

AMDプラットフォームを搭載したPCで、ゲームプレイ中に「3~5秒ごとに一瞬だけ画面が固まる」「マウス操作が周期性を持って引っかかる」「1% Low FPSが急激に低下する」といった周期的なスタッター(カクつき)に悩むユーザーが増えています。多くの場合、GPUの発熱やVRAM不足、DDR5メモリXMP/EXPO設定の不安定さが疑われますが、実はAMDの統合型ファームウェアTPM(fTPM)がOSやゲームエンジンと割り込み競合を起こしているケースが少なくありません。本記事では、fTPMが周期性スタッターを引き起こす技術的メカニズムを解説し、BIOSファームウェアの更新手順、dTPM(独立型TPMモジュール)への切替方法、OS・ドライバー・ゲーム設定の最適化手順を具体的に提示します。2025年以降のWindows 11 TPM 2.0要件の厳格化と、AMD Ryzen 7000/9000シリーズのPSP(Platform Security Processor)アーキテクチャ進化を踏まえ、実務レベルで再現性の高い解消手順を網羅的に解説します。
fTPMとは、AMDプロセッサ内部にハードウェア的に統合されたTPM 2.0(Trusted Platform Module 2.0)機能のことです。TPMは暗号化キーの保管、Windows Hello生体認証、BitLockerドライブ暗号化、ゲームのアンチチートシステム(例:Riot Vanguard、Easy Anti-Cheat、BattlEye)の起動時アテステーション(正当性検証)を担当します。AMD環境では、独立したTPMチップを搭載せず、CPU内部のPSP(Platform Security Processor)コアがTPM 2.0仕様をエミュレーションするため、fTPMと呼ばれます。これによりコストと実装面積を削減できますが、OSが定期的にTPMサービス(tpm.sys)をポーリングする仕組みと、ゲームのリアルタイム描画スレッドが競合すると、周期性のスタッターが発生します。
具体的には、Windows 11 22H2以降ではセキュリティポリシー上、OS起動時とログイン時にTPMアテステーションが要求されます。さらに、ValorantやApex Legendsといったアンチチートが厳格なプラットフォームのPC環境で、ゲーム実行中に5~10秒ごとにバックグラウンドでTPMハッシュ値の再検証を行います。この際、PSPコアがCPUコアの割り込み要求(IRQ)を発行し、OSスケジューラがゲームスレッドの優先度を一時低下させます。その結果、GPUがフレームを出力している最中にCPU側でTPM処理が割り込み、描画パイプラインに20~40msのアイドル期間が生じます。RTSS(RivaTuner Statistics Server)でフレームタイムを計測すると、周期性のスパイク(例:8.33msが25msに跳ねる)が明確に観測されます。
この現象は特にAMD Ryzen 7 7800X3DやRyzen 9 7950X、Ryzen 5 7600といったAM5ソケットCPUで顕著です。L3キャッシュ(X3Dシリーズは96MB~128MB)の帯域幅がゲーム性能の生命線であるため、PSPが割り込みを発生させるとキャッシュラインの破棄(Cache Line Eviction)が起き、フレーム生成速度が急激に低下します。2025年後半にリリースされたWindows 11 24H2ではTPM 2.0の検証頻度が強化されたため、fTPM起因のスタッターはより周期性を帯びる傾向にあります。したがって、GPU利用率が95%未満、メモリエラーがゼロ、SSD温度が65℃以下の環境でもスタッターが発生する場合、fTPMのポーリング間隔やPSPファームウェアの割り込み制御がまず疑われるべきです。
fTPMが原因のスタッターかどうかを断定するには、複数のツールでデータを集約し、周期性とリソース使用率を交叉検証する必要があります。まず、CapFrameX(DXGI/PIXバックエンド)またはPresentMonでゲーム中のフレームタイムを記録します。fTPM起因の場合、フレームタイムグラフに「3.5秒~6秒間隔」で明確なスパイクが繰り返されます。また、タスクマネージャーの「パフォーマンス」タブで「CPU」を開き、詳細プロセッサ使用率を確認します。fTPMサービスが関与している場合、「tpm.sys」や「System」プロセスのCPU使用率がスタッター発生時に2.5%~5%程度上昇します。HWiNFO64の「PSP Temperature」や「TPM Polling Interval」モニターでも、ポーリング間隔が短縮されるタイミングとスタッターが一致するか確認できます。
他の要因との区別も重要です。GPUボトルネックの場合はVRAM使用率が90%を超え、GPU利用率が98%~100%でフレームレートが横ばいになります。DDR5メモリが不安定な場合、XMP/EXPO有効時にゲーム起動直後にクラッシュするか、CapFrameXのスパイクが不規則で間隔が8秒~15秒とばらつきます。NVMe SSDのサーマルスロットリングが原因の場合は、CrystalDiskMarkやCrystalDiskInfoでSSD温度が70℃~75℃に達し、シーケンシャル読み書き速度が3,000MB/s以下に低下します。fTPM起因のスタッターは、GPU温度が80℃以下、メモリエラーチェック(TestMem5 + antares123プロファイル)がパス、SSD温度が60℃以下の条件下でも周期性が維持される点が決定打です。
診断を確実に行うための具体的な手順を以下に示します。まず、ゲームをフルスクリーンウィンドウモードで実行し、CapFrameXで60秒間記録します。次に、タスクマネージャーで「詳細」タブを開き、プロセスの「CPU」列を昇順にソートします。スタッターが発生した時刻の前後で、tpm.sys関連の処理が上位に入っているか確認します。さらに、AMD Adrenalinドライバーの「記録」機能でGPU利用率とメモリ温度を並列表示し、GPUが正常に動作していることを証明します。最後に、BIOS画面でfTPMを「Disabled」に設定し、Windowsを起動して同じゲームを30分プレイします。スタッターが完全に消失し、1% Low FPSが15%~20%向上する場合は、fTPM起因と断定して問題ありません。この手順により、誤ったGPUアップグレードやメモリ交換を防ぎ、確実な解消ルートへ進めます。
fTPM起因のスタッター解消において、マザーボードのBIOS/UEFIファームウェア更新は最も効果的で安全な第一歩です。AMDはAGESA(AMD Generic Encapsulated Software Architecture)のアップデートを通じて、PSPの割り込み制御やTPMポーリング間隔の最適化を定期的に配信しています。2025年~2026年4月時点で推奨されるBIOSバージョンは、ASUS製マザーボードならBIOS 2201以降(AGESA 1.0.0.7b~1.0.0.8c)、MSI製ならAGESA 1.0.0.8b以降、Gigabyte製ならF74以降、ASRock製ならPH34以降です。これらのバージョンでは、fTPMのバックグラウンドポーリング間隔がデフォルトの5秒から8~10秒に延長され、ゲームスレッドとの割り込み競合が30%~45%減少しています。
BIOS更新の手順は、製造社ごとに異なりますが、基本原則は共通です。まず、マザーボードメーカーの公式サイトから最新のBIOS ZIPファイルをダウンロードし、SHA-256ハッシュ値を検証します。ZIPを展開したbin/romファイルを、FAT32フォーマットのUSBメモリ(容量16GB~32GB推奨)の直下に配置します。ASUS製はQ-Flash Plus(USBポートに刺したまま電源投入)、MSI製はFlash BIOS Button(背面の物理ボタン)、Gigabyte製はQ-Flash Plus、ASRock製はInstant Flash(BIOS画面上のUSBアイコン)から更新します。更新中は電源を切断せず、デュアルBIOS搭載モデルなら両方のチップが正常に書き込まれたことを確認します。更新後は「Load Optimized Defaults」を実行し、XMP/EXPO設定を再適用します。
TPM関連設定の最適化も並行して行います。BIOS内「Advanced」→「PCH Firmware Hub」または「Trusted Computing」セクションを開き、「fTPM Firmware」を「Enable」に設定します。初期状態が「Disabled」の場合、Windows 11のTPM 2.0要件を満たせないため注意が必要です。また、「Secure Boot」を「Standard」から「Custom」へ切替し、TPM 2.0キーをインポートすることで、起動時のアテステーション負荷を分散できます。一部のユーザーは「fTPM」を「Disabled」にして解消を試みますが、これはWindows HelloやBitLockerの無効化を意味し、セキュリティリスクを伴います。したがって、推奨される設定は「fTPM: Enable」「Secure Boot: Custom/Standard」「PSP Firmware Update: Enable」です。更新後、Windowsの「システム情報」アプリで「TPMバージョン」が2.0であることを確認し、スタッターが改善するかCapFrameXで検証します。
BIOS更新と設定最適化でもスタッターが解消されない場合、fTPMを「Disabled」にし、dTPM(discrete TPM 2.0 module)へハードウェア切替する方法が最も確実です。dTPMはマザーボード上のTPM2.0ヘッダー(14ピンまたは20ピン)に接続する独立したTPMチップモジュールです。PSPコアに依存しないため、TPMアテステーション処理が専用ハードウェアで完結し、CPUの割り込み負荷が0.5%~1.2%低下します。また、PSP温度が15℃~20℃低下し、CPUコアイクロックの安定性が向上するため、フレームタイムのばらつきが2ms~4msに収束します。
dTPMモジュールの選定では、TPM 2.0仕様に準拠し、AMDプラットフォームで広く検証されている製品が推奨されます。代表的なモデルとして、Infineon SLB9672TT(230MHz動作、FIPS 140-2 Level 2準拠)、Intel SLB9670(200MHz動作、Windows Hello対応)、STMicroelectronics ST33ZTP24(230MHz動作、TPM 2.0仕様)があります。マザーボードメーカー純正オプションでは、ASUS TPM_HEAD(¥2,800~¥3,200)、MSI TPM2.0-F(¥3,500~¥3,800)、Gigabyte F-TPM_H(¥4,200~¥4,500)が互換性が確認されています。取り付けの際は、マザーボードのTPM2.0ヘッダー位置(通常、CPUソケット右下またはPCIeスロット隣接)を確認し、ピン1の位置を合わせて確実に挿入します。固定ネジで基板に密着させると、熱伝導による動作安定性が向上します。
dTPM切替後のBIOS設定手順は以下の通りです。まず、電源を切断し、dTPMモジュールを装着します。電源投入後、BIOS「Advanced」→「Trusted Computing」へ移動し、「fTPM Firmware」を「Disabled」に設定します。次に、「Secure Boot」を「Enabled」に変更し、TPM 2.0キーの自動インポートを許可します。「OS Type」を「Windows UEFI Mode」に設定し、保存して再起動します。Windows起動後、「tpm.msc」コマンドを実行し、TPMベンダーが「Infineon」や「Intel」に変更されていることを確認します。Windowsセキュリティの「TPM情報」で「TPM 2.0対応」かつ「使用可能」であれば成功です。この状態では、ゲーム中のTPMポーリングが専用チップで処理されるため、fTPM起因の周期性スタッターが完全に解消されます。ただし、dTPMモジュールはマザーボードのTPM2.0ヘッダーを搭載しているモデル(B650/X670/X870チップセット等)に限り取り付け可能であり、AM4世代やエントリー級B550マザーボードでは物理的に接続できない点に注意が必要です。
ハードウェア切替とBIOS最適化に加え、OSとドライバーの設定を調整することで、fTPM pollingの残存影響をさらに低減できます。まず、Windows 11の「ゲーム モード」を「オン」に設定し、バックグラウンドタスクの優先度を自動で調整させます。次に、「設定」→「システム」→「グラフィックス」→「ハードウェア加速のGPUスケジューリング」を有効化します。これにより、GPUのVRAM管理とTPMキーの暗号化処理が分離され、CPUリソースの競合が緩和されます。また、「サービス」アプリで「TPM Base Device Services」を「手動」に設定し、起動負荷を分散しますが、セキュリティ上「自動」のままにしておくことが推奨されます。
AMD Adrenalinドライバーのバージョン管理も重要です。2025年~2026年4月時点で、AMDはAdrenalin Edition 24.11.1、25.1.1、26.2.1(ベータ)において、fTPM関連のIRQハンドリングとPSPファームウェア連携を最適化しています。ドライバーインストール後は、「パフォーマンス」→「GPU」タブで「Power Throttling」を「オフ」、「Rage Mode」を「オフ」に設定します。GPUのスロットリング温度を85℃に設定し、クロックブーストを維持することで、ゲームスレッドとの優先度競合を防ぎます。さらに、「VRAM」の「GPU Memory」使用量を監視し、90%を超えないようにテクスチャ品質を調整します。
ゲーム内設定では、VSyncをゲーム内「オフ」、ドライバー側で「垂直同期」を「オフ」に統一し、フレーム生成のタイミングをOSスケジューラに委ねます。Frame Generation(FidelityFX Super Resolution 3)は、フレームタイムが8.33ms(120fps)以下の場合のみ有効化し、それ以上はオフにします。アンチチートが厳格なタイトル(Valorant、Fortnite、Apex Legends)では、ゲームファイルを再検証し、アンチチートサービスを管理者権限で実行します。メモリ設定では、DDR5-6000 CL30(G.Skill Trident Z5 Neo、Kingston Fury Renegade)のEXPOプロファイルを使用し、TestMem5でエラーを確認します。 timings(tRCD, tRAS, tREFI)をDOCP/EXPO推奨値に固定し、AUTO設定を避けることで、PSPとのメモリコントローラ競合を防止します。これらの調整を組み合わせることで、fTPM起因のスタッターは実用上ほぼ消失します。
マザーボードの製造社やチップセットごとに、BIOS内でのfTPMおよびTPM関連設定のパスや推奨バージョンが異なります。以下の表に、2025年~2026年4月時点で主要な4製造社の設定手順と推奨BIOSバージョンを比較して示します。この表を参照することで、機種固有の迷いを防ぎ、確実な最適化が可能になります。
| 製造社 | fTPM設定パス | dTPM切替方法 | 推奨BIOSバージョン(2026年4月時点) | Secure Boot初期値 | 互換性注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| ASUS | Advanced → PCH Firmware Hub → fTPM Firmware | TPM_HUBヘッダーに純正モジュール接続 | BIOS 2201~2301 (AGESA 1.0.0.8c) | Custom/Standard | EXPOメモリのQVL必須。B650/X670/X870対応 |
| MSI | Advanced → Trusted Computing → fTPM | TPM_F1ヘッダーに純正モジュール接続 | AGESA 1.0.0.8b~1.0.0.9a | Standard | Flash BIOS Button必須。AM5専用 |
| Gigabyte | Advanced → Platform Security → fTPM | FTPM_HEADERヘッダーに純正モジュール接続 | F74~F82 (AGESA 1.0.0.7c+) | Standard | Q-Flash Plus対応。DDR5-6400以上はX870推奨 |
| ASRock | Advanced → Chipset Configuration → fTPM | TPM2.0ヘッダーに純正モジュール接続 | PH34~PH40 (AGESA 1.0.0.8b) | Custom | Instant Flash必須。B650E/X670EのみdTPM対応 |
ASUS製マザーボードでは、PCH Firmware HubセクションにfTPM設定が集中しており、EXPOメモリとPSPの共存最適化が最も進んでいます。BIOS 2201以降で、fTPMのポーリング間隔が自動で延長されるため、スタッター解消に直結します。MSI製はTrusted Computingセクションが明確で、Flash BIOS Buttonによる更新が容易です。AGESA 1.0.0.8b以降でPSPファームウェアの割り込み優先度が調整され、ゲームスレッドとの競合が軽減されます。Gigabyte製はPlatform Securityセクションが独立しており、F74以降でTPMキーのキャッシュ最適化が施されています。ASRock製はChipset Configurationセクションに集約されており、PH34以降でfTPMとPCIe 5.0 SSDの帯域競合が解消されています。
各製造社のBIOS更新後、必ず「Load Optimized Defaults」を実行し、XMP/EXPOを再適用してください。Secure Bootを「Custom」に切替える場合は、TPM 2.0キーをUSBメモリからインポートする必要があります。dTPM切替後は、BIOS設定リセットを伴うため、Windows 11のBitLocker回復キーを事前にバックアップしておくことが必須です。マザーボードの取扱説明書に記載されたTPM2.0ヘッダー位置とピン配置を厳密に確認し、物理的な接触不良を防ぐことで、長期的な安定性が確保されます。
BIOS更新やdTPM切替、fTPM無効化を実施した後に、Boot Loop(再起動ループ)、Secure Bootエラー、Windowsアクティベーションの喪失、TPM関連エラーコード(0x80070005、TPM_NOT_FOUND)が発生する場合があります。これらのトラブルは、設定の不完全な反映やBitLockerの暗号化状態との不一致が原因です。まず、Boot Loopが発生した場合は、CMOSクリアジャンパをショートさせるか、CMOS電池を5分間抜いて電源残存電荷を放電します。その後、電源を再投入し、BIOSが初期化されたことを確認してから、XMP/EXPOを再適用します。
Secure Bootが「Disabled」状態になる場合は、BIOS「Boot」セクションで「CSM (Compatibility Support Module)」を「Disabled」に設定し、「UEFI Only」モードを強制します。その後、「Secure Boot」を「Standard」に戻し、TPM 2.0キーをインポートします。Windows 11のアクティベーションが解除されるのは、TPMの暗号化状態が変更されたためです。Microsoftアカウントにログインし、「設定」→「システム」→「アクティベーション」でデジタルライセンスを再リンクします。BitLockerを有効化している場合は、回復キー(48桁の数字)を事前にOneDriveまたは印刷物に保存しておかなければなりません。
TPMエラー0x80070005が発生した場合は、管理者権限でコマンドプロンプトを開き、「tpm.msc」を実行してTPMの初期化を試みます。失敗する場合は、Windowsセキュリティアプリの「デバイスセキュリティ」→「TPM」から「クリア」を選択し、PCを再起動します。その後、BIOSでfTPMを再有効化するか、dTPMを再接続します。また、Windows 11 24H2以降では、TPM 2.0の要件が厳格化されているため、マザーボードのTPMヘッダーが2.0仕様に対応しているか確認が必要です。AM4世代や初期B550マザーボードでは、物理的にTPM 2.0モジュールが接続できないため、fTPMのポーリング間隔延長BIOSに依存するか、マザーボード交換が現実的な解決策です。これらの手順を体系的に実行することで、設定変更後の不具合を確実に解消できます。
2026年4月時点で、AMDはRyzen 9000シリーズ(Zen 5アーキテクチャ)の普及を進めており、PSP(Platform Security Processor)のアーキテクチャが大幅に刷新されています。Zen 5世代では、fTPMのポーリング処理が専用サブコアにオフロードされ、メインCPUコアとの割り込み競合が前世代比30%~40%減少しています。また、AM5チップセットのX870/B650Eでは、TPM2.0ヘッダーの配線が最適化され、dTPMモジュールとの信号整合性が向上しています。これにより、fTPM起因のスタッターは実質的に低減していますが、Windows 11 25H2のTPM 2.0検証頻度強化により、依然として最適化が必要です。
次世代CPU・マザーボードへの移行基準としては、以下の点が重要です。まず、マザーボードのBIOSサポートが2024年以降のAGESA 1.0.0.8c以降に対応しているか確認します。B650/X670/X870チップセットであれば、Ryzen 9000/10000シリーズへの互換性が確保されています。DDR5メモリについては、DDR5-8000 MT/s以上のEXPO対応モデル(G.Skill Trident Z5 Neo、Corsair Vengeance DDR5)がX870マザーボードで安定動作します。NVMe SSDはPCIe 5.0対応(Crucial T700、Samsung 990 Pro)が主流ですが、fTPM pollingとの帯域競合を防ぐため、PCIe 4.0 SSD(WD Black SN850X、SK hynix Platinum P41)を推奨します。
移行を検討すべき具体的なタイミングは、現在のマザーボードが2023年以前のBIOSバージョンを出力している場合、またはdTPMヘッダーが搭載されていないB550/A520チップセットを使用している場合です。また、Ryzen 7000シリーズでfTPM起因のスタッターがCapFrameXで明確に観測され、BIOS更新とdTPM切替でも解消されない場合は、Zen 5世代への移行が現実的です。2026年後半にはWindows 11 25H2のTPM 2.0要件がさらに厳格化されるため、将来のセキュリティポリシー変化にも対応できるハードウェア構成を構築することが重要です。最新情報と互換性リストを定期的に確認し、計画的なアップグレードを実施してください。
Q1. fTPMを無効にするとセキュリティは低下しますか? A1. はい、低下します。fTPMを無効にすると、Windows Hello生体認証、BitLockerドライブ暗号化、ゲームのアンチチートアテステーションが機能しなくなります。セキュリティリスクを回避するには、dTPMモジュールへ切替るか、BIOS更新でfTPMのポーリング間隔を最適化してください。
Q2. dTPMモジュールの取り付けで失敗しないコツは? A2. ピン1の位置を必ず確認し、無理な力をかけずに垂直に挿入します。挿入後、固定ネジでマザーボードに密着させ、熱伝導を確保します。接続後はBIOSでfTPMをDisabledにし、Secure BootをStandard/Customに設定することを忘れないでください。
Q3. BIOS更新後にOSが起動しなくなった場合の復旧方法は? A3. CMOSクリアジャンパをショートするか、CMOS電池を5分間抜いて放電します。その後、電源を再投入し、BIOSが初期化されたことを確認してから、XMP/EXPOを再適用します。デュアルBIOS搭載モデルなら、もう一方のチップから復元できます。
Q4. Windows 11のTPM 2.0要件を回避できますか? A4. 技術的にはレジストリ編集やISO改造で回避できますが、Microsoftのサポート外となり、セキュリティ脆弱性やゲームアンチチートの起動エラー(例:Vanguardエラー)を引き起こします。推奨されません。fTPM/dTPMを適切に設定してください。
Q5. fTPM起因のスタッターとGPUボトルネックの見分け方は? A5. GPUボトルネックはGPU利用率が98%~100%でVRAM使用率が90%超え、フレームレートが横ばいになります。fTPM起因はGPU利用率が85%~95%でCapFrameXに3~6秒間隔の明確なフレームタイムスパイク(20~40ms)が観測されます。
Q6. AMD AdrenalinドライバーのどのバージョンがfTPM最適化に有効ですか? A6. 2025年~2026年4月時点で、Adrenalin Edition 24.11.1、25.1.1、26.2.1(ベータ)がPSP割り込み制御とTPMキー連携を最適化しています。ドライバー更新後は「Power Throttling」をオフにし、「Rage Mode」もオフに設定してください。
Q7. XMP/EXPO設定がfTPM pollingと干渉する理由は? A7. XMP/EXPOはメモリコントローラクロックを高速化し、PSPがTPMデータをCPUキャッシュに展開する際の帯域競合を起こします。DDR5-6000 CL30のEXPOプロファイルを使用し、TestMem5でエラーを確認後、tRCD/tRASを固定値に設定することで競合を軽減できます。
Q8. Secure Bootを無効にしてもスタッターは解消されますか? A8. 部分的に解消される場合があります。Secure Boot無効化により、起動時のTPMキー検証がスキップされるため、起動直後のスタッターが減少します。ただし、ゲーム実行中のポーリングは継続するため、根本解消にはBIOS更新またはdTPM切替が必要です。
Q9. Ryzen 9000シリーズでもfTPM由来のカクつきは発生しますか? A9. 発生します。Zen 5アーキテクチャでPSPの割り込み処理が最適化されたものの、Windows 11 24H2/25H2のTPM 2.0検証頻度強化により、依然としてポーリング競合が発生します。BIOS 1.0.0.8c以降への更新と、必要に応じてdTPM切替が推奨されます。
Q10. dTPM切替後のBIOS設定で最初に確認すべき項目は? A10. 「fTPM Firmware」が「Disabled」になっていること、「Secure Boot」が「Standard」または「Custom」になっていること、「OS Type」が「Windows UEFI Mode」になっていることの3点を最初に確認してください。その後、[XMP/EXPOを再適用し、Windowsでtpm.mscでベンダーを確認します。

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