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    ハードウェアセキュリティキー導入|FIDO2・パスキー実践

    自作.com編集部·2026年5月30日·更新: 2026年9月8日

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    目次

    FIDO2/WebAuthnにおける認証プロトコルの構造とパスキーの技術的差異ハードウェアセキュリティキーの選定基準と主要製品スペック比較実装における技術的落とし穴とリカバリ戦略の構築運用コストの最適化と高度な認証ワークフローの統合主要製品・選択肢の徹底比較よくある質問Q1. セキュリティキーの導入には、どの程度のコストを見込んでおくべきですか?Q2. Google Authenticatorなどのアプリ型認証と比較して、費用対効果はどうですか?Q3. USB-CタイプとUSB-Aタイプ、どちらのモデルを選ぶのが最適ですか?Q4. 「YubiKey 5 Series」と「Security Key by Yubico」の決定的な違いは何ですか?Q5. iPhoneやAndroidスマートフォンでも、物理キーはそのまま使えますか?Q6. Windows Hello(顔認証・指紋認証)とセキュリティキーは併用できますか?Q7. セキュリティキーを紛失してしまった場合、アカウントはどうなりますか?Q8. 1つのセキュリティキーで、複数の異なるサービス(Google, GitHub等)に使い回せますか?Q9. 今後の「パスキー(Passkeys)」の普及により、物理キーは不要になりますか?Q10. 新しい規格である「CTAP 2.1」などの技術進化はありますか?まとめ

    SMS認証やTOTP(Time-based One-Time Password)を用いた多要素認証を導入していても、巧妙化するAitM(Adversary-in-the-Middle)攻撃に対しては無力なケースが少なくありません。中間者攻撃によってリアルタイムで認証コードやセッションクッキーを奪取されるフィッシング手法は、従来のソフトウェアベースの認証では防ぎきれない限界に達しています。こうした「認証情報の窃出」という構造的な脆弱性を根本から解決するのが、FIDO2/WebAuthn規格に基づいたハードウェアセキュリティキーです。例えば、YubiKey 5C NFCのような物理デバイスを導入することで、フィッシングによるアカウント乗っ取りのリスクを理論上ほぼゼロにまで低減できます。パスワードレス技術の核となる「パスキー(Passkey)」の普及が進む2026年現在、単なる知識としてのセキュリティから、いかに実用的なインフラとして構築するかが問われています。Windows Helloとの統合運用や、PIV/OpenPGPといった高度な規格への対応、さらには紛失時に備えた予備キー(Backup Key)の管理戦略まで、プロフェッショナルが実践すべき実装ガイドを提示します。

    FIDO2/WebAuthnにおける認証プロトコルの構造とパスキーの技術的差異

    FIDO2/WebAuthnにおける認証プロトコルの構造とパスキーの技術的差異
    FIDO2/WebAuthnにおける認証プロトコルの構造とパスキーの技術的差異

    従来のパスワード認証は、サーバー側に保存されたハッシュ化済みの「共有秘密(Shared Secret)」を、ユーザーが入力した文字列と比較する仕組みである。この方式には、フィッシング攻撃やリスト型攻撃に対して根本的な脆弱性がある。これに対し、FIDO2(Fast Identity Online 2)およびWebAuthn規格は、公開鍵暗号方式を用いた非対称認証へのパラダイムシフトを実現している。認証プロセスにおいて、ユーザーのデバイス(Authenticator)は、特定のドメイン(Relying Party: RP)に対して固有の公開鍵を登録し、認証時には秘密鍵を用いてデジタル署名を生成する。この際、署名対象には「Origin(接続先URL)」と「Challenge(サーバーから送られたランダムな値)」が含まれるため、中間者攻撃による偽サイトへの誘導(フィッシング)を数学的に無効化できる。

    近年注目を集めている「パスキー(Passkeys)」は、このFIDO2の仕組みを拡張した概念である。技術的には、従来の「Hardware-bound Passkey(物理的なセキュリティキーにのみ存在する秘密鍵)」と、「Synced Passkey(iCloud KeychainやGoogle Password Managerなどのクラウドを通じて複数のデバイス間で同期される秘密鍵)」の二種類に大別される。Synced Passkeyは、ユーザー体験(UX)を劇的に向上させる一方で、秘密鍵がクラウド・エコシステム内に複製されるため、物理的なセキュリティキーと比較して「鍵の紛失によるロックアウト」のリスクは低いものの、「クラウドアカウント自体の侵害」という新たな攻撃ベクトルに対して、より高度な多要素認証(MFA)の組み合わせが求められる。

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    WebAuthn APIの実装において、開発者が留意すべきは「Attestation(表明)」と「Assertion(表明/検証)」の区別である。Attestationは、使用されている認証器の信頼性を証明するために、製造元が発行した証明書を用いてデバイスの型番やセキュリティレベルをサーバーに伝えるプロセスである。一方、Assertionは、ログイン時などの認証フェーズにおいて、秘密鍵を用いた署名検証を行うプロセスを指す。高度なセキュリティ要件を持つシステムでは、特定のメーカー(例:Yubico社の製品)のAttestation Certificateのみを許可することで、信頼性の低い安価な互換キーの使用を制限する運用が可能となる。

    概念・用語技術的定義・役割セキュリティ上のメリット
    WebAuthnブラウザから認証器へ指示を送るためのW3C標準APIドメイン検証によるフィッシング耐性
    CTAP2物理キーとホスト(PC/スマホ)間の通信プロトコルUSB/NFC経由でのシームレスな署名伝送
    Origin Checkリクエストのドメインが登録されたURLと一致するか検証偽サイトによる不正な鍵生成の防止
    Synced Passkeyデバイス間で秘密鍵を暗号化同期する仕組み紛失時のリカバリ容易性と利便性の向上

    ハードウェアセキュリティキーの選定基準と主要製品スペック比較

    ハードウェアセキュリティキーの選定基準と主要製品スペック比較
    ハードウェアセキュリティキーの選定基準と主要製品スペック比較

    物理的なセキュリティキーを選択する際、単なるFIDO2への対応可否だけでなく、インターフェース(USB-A/USB-C/NFC)や、利用可能な追加プロトコル(PIV, OpenPGP, TOTP)を精査する必要がある。特にエンジニアリング用途においては、Webサイトのログインだけでなく、SSH接続のためのクライアント証明書(PIV)や、メール署名(OpenPGP)としての活用が期待されるため、多機能なモデルを選択することがコストパフォーマンスに直結する。

    最も信頼性の高い選択肢として挙げられるのが、Yubico社の「YubiKey 5」シリーズである。例えば、USB-CインターフェースとNFC通信に対応した「YubiKey 5C NFC」は、最新のMacBook ProやAndroidスマートフォン、Windows PCにおいてシームレスな認証を可能にする。このデバイスは、FIDO2/WebAuthnに加え、スマートカード規格であるPIV(Personal Identity Verification)や、OpenPGP規格、さらにはRFC 6238準拠のTOTP(Time-based One-Time Password)生成機能も内蔵している。これにより、1つの物理キーでGoogleアカウントのログインから、Gitへのコミット署名、VPN接続までを完結させることが可能である。

    一方で、Googleが展開する「Titan Security Key」は、よりFIDO2/U2Fに特化したシンプルな構成となっており、コストを抑えつつWebサービスへの強力なMFAを導入したいユーザーに適している。しかし、TitanシリーズにはPIVやOpenPGMのような高度な暗号化機能は含まれていないため、用途が限定される点に注意が必要である。また、オープンソースの思想を重視するユーザー向けには、ドイツのNitrokey社が提供する「Nitrokey Neo 2」などの選択肢がある。これらはハードウェアレベルでの透明性を追求しており、特定のベンダーによるバックドアのリスクを最小化したい極めて高いセキュリティ要件を持つ組織に適している。

    製品名(型番)インターフェース対応主要プロトコル想定価格(2026年目安)特徴・用途
    YubiKey 5C NFCUSB-C, NFC (13.56MHz)FIDO2, U2F, PIV, OpenPGP, TOTP約8,900円高機能・多用途。エンジニア向け最強の選択肢
    Google Titan Security KeyUSB-A / USB-CFIDO2, U2F約5,500円シンプル・低コスト。一般ユーザーのWeb認証用
    Nitrokey Neo 2USB-AFIDO2, OpenPGP約6,200円オープンソース重視。透明性と監査性を追求
    YubiKey 5CUSB-CFIDO2, U2F, PIV, OpenPGP約8,500円NFC非対応。デスクトップPCでの利用に最適

    実装における技術的落とし穴とリカバリ戦略の構築

    実装における技術的落とし穴とリカバリ戦略の構築
    実装における技術的落とし穴とリカバリ戦略の構築

    ハードウェアセキュリティキーを導入する際、最大の技術的障壁となるのは「単一障害点(SPOF)」化のリスクである。物理的なデバイスは紛失、破損、あるいは静電気放電(ESD)による回路破壊のリスクを常に孕んでいる。認証器が唯一の認証手段として設定されている場合、キーの紛失は即座にアカウントへのアクセス不能(Lockout)を意味する。このため、設計段階から「冗長化された鍵管理」を前提とした運用フローを構築しなければならない。

    推奨される構成は、「Primary Key(メインで使用)」と「Backup Key(予備として保管)」の2本同時登録である。GoogleやMicrosoftなどの主要なサービスでは、複数のFIDO2認証器を同時に登録できるため、物理的に異なる場所に保管された2枚のキーを用意することが、最も堅牢なリカバリ戦略となる。これに加え、各サービスが発行する「バックアップコード(Recovery Codes)」の安全な管理も不可欠である。これらのコードは、物理的な紛失とクラウド経由の攻撃の両方に対抗するための最後の砦となるため、Bitwardenや1Passwordといったパスワードマネージャー内の暗号化コンテナ、あるいはオフラインの耐火金庫に保管する運用が望ましい。

    また、技術的な実装レベルでの落とし穴として、「Attestationの不整合」と「ブラウザ・OSの互換性」が挙げられる。例えば、古いバージョンのWindows 10や特定のAndroid OSでは、WebAuthnのCTAP2.1プロトコルの最新機能(例:PIN保護付き認証)が正しく動作しないケースがある。また、企業内ネットワークにおいて、中間者攻撃を防ぐためのSSL/TLSインスペクション(HTTPS復号化)が行われている場合、証明書の検証プロセスに干渉し、WebAuthnのOriginチェックが失敗して認証エラーを引き起こす可能性がある。導入前には、必ずターゲットとなるブラウザ(Chrome, Edge, Safari等)とOSのバージョン、およびネットワーク構成における通信経路の整合性を検証する必要がある。

    • 紛失時のリスク管理リスト:
      • 予備キー(Backup Key)の物理的な別場所保管
      • 各サービスにおけるバックアップコードの発行とオフライン保存
      • [パスワードマネージャ](/glossary/security-password-manager-1pw-bitwarden)ー内へのリカバリ用手段の集約
      • スマートフォン等の生体認証(Windows Hello/FaceID)とのマルチモーダル設定

    運用コストの最適化と高度な認証ワークフローの統合

    セキュリティキーの導入は、単なる「ログインの強化」に留まらず、組織や個人における認証ワークフロー全体の最適化(Optimization)をもたらす。鍵管理のコストを最小化しつつ、利便性を最大化するためには、既存の認証基盤(Identity Provider: IdP)への統合と、マルチプロトコル活用による「認証の集約」が鍵となる。

    例えば、開発者環境において、SSH接続のたびにパスワードや秘密鍵のパスフレーズを入力するプロセスは、セキュリティレベルを低下させる要因となる。ここでYubiKey 5C NFCのようなPIV対応デバイスを使用し、公開鍵認証(ssh-agent)にハードウェア内の秘密鍵を紐付けることで、「物理キーのタッチ」という単一のアクションでセキュアな接続を実現できる。これにより、認証にかかる遅延時間(Latency)をミリ秒単位で削減しつつ、秘密鍵のコピーアウト(流出)を技術的に不可能にするワークフローが構築できる。

    また、コスト面での最適化については、デバイスの「寿命」と「汎用性」を考慮した投資回収率(ROI)の視点が重要である。単一機能の安価なキーを頻繁に買い換えるよりも、PIVやOpenPGPに対応した高価格帯のキーを導入し、長期間にわたってWeb認証、VPN、SSH、メール署名に使い回す方が、トータルコスト(TCO)は低減する。さらに、組織運用においては、FIDO2の「Resident Keys(Discoverable Credentials)」機能を活用することで、ユーザーがID(ユーザー名)を入力することなく、デバイスをタッチするだけで自動的に適切なアカウントを選択してログインできる仕組みを構築でき、認証プロセスにおけるヒューマンエラーと時間を大幅に削減できる。

    • 最適化のためのチェックリスト:
      • プロトコル統合: 認証器の機能をWebAuthnだけでなく、SSH/PIV/OpenPGPへ拡張しているか。
      • UX向上: Resident Keys(Discoverable Credentials)を利用し、ID入力の手間を排除しているか。
      • コスト管理: デバイスの物理的耐久性と、多機能性による長期利用(3〜5年スパン)を計算に入れているか。
      • インフラ連携: OktaやAzure ADなどのIdPと、ハードウェアキーの認証器ポリシーが整合しているか。
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    主要製品・選択肢の徹底比較

    ハードウェアセキュリティキーの選定において、単なる「パスワードレス化」という目的だけでは不十分です。FIDO2/WebAuthnによる認証だけでなく、PIV(Personal Identity Verification)を用いた電子署名や、OpenPGPによるメール暗号化、さらにはTOTP(Time-based One-Time Password)のオフライン生成機能など、利用者の技術的要件によって必要なプロトコルは劇的に異なります。

    まずは、現在市場で主流となっている主要モデルの基本スペックと価格帯を整理します。

    モデル名インターフェース対応主要プロトコル市場想定価格 (税込)
    YubiKey 5C NFCUSB-C / NFCFIDO2, PIV, OpenPGP, OATH¥9,800
    YubiKey 5C NanoUSB-C (極小)FIDO2, U2F¥7,500
    Google Titan (2026 Edition)USB-CFIDO2, WebAuthn¥4,500
    Nitrokey Neo 2USB-CFIDO2, OpenPGP, Open Source¥13,500

    YubiKey 5シリーズは、FIDO2に加えてPIVやOpenPGPといった高度な認証・暗号化機能を備えており、開発者やインフラエンジニアにとってのデファースタンダードです。対してGoogle Titanは、WebAuthnへの特化によりコストパフォーマンスに優れますが、高度な証明書運用には向きません。

    次に、利用者のワークフローに基づいた最適な選択肢を検討します。セキュリティキーは「メイン」と「バックアップ(予備)」の2本運用が鉄則です。

    利用者層主なユースケース推奨モデル優先すべき機能
    一般ユーザーSNS・Googleアカウント保護Google Titan / YubiKey 5C Nano低コスト・操作の簡便さ
    モバイル重視派iOS/Androidでの認証頻度高YubiKey 5C NFCNFC対応・物理接触の容易性
    エンジニア・DevOpsSSH認証・Git署名・PIV運用YubiKey 5C NFC / Nitrokey Neo 2PIV, OpenPGP, 多機能性
    システム管理者組織内ID管理・証明書配布YubiKey 5C NFC高度なセキュリティ・信頼性

    特に、スマートフォン(iOS/Android)を多用する環境では、USB-C端子への物理接続だけでなく、NFC(Near Field Communication)による非接触認証が可能なモデルを選ばなければなりません。モバイル端末でのログイン時に、いちいち変換アダプタを介す手間は、セキュリティ運用の継続性を著しく低下させるためです。

    また、OSやブラウザとの互換性についても、マトリクスで確認しておく必要があります。2026年現在、主要なWebAuthn実装は成熟していますが、CTAP 2.1などの最新規格への対応状況が鍵となります。

    対応規格・機能WebAuthn/FIDO2Windows HelloAndroid (NFC)macOS / Linux
    YubiKey 5C NFC◎ (CTAP 2.1)◎◎◎
    YubiKey 5C Nano◎ (CTAP 2.1)○△◎
    Google Titan◎ (CTAP 2.0)◎◎○
    Nitrokey Neo 2◎ (CTAP 2.1)○○◎

    「◎」は完全対応、「○」は基本機能の利用が可能、「△」は物理的な制約(端子形状など)により制限があることを示します。Windows Helloとの連携においては、キー自体にPINを設定できるかどうかも、ユーザー体験を左右する重要な要素です。

    さらに、ハードウェアとしての堅牢性や、セキュアエレメント(SE)の信頼性についても比較が必要です。セキュリティキーは物理的な紛失や破壊のリスクに晒されるため、耐タンパー性(改ざん防止機能)が重要となります。

    技術的指標YubiKey 5C NFCGoogle TitanNitrokey Neo 2SoloKeys รุ่น 2026
    セキュアエレメントEAL6+ 相当高度な独自チップオープンソース設計オープンソース/SE搭載
    耐タンパー性極めて高い高い中程度 (検証可能)中程度 (検証可能)
    物理的耐久性防水・防塵対応標準的標準的標準的
    プログラム可能性不可(固定)不可(固定)高い(カスタム可)高い(カスタム可)

    NitrokeyやSoloKeysのようなオープンソース系の製品は、内部のロジックが透明であるため、サプライチェーン攻撃を懸念する高度なセキュリティ要件を持つ組織に適しています。一方で、Yubicoのような商用製品は、EAL6+といった高い認証レベルをクリアしたセキュアエレメントを採用しており、信頼性が担保されています。

    最後に、導入コストと調達ルートの検討です。個人利用か、あるいは企業内での一括導入(Bulk Deployment)かによって、購入チャネルと予算計画は大きく変わります。

    調達チャネル主な価格帯在庫・供給安定性導入規模の目安
    Amazon / ECサイト低〜中高い個人・小規模チーム
    正規代理店 (B2B)中〜高極めて高い中堅・大企業
    海外直販 (Direct)中低(配送遅延リスク)開発者・研究者
    特殊セキュリティベンダー高中政府機関・重要インフラ

    企業導入においては、単なる製品価格だけでなく、管理コンソールや証明書発行プロセスをサポートする正規代理店経由の調達が推奨されます。特にPIV運用を行う場合、認証局(CA)との連携を含めたトータルな設計が必要となるため、国内でのテクニカルサポート体制は無視できない要素です。

    よくある質問

    Q1. セキュリティキーの導入には、どの程度のコストを見込んでおくべきですか?

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    メインで使用する「YubiKey 5C NFC」のような多機能モデルの場合、1本あたり9,000円〜11,000円程度の予算が必要です。運用上のリスクを考慮し、紛失時に備えた「2本目の予備キー」も同時に購入することを強く推奨します。そのため、初期導入コストとしては最低でも2万円程度(2本分)を見込んでおくと、セキュリティレベルを維持したまま安全に運用を開始できます。

    Q2. Google Authenticatorなどのアプリ型認証と比較して、費用対効果はどうですか?

    Google AuthenticatorやMicrosoft Authenticatorといったアプリ型は無料で使用でき、コスト面では圧倒的に有利です。しかし、これらはスマートフォン本体の奪取やマルウェアによるコード窃取のリスクをゼロにはできません。物理的な「YubiKey」等の導入には1万円程度の出費が伴いますが、フィッシング詐欺によるアカウント乗っ取りを防げる防御力を考慮すれば、極めて費用対模が高い投資といえます。

    Q3. USB-CタイプとUSB-Aタイプ、どちらのモデルを選ぶのが最適ですか?

    使用するデバイスのポート構成に依存しますが、現在の主流はUSB-Cです。最新のMacBook ProやAndroidスマートフォン、Windows 11搭載ノートPCをメインで利用する場合、「YubiKey 5C NFC」のようなUSB-C端子を備えたモデルが最適です。一方で、古いデスクトップPCや周辺機器との併用が多い場合は、変換アダプタを介さず接続できるUSB-Aタイプを選択肢に含めるのが効率的です。

    Q4. 「YubiKey 5 Series」と「Security Key by Yubico」の決定的な違いは何ですか?

    最大の差は、FIDO2以外の認証規格(プロトコル)への対応有無です。YubiKey 5 Seriesは、FIDO2/WebAuthnに加え、スマートカードとして機能するPIVや、SSH認証に利用できるOpenPGP、TOTP生成機能を備えています。一方、「Security Key by Yubical」はFIDO2/WebAuthnに特化しており、価格が数千円安価です。高度なエンジニアリング用途でなければ、後者の方がコストを抑えられます。

    Q5. iPhoneやAndroidスマートフォンでも、物理キーはそのまま使えますか?

    はい、使用可能です。iOS 16以降のiPhoneや、WebAuthnに対応したAndroid端末であれば、NFC(近距離無線通信)機能を利用してタッチするだけで認証が行えます。「YubiKey 5C NFC」のようなNFC対応モデルであれば、スマホをキーにかざすだけでログインが完了するため、モバイル環境でのパスワードレス運用も極めてスムーズです。

    Q6. Windows Hello(顔認証・指紋認証)とセキュリティキーは併用できますか?

    可能です。Windows 11において、Windows Helloはデバイス本体の生体認証を利用する「プラットフォーム認証器」として機能し、セキュリティキーは外部の「認証器」として機能します。例えば、PC起動時はWindows Helloで行い、GoogleやGitHubなどの重要なクラウドサービスへのログイン時のみ物理的なFIDO2キーを使用するといった、強度の異なる使い分けが可能です。

    Q7. セキュリティキーを紛失してしまった場合、アカウントはどうなりますか?

    事前に「予備の認証器」を登録していない場合、アカウントへのアクセスが極めて困難になります。Googleなどのサービスでは、バックアップコードやリカバリ用メールアドレスを設定しておく必要がありますが、これらも突破されるリスクがあります。そのため、運用開始時に必ず2本目のキー(例:もう1本のYubiKey 5C NFC)を登録し、金庫等で別管理する体制を構築してください。

    Q8. 1つのセキュリティキーで、複数の異なるサービス(Google, GitHub等)に使い回せますか?

    はい、可能です。FIDO2/WebAuthnの仕組みでは、各サービスごとに固有の公開鍵・秘密鍵ペアが生成されるため、物理的なデバイスは共通化できます。一つの「YubiKey」に複数のサービスの認証情報を登録しても、サービス間で認証情報が混ざることはありません。ただし、キーそのものを紛失すると全サービスへのアクセスが遮断されるため、前述の通り予備キーの運用が必須となります。

    Q9. 今後の「パスキー(Passkeys)」の普及により、物理キーは不要になりますか?

    デバイス内に秘密鍵を保存する「同期型パスキー」は利便性が高く、一般的なユーザーには十分なセキュリティを提供します。しかし、企業の重要資産を守るための「デバイス拘束型(Device-bound)」の認証においては、依然として物理的なハードウェア・セキュリティキーが最強の手段です。今後も、高度な機密性を求めるプロフェッショナルや組織においては、物理キーの需要は継続すると予測されます。

    Q10. 新しい規格である「CTAP 2.1」などの技術進化はありますか?

    FIDO Allianceによる仕様策定は継続しており、CTAP 2.1では、より複雑な認証フローや、ユーザーの意図を確認するプロセス(User Verification)の強化が進んでいます。また、将来的にBluetooth Low Energy (BLE) を活用した、より広範囲かつ低電力な認証手法の統合も期待されています。ハードウェアの寿命は数年単位と長いため、導入時にはCTAP 2.1対応を謳う最新モデルを選ぶのが賢明です。

    まとめ

    • FIDO2/WebAuthn規格に基づくパスキー(Passkey)の導入は、フィッシングや中間者攻撃(MitM)を防ぐための最も有効なセキュリティ対策の一つである。
    • キーの選定においては、USB-CやNFCといった物理インターフェースの適合性に加え、PIVやTOTPなどの追加プロトコルへの対応状況を考慮すべきである。
    • YubiKey 5C NFCのようなマルチデバイス対応モデルを採用することで、PCとスマートフォン間でのシームレスな認証運用が可能になる。
    • Windows Helloとの連携を活用すれば、生体認証と物理キーを組み合わせた極めて強固な多要素認証(MFA)の構築が実現できる。
    • セキュリティキー運用における最大の懸念は「デバイスの紛失」によるアカウントロックアウトであるため、必ず2本以上のキーを用いた冗長構成(予備キーの登録)が必須となる。
    • GoogleやMicrosoft、GitHubといった主要なクラウドサービスは、すでにパスワードレスへの移行を強力に推進しており、導入のハードルは低くなっている。

    まずは自身の利用環境(USBポートの形状やNFCの有無)を確認し、信頼性の高いメーカーから1本目のキーを入手しましょう。その後、バックアップ用の2本目を速やかに登録し、物理的な認証基盤を完成させてください。

    ハードウェアセキュリティキー導入|FIDO2・パスキー実践 よくある質問

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