
Raspberry Pi でレトロゲーム機を構築する際の中心となるのが、RetroPie というソフトウェアです。これはオープンソースベースの Linux ディストリビューションであり、単にエミュレーターを並列に配置しているのではなく、様々なエミュレータを一元的に管理・起動するためのフロントエンド環境を提供しています。初心者の方にとって、それぞれのゲーム機ごとに異なるプログラムを立ち上げたり設定ファイルを編集したりするのは非常に難易度が高い作業ですが、RetroPie を導入することで、これらが GUI(グラフィカルインターフェース)上で統括され、まるで本体のように直感的に操作できるようになります。
RetroPie の最大の特徴は、その拡張性と柔軟性にあります。ベースとなっているのは Raspberry Pi 公式が提供する OS「Raspberry Pi OS」ですが、そこにエミュレーション機能を強化するスクリプト群が追加されています。これにより、ユーザーは複雑なコマンドライン操作を一切行わずに、ゲーム機ごとの設定やエミュレータの選択を簡単に行うことが可能になります。また、2026 年時点ではさらに安定性が向上し、最新の Raspberry Pi 5 を含む幅広いモデルでの動作が最適化されています。
この統合環境は「RetroArch」コアを中心に構築されており、各ゲーム機に対応した個別のエミュレータ(コア)を自動的にロードします。例えばファミリーコンピュータのゲームをプレイしたい時でも、ユーザーは個別に「NES ファイアーエミュレーター」を探してインストールする必要はありません。RetroPie のメニューから「Family Computer」を選択するだけで、適切な設定とエミュレーションエンジンが自動で読み込まれます。この仕組みにより、ハードウェアリソースを効率的に使いながら、多様なレトロゲームを楽しめる環境を整えることができます。
レトロゲーム機としての性能を決定的に左右するのが、使用する Raspberry Pi(ラズパイ)のモデルです。2026 年現在では、Raspberry Pi 5 が標準的な選択肢となっていますが、コストパフォーマンスや省電力性を重視する場合は Raspberry Pi 4 や Zero 2 W も依然として有力な候補となります。特にレトロゲーム機としての用途であれば、過度な高性能は不要であり、むしろ発熱制御や消費電力、ケースとの親和性が重要視されます。それぞれの特徴を理解し、自分の目的に最適なモデルを選ぶことが成功への第一歩です。
Raspberry Pi 5 は、2024 年に発売された最新モデルであり、CPU が Cortex-A76 へ進化し、GPU 性能も向上しています。これにより、PS1 や N64、あるいは一部のゲームボーイアドバンス(GBA)タイトルでさえ、より高いフレームレートやスケーリング画質を安定して維持できます。また、USB-C による給電に対応しており、電源供給の安定性が格段に向上しました。ただし、発熱量が増加しているため、放熱対策が必須であり、冷却ファンやヒートシンクなしでの常時稼働は避けるべきです。価格帯も高騰傾向にあり、2026 年時点では本体だけで約 15,000 円前後の相場となっています。
一方で、Raspberry Pi 4 Model B は、かつての定番モデルであり、多くのケースや周辺機器が設計されています。Pi 3 や Zero W と比較して性能は段違いですが、PS1 のエミュレーションでは十分な性能を発揮します。コストパフォーマンスを最優先する場合は、中古市場や在庫処分品を含めると本体のみで約 8,000 円前後から入手可能です。また、Raspberry Pi Zero 2 W は非常に小型で、携帯型のゲーム機(ハンドヘルド)として自作する場合に最適です。ただし、RAM が 512MB と制限されており、PS1 以上のエミュレーションは困難な場合があるため、FC や SFC までを想定した用途に限られます。
| モデル名 | CPU/コア数 | RAM | 目安価格 (2026) | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|---|
| Raspberry Pi 5 | Cortex-A76 4 コア | 8GB / 16GB 選択可能 | 約 15,000 円〜 | PS1/N64、高画質化、複数台同時稼働 |
| Raspberry Pi 4 | Cortex-A72 4 コア | 2GB/4GB/8GB 選択可能 | 約 8,000 円〜13,000 円 | PS1/SFC/MD、バランス型 |
| Raspberry Pi Zero 2 W | Quad-core ARMv6 | 512MB | 約 4,000 円〜 | FC/GBA、携帯機、低消費電力 |
| Raspberry Pi 3 B+ | Cortex-A53 4 コア | 1GB | 中古市場で入手可 | FC/SFC/MD(非公式モデル向け) |
ストレージとして SD カードの容量も重要な要素です。レトロゲームの ROM ファイルは軽量ですが、高解像度のアーカイブやスクリーンショット、設定データを保存すると容量を消費します。最低でも 32GB のクラス 10 以上のカードを用意し、可能であれば 64GB または 128GB を推奨します。高速な SD カード(SanDisk Extreme や Samsung Pro Endurance など)を使用することで、ゲームの起動時間が短縮され、システム全体のレスポンスが向上します。また、USB 3.0 対応の外付け SSD を使用し、OS と ROM データを分離して管理する方法も、長期的な運用において信頼性を高める有効な手段です。
RetroPie を利用する最初のステップは、SD カードへのイメージ書き込みです。この作業には専用のツールが必要であり、Windows 環境であれば「Balena Etcher」、macOS や Linux では標準の Disk Utility または Balena Etcher が推奨されます。2026 年時点では、公式ウェブサイトから最新バージョン(例:RetroPie-Setup-RPi5-1.0 など)をダウンロードし、SD カードに書き込む必要があります。書き込み前に SD カードをフォーマットし、エラーがないことを確認することが重要です。書き込み完了後、カードをラズパイのスロットに挿入して電源投入します。
初回起動後、RetroPie 特有の初期設定画面が表示されます。ここで行うべきことは主に二つです。一つは Wi-Fi 接続の設定であり、もう一つは SSH の有効化または無効化の選択です。Wi-Fi はゲームダウンロードや ROM 転送に必須となるため、SSID とパスワードを正確に入力します。また、SSH(Secure Shell)については、初心者の方には GUI 操作で設定を行うことを推奨し、コマンドラインでの初期設定は避けても問題ありません。ただし、リモート管理が必要な場合は SSH を有効にし、ユーザー名とパスワードの設定を行う必要があります。
初期設定の完了後、RetroPie 専用のセットアップメニュー「retropie-setup」を起動します。これはメインメニューで F1 キーを押すことでアクセス可能です。ここで重要なのは、まず「必要パッケージのインストール」を実行することです。これにより、各エミュレータに必要なライブラリや依存関係が自動的に解決されます。次に、「ROM のフォルダ構成」を確認し、ゲームファイルを保存するディレクトリが正しく作成されているか確認します。特に、USB ドライブから ROM を転送する場合は「SMB 共有機能」を有効化することで、PC 上のファイル管理が容易になります。
また、スクリーンショットやセーブデータは SD カード内に保存されますが、長期利用では破損リスクもゼロではありません。定期的なバックアップを推奨します。RetroPie の設定画面から「Update RetroPie」を選択してソフトウェアのバージョン更新を行うことで、セキュリティパッチや互換性修正が適用されます。特にエミュレーションコアは頻繁に改善されるため、最新の状態を保つことが安定動作の鍵となります。ただし、更新前に設定ファイル(/opt/retropie/configs/all/retroarch.cfg など)をバックアップしておく習慣をつけておくと万が一の際に復旧が容易になります。
レトロゲーム機を作成する際に最も注意すべき点の一つが、ROM ファイルの入手方法です。ROM はゲームソフトのデータそのものであり、これには著作者権などの知的財産権が保護されています。日本国内および多くの国では、権利者の許可なく ROM をダウンロードして所持することは著作権法違反となる可能性があります。しかし、RetroPie での利用目的を「自分が所有しているゲームソフトのデジタルバックアップ」と捉える場合、一定の条件の下で個人利用として許容されるケースがあります。これはあくまで自己責任であり、法的なアドバイスではないため注意が必要です。
合法的に ROM を入手する方法の一つは、自分が持っているカートリッジやディスクから自分でデータを抽出することです。これを「ダンプ」と呼びます。専用の機器(FlashCarts や USB カードリーダーなど)を使用し、物理メディアから PC 上でイメージを作成します。この場合、データは自分自身で生成しているため、著作権法の侵害には当たらないと解釈されることが一般的です。また、すでに販売が終了しており、権利関係が複雑化している一部のタイトルについては、パブリックドメインとして公開されているものや、開発者が非公式配布を許可している「Fan Games」が存在します。これらは公式サイトなどで確認し、安全に入手することが可能です。
違法な ROM サイトからのダウンロードは強く推奨されません。これらのサイトにはマルウェアが含まれているリスクがあり、Raspberry Pi の OS が感染する可能性もゼロではありません。また、2026 年時点でも著作権侵害に対する法的措置が強化されており、個人利用であっても問題視されるケースが増えています。特に商用ゲームの ROM を無断で配布しているサイトは避けるべきです。代わりに、GameBoy Classic などのオープンソースなクラシックタイトルや、インディー開発者が作成した無料ゲーム(Homebrew)を利用することで、安全かつ楽しさを維持できます。
ROM の整理方法も重要です。フォルダ構成を統一し、ゲーム名と対応プラットフォームを明確に記述します。例えば、Nintendo Switch 用エミュレーターが追加された場合でも、ファイル名のルールに従うことで検索が容易になります。拡張子(.nes, .sfc, .iso など)は各エミュレータによって異なるため、RetroPie の標準フォルダ構成(/home/pi/RetroPie/roms/ 以下)を守るべきです。また、圧縮ファイル(ZIP や 7z)のままでも動作しますが、読み込み速度の観点から解凍して保存する方が望ましい場合もあります。ただし、容量を節約したい場合は ZIP 形式を維持しても問題ありません。
RetroPie は広範なゲーム機に対応していますが、ハードウェアモデルによってサポート範囲が異なります。主な対象となるのは 8 ビットから 32 ビットの家庭用コンシューマーです。FC(Nintendo Entertainment System)や SFC(Super Famicom)、MD(Mega Drive/Genesis)は Raspberry Pi Zero 2 W でも快適に動作します。これらのゲームは CPU 負荷が低く、GPU のスケーリング能力をあまり要求しないため、どんなモデルでも高い互換性が期待できます。また、アーケード基板の MAME も対応しており、数百種類のクラシックアーケードゲームをプレイ可能です。
32 ビット機である PlayStation(PS1)や N64 については、Raspberry Pi の性能差が顕著に現れます。Pi 5 では PS1 の 3D グラフィックスもほぼノーマル速度で動作しますが、一部のエラー発生率を考慮すると、Pi 4 でも十分対応可能です。N64 はパイプライン処理の仕組み上、RetroArch コア(mupen64plus や Project64)の選択によって性能が左右されます。また、ゲームボーイアドバンス(GBA)については、ほぼ全ての Pi モデルで動作しますが、ピクセルスケーリング(拡大描画)を有効にすると、Pi Zero ではフレームレート低下が見られる場合があります。
| ゲーム機/プラットフォーム | 推奨最小モデル | エミュレータコア例 | 備考 |
|---|---|---|---|
| FC / NES | Pi Zero 2 W | FCEUmm, Nestopia | スケーリング時に CRT フィルター推奨 |
| SFC / SNES | Pi 3 B+ | Snes9x, bsnes | 一部のゲームで速度調整が必要かも |
| MD / Genesis | Pi Zero 2 W | Genesis Plus GX | 音質改善オプションあり |
| PC Engine | Pi 4 | Mednafen PCE Fast | アーケード基板の互換性あり |
| PlayStation (PS1) | Raspberry Pi 5 | PCSX-R, RetroArch PSX Core | スケーリング時は GPU バッファ使用推奨 |
| Nintendo 64 | Raspberry Pi 5 | mupen64plus / Project64 | テクスチャパックで画質向上可能 |
プレイステーション Beyond や PC Engine CD など、CD-ROM 形式のデータは ISO ファイルとして扱われます。これらのゲームはロード時間が長くなる傾向があり、SD カードの読み書き速度が影響します。外付け SSD を使用することで、ロード時間を大幅に短縮できます。また、一部のタイトルでは特定のエミュレータコアの方が動作が安定している場合があります。RetroPie の設定メニューで「Core Choice」を変更し、ゲームごとに最適なコアを選ぶことで、バグ回避や動作改善を図れます。
アーケードゲームについては、MAME(Multiple Arcade Machine Emulator)が採用されます。ただし、MAME はバージョンによって対応タイトルが大きく異なります。2026 年時点では MAME の最新バージョンを使用することで、より多くのタイトルをプレイ可能です。しかし、MAME の設定は複雑であり、入力デバイスの割り当てや音響設定に細かな調整が必要な場合があります。初心者の方には「Arcade」カテゴリとして一括管理される設定が推奨されますが、上級者向けには各ゲームごとの個別設定も用意されています。
レトロゲームを遊ぶ上で不可欠な要素がコントローラーです。RetroPie は多くの USB ブロードキャストプロトコルや Bluetooth デバイスをサポートしており、プラグアンドプレイで認識されるものがほとんどです。ただし、初期状態ではキー配列の認識が行き届いていない場合があるため、設定画面での調整が必要です。特に、PS4 コントローラーや Xbox ワイヤレスアダプターなど、現代的なデバイスを使用する場合は、RetroPie 固有の設定手順を踏むことで快適な操作性を得られます。
USB ケーブルで直接接続する最も基本的な方法は、PC の OS を介さずにラズパイに認識させることです。標準的な Xbox One/Series X コントローラーや、8BitDo(八位堂)の製品は、RetroPie 上で自動的に検出され、プレイヤー 1〜4 に割り当てられます。ただし、ゲームによっては特定のキー割り当てが異なるため、設定メニューで確認する必要があります。RetroPie のメインメニューで「F1」を押して入力設定画面に遷移し、「Assign Controller」から各ボタンの対応付けを行います。ここで、A ボタンを「Cross」や「X」と認識させるなど、ゲームごとの好みに合わせたカスタマイズが可能です。
Bluetooth 接続の場合、Raspberry Pi の Bluetooth レシーバーのバージョンによって挙動が異なります。Pi 4 以降では Bluetooth 5.0 が搭載されており、接続安定性が向上していますが、依然として遅延や再接続の問題が発生することがあります。特に PS4(DualShock 4)コントローラーを Bluetooth で接続する場合、RetroPie-Setup メニューから「Bluetooth」オプションを選択し、ペアリングモードに入れた状態で接続します。ただし、Wi-Fi と同時使用時に干渉を受ける場合があるため、可能であれば 2.4GHz ドングルや USB コンセントへの直接挿入が推奨されます。
| コントローラー | 接続方式 | 互換性 | おすすめの理由 |
|---|---|---|---|
| Xbox One/Series X | USB / Wireless Adapter | 高 | Windows と同じ配列、レスポンス良好 |
| PS4 (DualShock 4) | Bluetooth / USB | 高 | アナログスティク、振動機能対応可能 |
| 8BitDo SN30 Pro+ | Bluetooth / USB | 非常に高い | レトロデザイン、PC との互換性 |
| Xbox Classic Controller | USB | 高 | クラシックな形状、ボタン押し込み感 |
入力遅延(レイテンシ)が問題になる場合、設定ファイル内の input_latency パラメータを調整することで改善できる場合があります。ただし、これは画質や音質にも影響するため、バランスを取る必要があります。また、無線コントローラーの電池残量確認機能も、RetroPie の初期バージョンでは実装されていないことが多いため、別途アプリを使用するか、充電器で常時給電する構成が安定します。長時間プレイする場合、USB-C 給電に対応したケーブルを使用し、コントローラー自体への給電を確保することで、突然の接続切断を防ぎます。
Raspberry Pi をレトロゲーム機として使う場合、ケース(筐体)の選定は機能面だけでなく、インテリアとしての見た目も大きく影響します。一般的な黒いプラスチックケースやアルミ製ヒートシンク付きケースも機能性が高いですが、本格的なレトロマシンを目指すなら「NESPi」や「SNESPi」といったネーミングを持つ専用ケースが人気です。これらはファミコンやスーパーファミコンを模したデザインであり、ラズパイ本体を内部に収めたまま、外観はレトロゲーム機そのものに見せることができます。
Retroflag 社製の NESPi は非常に人気があり、2026 年時点でも改良版が販売されています。このケースは、前面のカードスロットやコントローラー接続ポートがファミコンのデザインに忠実に再現されており、テレビスタンドとして設置すると本物のレトロ機が並んでいるかのような雰囲気を作れます。ただし、内部のラズパイへの通気性が考慮されているかが重要です。密閉性が高いケースでは発熱対策が必須となるため、ファン取り付け用の穴が開いているモデルや、放熱フィンが付属しているものを選ぶべきです。
携帯型ゲーム機として自作する場合は、Retroflag の「Zero Pi」シリーズや、3D プリンターで出力されたオープンソースのケースが選択肢になります。これらのケースはラズパイ Zero 2 W を収めることを前提としており、バッテリーパックを内蔵することで電源アダプター不要での動作を可能にします。ただし、バッテリー容量と発熱の関係は慎重に検討する必要があります。また、ボタンやスイッチを実装する場合は、基板への配線が必要になるため、ハンダ付けの技術が求められる場合があります。
ケースに組み込む際のエコシステムも重要です。電源ケーブルを隠す工夫や、HDMI ケーブルの収納スペースがあるかが重要になります。特に HDMI 端子はケースによっては露出しないよう設計されており、接続には専用アダプターが必要になることがあります。また、スピーカーや LED ライトを組み込んで照明効果を出すことで、遊び心を高めることができます。LED ライトをコントローラーの充電状態やゲーム開始時に点灯させるなどのカスタマイズも、RetroPie の設定ファイルで制御可能です。
レトロゲームの魅力の一つに、当時のテレビ特有の「解像感」や「走査線」があります。現代の高解像度ディスプレイ(4K や HD)では、ピクセル単位で鮮明な画像が表示されるため、昔の 2D グラフィックが荒く見えることがあります。これを解消し、レトロゲーム本来の雰囲気を再現するために使用するのが CRT フィルターやシェーダーです。これらは GPU を使用して描画後に画像処理を施し、走査線(スキャンライン)や画面の湾曲、色のにじみなどを模擬します。
RetroPie では「CRTEmulator」や「ReTr0」などと呼ばれるプリセットが用意されています。設定メニューから「Shader Presets」を選択し、「CRT-Scanlines」や「CRT-Light」などのオプションを適用することで、一瞬で画面の雰囲気が変化します。特に CRT-Light は走査線を強調しつつも画面の暗さを抑えるため、夜間プレイでも目が疲れにくいのが特徴です。また、CRT-CRT 系は画面の湾曲(カーブ)まで再現するため、没入感を高めることができます。ただし、過度なエフェクトを適用すると視認性が低下する可能性があるため、バランスの良い設定を選びます。
各ゲームごとにシェーダーを変更することも可能です。例えば、アクションゲームでは動きをクリアに見せるために「Light」系を使い、ホラーゲームや暗い雰囲気のものには「Dark」系を使用して雰囲気を演出します。RetroArch の設定ファイル(retroarch.cfg)に video_shader_enable = true を記述することで、シェーダー機能を有効化できます。また、2026 年時点では GPU の性能向上により、高負荷なシェーダーでもスムーズに動作するようになりましたが、Pi Zero では処理速度への影響を考慮して使用を控えるべきです。
画質調整には「Video Scaling」の設定も重要です。aspect_ratio を integer に設定することで、ピクセルアートを歪めずに拡大表示できます。これはスケーリング時に隣接するピクセルを混ぜてぼかさないようにするためのもので、レトロゲームの本来のデザインを維持するために必須です。また、video_crop を使用して不必要な黒枠をカットし、画面全体を有効活用することも可能です。これらの設定は「Video」メニューから変更でき、保存することで次回起動時にも適用されます。
Raspberry Pi の動作を安定させつつ、より高い性能を引き出すための調整も重要です。特に PS1 や N64 などの 3D ゲームをプレイする場合、CPU と GPU の処理能力がボトルネックになることがあります。これらを改善するために「オーバークロック」と呼ばれる設定があります。これは、規定されたクロック速度よりも高く動作させることで、ゲームのロード時間を短縮したり、フレームレートを安定させたりする効果があります。ただし、発熱が増加するため、冷却対策が不可欠です。
オーバークロックの設定は、SD カード内の config.txt ファイルを編集することで実現します。2026 年時点では、Pi 5 の場合、over_voltage=1 や gpu_freq=800 などのパラメータを追加することで、GPU と CPU をそれぞれ安定して動作させられます。ただし、すべての設定で安全に動作するわけではありません。各ラズパイの個体差(シロップ効果)によって限界値が異なるため、徐々にクロックを上げてテストを行うことが推奨されます。また、万が一起動しなくなった場合は、SD カードを PC で読み込み config.txt を初期状態に戻す必要があります。
電源管理も重要な要素です。特に USB 給電の場合、ラズパイの要求電力に対してアダプターが追いつかないと、不安定な動作やシャットダウンを引き起こします。Raspberry Pi 5 では USB-C PD(Power Delivery)に対応しているため、対応した AC アダプターを使用することで安定した電力供給が可能になります。また、電源電圧が不安定になると CPU がスロットリング(速度低下)を起こすため、over_voltage パラメータを調整して電圧を上げることで回避できますが、これは発熱増大のリスクも伴います。
冷却対策としては、ヒートシンクとファンの併用が標準的になります。Pi 4 や Pi 5 では、ケースに組み込み型のファンを使用することで、アイドル時でも温度を下げておくことが可能です。また、Raspberry Pi の OS には温度管理コマンド(vcgencmd get_temp)が用意されており、設定ファイルで温度閾値を設定して自動でファンの回転数やクロックを調整することもできます。長時間のプレイでは温度上昇による性能低下を防ぐため、定期的なメンテナンスと環境確認が必要です。
本ガイドを通じて、Raspberry Pi でレトロゲーム機を作成するための全工程を解説しました。まずは Raspberry Pi のモデル選定から始まり、OS のインストール、初期設定、そして ROM 収集の法的注意点まで、各ステップで重要な判断ポイントが存在します。2026 年時点ではハードウェアの性能が向上しており、PS1 や N64 といった複雑なゲームもスムーズに動作しますが、発熱管理や電源供給には引き続き注意が必要です。
RetroPie の最大の魅力は、その柔軟性とコミュニティの力にあります。設定ファイルやシェーダーを調整することで、自分だけのカスタムマシンを作り上げることができます。コントローラーの設定から画面描画の美化まで、細部までこだわれば、レトロゲームの世界観を最大限に再現可能です。また、違法な ROM の入手には十分注意し、合法的かつ安全な方法でコンテンツを取得することが重要です。
最終的に、このプロジェクトは単なる技術的な作業ではなく、思い出を形にする体験です。自分が育った時代のゲームを、新しい環境で再体験できる喜びは格別です。設定がうまくいかない場合やトラブルが発生した場合は、RetroPie の公式フォーラムやコミュニティサイトでの情報収集も有効です。ぜひ、本ガイドを参考に、自分だけのレトロゲーム機ライフを始めてください。
以上、Raspberry Pi でレトロゲーム機を作る完全ガイドでした。

PCパーツ・ガジェット専門
自作PCパーツやガジェットの最新情報を発信中。実測データに基づいた公平なランキングをお届けします。
レトロゲームをPCでプレイするためのエミュレーション環境構築を解説。合法的な利用方法、エミュレータ選び、コントローラー設定を紹介。
Raspberry PiにHome Assistantをインストールしてスマートホームを構築する方法を解説。Zigbee機器連携、自動化シナリオを紹介。
Raspberry PiとOpenMediaVaultで自宅NASサーバーを構築する方法を解説。外付けHDD接続、Samba共有、自動バックアップ設定を紹介。
[]
この記事に関連するRaspberry Pi・SBCの人気商品をランキング形式でご紹介。価格・評価・レビュー数を比較して、最適な製品を見つけましょう。
ラズパイ5、画面デビュー!DIYが捗る3.5インチモニター
40代の親父、仕事と子育てで忙しい毎日です。趣味でラズベリーパイをいじって、ちょっとした自動化とか、レトロゲーム機を作ったりしてるんですが、今までスマホの画面を繋いで作業してたんです。これが結構ネックで、画面が小さくて見づらいし、スマホ占領されて家族に迷惑かけてました。 今回、思い切ってラズパイ用...
Raspberry Pi・SBCをAmazonでチェック。Prime会員なら送料無料&お急ぎ便対応!
※ 価格・在庫状況は変動する場合があります。最新情報はAmazonでご確認ください。
※ 当サイトはAmazonアソシエイト・プログラムの参加者です。
Easycargo Raspberry Piファン 30x30x7mm Raspberry Pi冷却ファン ブラシレス 3.3V 5V DC 静音ファン Raspberry Pi 4、3 B+、B+、Pi 2、Pi B+、RetroFlag NESPIケース(30mmx30mmx7mm)(ブラック1パック)
Raspberry Pi 4および3モデルBとB+に適したHyproスリーブファン、デュアルスピードモード(3.3Vおよび5V DC)用の1対2のワイヤーコネクターインターフェイス、低ノイズ(15.92dBA)、長寿命(30,000時間)。
Raspberry Pi Picoの延命措置?UPSモジュールを試してみた
子供と一緒にRaspberry Pi Picoで色々作ってて、ふと「停電になったらデータがどうなるんだ?」って話になったんです。普段は週末にちょっとしたプログラミングとか、センサーで遊んだりしてる程度なんですが、せっかく作ったものがパーになるのは避けたいなと思って、UPSモジュールを探してたらこれを...
Raspberry Piの安定稼働に貢献? GeeekPi UPS HATレビュー
Raspberry Piを趣味で色々試している20代男性です。以前は電源落ちによるデータ消失が頻繁に起こり、何か対策が必要だと感じていました。そこで、GeeekPiのRaspberry Pi UPS電源管理モジュールを試してみることにしました。以前からRaspberry Piの電源安定化にはUPSの...
Raspberry Pi 4 が快適に:ElectroCookie アルミケース、冷却ファン付きレビュー
Raspberry Pi 4 をさらに活用したかったため、今回の ElectroCookie アルミミニタワーケースを購入しました。以前使用していたプラスチック製のケースでは、高負荷時の発熱が気になり始めており、冷却性能の向上と、よりスマートなデスクトップ環境を実現したかったのです。特に、アンビエン...
Raspberry Pi 5、アルミタワーケースで劇的に進化!これはマジで神
40代、趣味でRaspberry Piをいじってるだけのオッサンです。これまで、Raspberry Pi 4をむき出しの基板で使っていましたが、どうにもこうにも安定性に欠けるというか、埃っぽいというか…。もっと快適に、そして見た目もスマートにしたいなと、ずっとアップグレードを考えていました。Rasp...
Raspberry Pi 5、アルミケースでちょっとカッコよく?1ヶ月使ってみた正直レビュー
子供たちがプログラミングに興味を持ち出して、Raspberry Piを使い始めたのがきっかけで、色々周辺機器を揃えるようになりました。最初はシンプルなケースで十分かと思っていたのですが、性能を上げるために色々調べていくうちに、冷却性能の高いケースが必須だと気づきました。以前はプラスチック製のケースを...