反射板を使用し、1420MHz で約 30dBi の利得を得ることができます。これは、同じ周波数帯域の一般的な Yagi アンテナと比較して、はるかに鋭い指向性と高い感度を持ちます。IBT を使用することで、銀河中心方向や特定の電波源に対して焦点を当てた観測が可能となり、背景ノイズに対する信号対雑音比(SNR)が劇的に改善されます。
Radio JOVE プログラムで用いられるような Yagi アンテナも、太陽活動の観測には有効です。しかし、H-line 観測や SETI@home のような微弱な宇宙電波を検出する目的では、パラボラアンテナが有利です。パラボラアンテナは焦点距離と反射板の精度によって利得が決まります。2026 年製の最新モデルは、アルミ製のリフレクターに高精度な加工が施されており、表面粗さが波長より十分小さいため、効率よく電波を反射します。設置場所は、背後に建物や金属構造物がないこと、かつ水平方向に障害物がないことが重要です。また、アンテナのボア(軸)を正確に北極星または天頂に合わせて調整する機構が必要ですが、多くの IBT にはデジタルレベルメーターが標準搭載されており、初心者でも容易に設置可能です。
接地とマストはノイズ対策において極めて重要です。アンテナのマストが金属製の場合、雷や静電気の蓄積によるサージから受信機を守るため、適切なアース接続が必要です。ただし、アースを誤ると地球のノイズが直接取り込まれてしまうため、アースロッドと受信機の間にバリスタやバリアンタを挿入する回路設計も検討します。また、パラボラアンテナには LNB(Local Oscillator) やコンバーターが必要ですが、2026 年現在では低ノイズアンプ(LNA)が内蔵されたモジュールが一般的です。LNA のノイズ温度が低いほど微弱な信号を捉えやすくなります。例えば、ノイズ温度 50K を下回る LNA を搭載したコンバーターを使用することで、受信機自体の内部ノイズの影響を低減し、宇宙からの微弱なシグナルをより明確に識別できるようになります。
電波天文観測には、専用ソフトウェア群を適切に組み合わせる必要があります。まず、SDR#(Software Defined Radio) は Windows や Linux で動作する代表的なソフトウェアです。RTL-SDR や HackRF の設定画面からサンプリングレートやゲインを調整し、Waterfall を表示させます。2026 年バージョンでは、UI のカスタマイズ性が向上しており、観測頻度が高い H-line(1420.4MHz) にズームして表示するプリセット機能を標準で備えています。SDR# の設定において重要なのは、ゲインのバランスです。RF ゲインを上げすぎると飽和(クリップ)を起こし、信号が歪みます。逆に低すぎると微弱なノイズに埋もれてしまいます。RTX 4070 を使用している場合、GPU アラート機能を使って表示負荷を下げつつ、CPU の負荷を分散させる設定が可能です。
次に、SETI@home クライアントのインストールです。これは BOINC( Berkeley Open Infrastructure for Network Computing) プロジェクトの一部として動作します。BOINC 管理者アカウントを作成し、PC をプロジェクトに接続します。2026 年現在は、CPU 処理だけでなく GPU 処理もサポートされており、RTX 4070 の CUDA コアを有効化することで、SETI@home が実行する FFT 計算の速度が向上します。設定画面で「GPU を使用」をチェックし、優先度を調整します。また、バックグラウンドでの動作中にも PC の温度管理が行われるため、Intel Core i7-14700K の TDP(熱設計電力) 253W に耐えられるクーラー(例:Noctua NH-D15 など)の使用を推奨します。過熱によるクロックダウンはデータ処理の精度に影響を与えるためです。
GNU Radio とその GUI である GRC(Graphical User Interface) も、高度なカスタム受信機を作る場合に必須です。Python スクリプトを組むことで、特定の周波数帯域だけをフィルタリングし、デコードする独自の受信フローを作成できます。例えば、H-line の観測では、1420.4MHz を中心に±5kHz のバンドパスフィルタを設定し、ノイズフロアからの信号を検出します。GNU Radio のインストールには Python 環境の構築が必要ですが、Windows では Anaconda を経由して行うのが手軽です。また、Radio JOVE プログラム用のソフトウェアも存在し、これらは太陽観測に特化した分析ツールを提供しています。これらのソフトをインストールする際は、必ず公式サイトから最新版を取得し、セキュリティパッチが適用されていることを確認してください。
アマチュア電波天文において最大の敵は RFI(Radio Frequency Interference: 電波干渉) です。都市部や住宅街では、Wi-Fi ルーター、LED ライト、PC の電源ノイズなどが受信機に直接入り込み、宇宙信号を埋もれさせてしまいます。2026 年現在でも、これらの問題解決は PC 構築の重要な一部です。まず対策として、PC 本体と SDR を遠ざけることが効果的です。USB 延長ケーブルを使用して、PC と SDR の距離を 3m 以上離し、PC 筐体から出るノイズの影響を減らします。また、PC ケース内には強力な電磁波が発生しているため、SDR ドングルを PC ケースの外側で運用するのがベストです。
電源ノイズの除去にも注力する必要があります。PC の電源ユニット (PSU) から発生するスイッチングノイズは、広帯域に広がりやすい問題です。これを防ぐために、AC 電源ケーブルにフェライトコアを装着するか、ラインフィルターを挿入します。また、PC が動作している間も SDR は常に電力を受け取っているため、USB ハブではなくマザーボードの直結ポートを使用し、安定した電流供給を得ることでノイズを抑制します。さらに、観測環境として「RFI フリー」な空間を作るため、屋内設置の場合は金属製の遮光カーテンやシールドボックスを検討することもできますが、コストと手間を考慮すると、まずは屋外のアンテナからケーブルを引き込み、PC は室内に置く構成が一般的です。
アース取りも RFI 対策の要です。適切な接地を行うことで、静電気が蓄積するのを防ぎ、受信機へのノイズ侵入を軽減します。ただし、前述の通り誤った接地は逆効果となるため、専門的な知識を持つ場合や、アンテナ設置業者に相談することが望ましいです。簡易的には、アースロッドを地面に深く打ち込み、銅線で SDR のケースと接続しますが、この際にも信号線との分離を徹底します。また、PC 周辺機器も同様にノイズ源になり得るため、LAN ケーブルやモニターケーブルはシールド付きのものを使用し、電源コードは三股コンセントではなく、直接壁のコンセントに繋ぐことを意識しましょう。
電波観測データは非常に大量になるため、適切な保存管理が不可欠です。特に SETI@home 用や H-line の連続観測では、1 時間あたりのデータ量が数 GB に達することがあります。そのため、高速なストレージシステムが求められます。本構成では、Samsung 990 PRO 2TB の NVMe SSD を使用します。このドライブはシーケンシャル読み書き速度が 7,450MB/s と非常に速く、SDR から連続的に流れてくるデータをリアルタイムでディスクに記録しても、バッファオーバーフローを起こしません。また、SSD は振動に強く、PC の振動や熱による影響を受けにくい点も観測環境に適しています。
データ保存の形式については、生の IQ サンプル(In-phase/Quadrature)を保存することが推奨されます。.wav ファイル形式や、SDR# で使用される .bin 形式などが一般的ですが、2026 年現在では HDF5(高性能データフォーマット) を採用するソフトウェアも増えています。HDF5 はメタデータを効率的に管理でき、大規模データの検索や解析が容易です。保存フォルダは、SSD と HDD に分けて運用します。SSD には最近の観測データ(直近 1 ヶ月)を置き、HDD(例:Seagate IronWolf Pro 8TB) にはアーカイブデータを移行します。こうすることで、頻繁にアクセスするデータの処理速度を保ちつつ、長期保存のコストを抑えます。
バックアップ戦略も重要です。観測データは二度と手に入らない可能性がある貴重な情報です。RAID 1(ミラーリング)構成の HDD を使用するか、クラウドストレージへの自動同期を設定します。ただし、電波天文データは機密性が低いものの、容量が大きいためクラウド転送コストを考慮する必要があります。ローカルでのバックアップとして、外付け USB SSD (例:SanDisk Extreme Pro) に週 1 回の頻度でコピーを行うのが現実的です。また、SETI@home の結果ファイルや分析レポートも、PC のドキュメントフォルダではなく、専用の「天文データ」フォルダに整理して保存し、後日の解析がスムーズに行えるようメタデータを付与します。
電波天文 PC の構築には予算の幅があります。ここでは、初心者が始められる構成から、本格的な研究を行うための構成までを比較しました。各項目に具体的な製品名と概算価格を含め、2026 年春時点の市場状況を反映しています。エントリーモデルは RTL-SDR を使用し、既存の PC で始めることを想定しており、総額は 15 万円程度で抑えられます。一方、プロ級構成では高性能な SDR とパラボラアンテナを追加し、専用 PC も構築するため、80 万円を超える投資が必要となります。
| コンポーネント | エントリーモデル (入門) | ミドルレンジ (標準) | プロフェッショナル (本格的) |
|---|---|---|---|
| CPU | AMD Ryzen 5 7600X | Intel Core i7-14700K | Intel Xeon W-24xx / Threadripper |
| RAM | 16GB DDR5-5200 | 32GB DDR5-6000 | 64GB+ DDR5 ECC Registered |
| GPU | NVIDIA GTX 1650 (旧) | NVIDIA RTX 4070 | NVIDIA RTX 6000 Ada Generation |
| SDR | RTL-SDR Blog V4 | Airspy R2 / SDRplay RSPduo | Ettus Research USRP B210 |
| アンテナ | Yagi アンテナ (自作) | IBT(1.5m パラボラ) | 3m+ パラボラ + LNA 搭載 |
| SSD | Crucial P3 Plus 1TB | Samsung 990 PRO 2TB | RAID 0 NVMe SSD 4TB |
| 総額目安 | 約 15 万円 (PC 含む) | 約 40 万円 | 80 万円以上 |
この表からわかるように、SDR とアンテナの選択が観測能力に最も大きな影響を与えます。エントリーモデルでも H-line の検出は可能ですが、微弱な信号や SETI@home での高解像度解析にはミドルレンジ以上の構成が必要です。特に RTX 4070 は GPU 処理においてコストパフォーマンスが非常に高く、RTX 3060 や GTX 1650 と比較して CUDA コア数が格段に多いため、2026 年時点では最もバランスの取れた選択肢と言えます。また、SSD の容量もデータ保存の観点から重要な要素であり、最低でも 2TB は確保しておくべきです。
2026 年の電波天文界では、AI(人工知能) を活用した信号検出が主流になりつつあります。従来の FFT 分析や閾値ベースの検出よりも、ディープラーニングモデルを用いてノイズとシグナルを識別する精度が飛躍的に向上しています。RTX 4070 のような NVIDIA GPU は、Tensor Core を備えており、機械学習モデルの推論に最適化されています。SETI@home の新しいバージョンや、SARA(Society of Amateur Radio Astronomers) が推奨するツールでは、ローカルで AI モデルをトレーニングし、特定の周波数帯域での異常値を検出できるようになっています。これにより、人間が手動で Waterfall を確認する手間が省かれ、自動で有望なデータだけを保存・共有できる環境が整います。
また、クラウドコンピューティングとの連携も進んでいます。観測データをすべてローカルに保存すると SSD 容量がすぐに限界を迎えるため、処理済みの結果やメタデータをクラウドストレージへアップロードする機能が標準化されました。例えば、Google Cloud Platform や AWS のバリュープライスプランを利用し、大規模なデータセットを保管することで、世界中の研究者との共同分析が可能になっています。SARA などのコミュニティでは、特定の観測プロジェクト用のクラウドサーバーを共有しており、アマチュアが自分の PC で収集したデータをアップロードし、プロの研究機関が解析するフローが確立されています。これにより、個人のリソース不足を補い、より高品質な研究成果を出せるようになりました。
さらに、IoT 技術の発展により、アンテナや受信機の状態を遠隔で監視・制御できるシステムも普及しています。スマートフォンアプリを通じて、自宅にあるパラボラアンテナの向きや SDR のゲイン設定を操作し、観測ログを確認できます。これは、天候が急変した際や、観測時間が限られている場合に非常に役立ちます。2026 年現在では、5G/6G ネットワークを活用した高速なデータ転送も可能になり、リアルタイムで遠隔地から観測データを共有することが一般化しています。これらの技術的進歩は、アマチュアがプロに近いレベルの貢献を行うことを容易にし、電波天文学の裾野を広げる大きな要因となっています。
本記事では、2026 年春時点での最新のテクノロジーを用いた、電波天文アマチュア PC の構築方法を詳しく解説しました。以下に主要なポイントをまとめます。
Q1: SETI@home を実行している間に PC が重くなりますが、どうすればよいですか? A1: BOINC の設定で CPU 使用率を制限してください。「PC を使用中は処理を一時停止」や「CPU 使用率の上限設定(例:50%)」を行うことで、SDR# や GNU Radio の動作に影響を与えずに並列実行できます。また、RTX 4070 の GPU 割り当てを見直し、SETI@home に割くリソースを減らす手もあります。
Q2: H-line(1420.4MHz) が全く観測できません。何が原因でしょうか? A2: まずアンテナの指向性を確認してください。パラボラアンテナが正確に南(北半球の場合)および天頂方向を向いているかチェックします。また、PC の電源ノイズや USB ハブの影響で信号が埋もれている可能性が高いため、USB 延長ケーブルを使って SDR を PC から離し、直接マザーボードのポートに接続することを試してください。
Q3: RTL-SDR で太陽観測は可能ですか? A3: はい、可能です。ただし、RTL-SDR はダイナミックレンジが限られているため、太陽の強い電波で飽和(クリップ)する可能性があります。ゲインを下げたり、減衰器を挿入したりする必要があります。より高感度が必要な場合は Airspy R2 のような上位機材の使用を検討してください。
Q4: 観測データはどのくらいの容量になりますか? A4: サンプリングレートによりますが、1Msps で 8bit IQ データの場合、1 時間あたり約 3.6GB になります。連続観測を行う場合は、SSD の空き容量を常に監視し、自動で古いデータを削除するスクリプトを設定することをお勧めします。
Q5: ラズベリーパイ (Raspberry Pi) でも電波天文はできますか? A5: はい、可能です。Raspberry Pi 4 や 5 は SDR# を動作させるのに十分な性能を持っており、低消費電力で動作します。ただし、高解像度のリアルタイム Waterfall 表示や大規模な FFT 処理には、本記事の PC 構成の方が優れています。セットアップは少し複雑になる場合がありますが、コストを抑えたい場合に有効です。
Q6: SDR のサンプリングレートを上げすぎるとどうなりますか? A6: データ量が爆発的に増え、PC の処理能力や SSD の書き込み速度を超えてしまいます。その結果、データパケットの欠損が発生し、観測データにノイズや欠落が生じます。観測対象の帯域幅に合わせて適切なレート(通常 2Msps〜10Msps)を設定してください。
Q7: Windows と Linux ではどちらがおすすめですか? A7: SDR# は Windows で動作しますが、GNU Radio や一部の専門ツールは Linux (Ubuntu など) でより安定して動作します。Windows の利便性を重視するなら Windows 11/2026 版を推奨し、カスタマイズやスクリプト制御を重視する場合は Ubuntu 24.04 LTS を選ぶと良いでしょう。
Q8: アンテナの設置場所について注意すべき点はありますか? A8: 金属製の屋根下やコンクリート壁の近くは電波を反射・遮断するため避けましょう。屋外で可能であれば、高い場所に設置し、周囲に高層ビルがない場所を選んでください。また、Wi-Fi ルーターや LED ライトから遠ざけることも重要です。
Q9: 21cm 線観測にはどのような機材が必要ですか? A9: H-line(1420.4MHz) と同じ周波数帯域を扱います。H-line 用のアンテナ(パラボラや Yagi)と SDR、そして 1420.4MHz にチューニングできるソフトウェアがあれば観測可能です。ただし、21cm 線は非常に微弱なため、高利得のアンテナと低ノイズ LNA の組み合わせが必須です。
Q10: セットアップに失敗した場合はサポートがありますか? A10: SETI@home や SDR# には公式フォーラムやコミュニティ(SARA など)が存在します。また、GitHub などの開発者サイトでも Issue を立てて対応可能です。日本国内では電波天文愛好家のサークルが情報共有を行っており、現地のイベントに参加するとサポートを受けられることもあります。
流星観測者向けPC。UFOTools、UFOAnalyzer、ASTROMETRICA、IAU MPC、Comet Hunter、流星群、全天カメラ構成を解説。
アマチュア無線・SDRホビーPC。dump1090、SDR#、HF/VHF/UHF、デジタルモード、リモートシャック構築。
アマチュア天文台向けPC。Stellarium、SkySafari、ASCOM、INDI、ASIAir、Celestron、Meade、Takahashi、追尾、撮影自動化構成を解説。
太陽観測アマチュア向けPC。Coronado SolarMax、Lunt、ND filter、CaK、Hα、太陽黒点観測、SDO/SOHO、SOLAR-B/ひので構成を解説。
アマチュア衛星向けPC。FoxTelem、SatNOGS、Gpredict、G3RUH、9k6/1k2 Packet、APRS、衛星通信構成を解説。
SDR向けPC。HackRF、RTL-SDR、LimeSDR、SDRangel、GNU Radio、Universal Radio Hacker、周波数解析構成を解説。
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