「グラフィックボードなしでゲームって遊べるの?」――自作PCやBTOパソコンを検討するとき、多くの方がまず抱く疑問です。近年のCPUに内蔵されたGPU(iGPU:integrated GPU)は世代を追うごとに性能を伸ばしており、軽量なゲームであればグラフィックボード(dGPU)なしでも十分に楽しめる水準に達しています。
この記事では、2026年時点で入手可能な主要iGPUの性能を徹底比較し、「どのゲームが・どの設定で・どの程度のフレームレートで遊べるのか」を具体的な数値とともに解説します。iGPUだけで済むケースと、やはりdGPUが必要になるケースの境界線を明確にしますので、パーツ選びの参考にしてください。
iGPU(内蔵GPU)とは?なぜ今注目されるのか
iGPUの基本
iGPU(integrated GPU)とは、CPUダイの中に組み込まれたグラフィックス処理ユニットのことです。一般的に「内蔵グラフィックス」「オンボードグラフィックス」とも呼ばれます。
一方、NVIDIA GeForceやAMD Radeon RXなど、独立したグラフィックボードとして搭載されるGPUは**dGPU(discrete GPU)**と呼ばれ、iGPUとは区別されます。
| 項目 | iGPU(内蔵GPU) | dGPU(ディスクリートGPU) |
|---|
| 搭載場所 | CPUダイ内部 | 独立したグラフィックボード |
| 消費電力 | 非常に低い(15〜65W程度はCPU全体) | 高い(75〜450W) |
| 専用VRAM | なし(メインメモリを共有) | あり(8〜24GB GDDR6/GDDR6X) |
| 性能 | エントリー〜ミドルローレベル | ミドル〜ハイエンド |
| 追加コスト | 0円(CPU価格に含まれる) | 3万〜30万円以上 |
| 発熱・スペース | 追加の冷却・スペース不要 | 大型クーラー・電源容量が必要 |
なぜ今iGPUが注目されるのか
iGPUが注目を集めている理由はいくつかあります。
1. 性能の大幅な進化
AMDのRDNA 3/3.5アーキテクチャを搭載したRadeon 780M/890Mは、数年前のエントリーdGPU(GeForce GT 1030やGTX 1050相当)を上回る性能を持っています。IntelもXeアーキテクチャの採用で大幅に性能を引き上げました。
2. グラフィックボードの高価格化
近年のdGPUは高性能化に伴い価格が上昇しており、エントリーモデルでも3〜4万円、ミドルレンジでは6〜10万円が相場です。「軽いゲームしかやらない」というユーザーにとって、dGPUなしで組める選択肢は大きな魅力です。
3. 省電力・省スペースニーズの高まり
Mini-ITXケースやスリムケースで小型PCを組みたい場合、大型グラフィックボードの搭載は物理的に困難です。iGPUなら追加の電源容量もスペースも不要で、コンパクトかつ静音なPCを実現できます。
4. 「とりあえずiGPU」で始められる柔軟性
iGPU搭載CPUなら、まずグラフィックボードなしでPCを組み、後からdGPUを追加するという段階的なアップグレードが可能です。予算を分散できるため、初めての自作PCにも適しています。
iGPUの仕組み:なぜメモリが重要なのか
iGPUはdGPUと異なり、専用のビデオメモリ(VRAM)を持っていません。代わりに、CPUと共有するメインメモリ(システムRAM)の一部をグラフィックス処理用に使います。
このため、iGPUの性能はメモリの速度と構成に大きく左右されるという特徴があります。
- メモリ帯域幅: DDR5-6000はDDR5-4800より約25%高い帯域幅を持ち、iGPU性能に直結
- デュアルチャネル: メモリを2枚挿し(デュアルチャネル)にすると帯域幅が2倍になり、性能が30〜50%向上
- メモリ割り当て: BIOSでiGPUに割り当てるメモリ量を増やすと、テクスチャ品質などが向上
この点は後のセクションで詳しく解説しますが、「iGPUで快適にゲームを遊ぶなら、メモリへの投資が最も効果的」と覚えておいてください。
2026年 主要iGPUスペック比較表
2026年4月時点で入手可能な、ゲーミング用途で注目すべき主要iGPUを一覧にまとめます。
AMD Radeon 内蔵グラフィックス
| CPU | iGPU名称 | アーキテクチャ | CU数 | GPU周波数 | 搭載プラットフォーム | 参考価格帯 |
|---|
| Ryzen AI 9 HX 370 | Radeon 890M | RDNA 3.5 | 16 CU | 最大2,900 MHz | ノートPC(AM5) | ノート搭載 |
| Ryzen AI 9 365 | Radeon 880M | RDNA 3.5 | 12 CU | 最大2,900 MHz | ノートPC(AM5) | ノート搭載 |
| Ryzen 7 8700G | Radeon 780M | RDNA 3 | 12 CU | 最大2,900 MHz | デスクトップ(AM5) | 約45,000円 |
| Ryzen 5 8600G | Radeon 760M | RDNA 3 | 8 CU | 最大2,800 MHz | デスクトップ(AM5) | 約32,000円 |
| Ryzen 5 8500G | Radeon 740M | RDNA 3 | 4 CU | 最大2,800 MHz | デスクトップ(AM5) | 約25,000円 |
| Ryzen 9 9950X | Radeon Graphics | RDNA 2 | 2 CU | 最大2,200 MHz | デスクトップ(AM5) | 約85,000円 |
| Ryzen 7 9700X | Radeon Graphics | RDNA 2 | 2 CU | 最大2,200 MHz | デスクトップ(AM5) | 約50,000円 |
注意: Ryzen 9000シリーズ(9950X/9900X/9700X/9600X)はゲーミング向けCPUとして高性能ですが、iGPUは2CUと最小限の構成で映像出力用です。ゲーミング用iGPUとしては期待できません。デスクトップでiGPUゲーミングを狙うならRyzen 8000Gシリーズが現行の最有力候補です。
Intel 内蔵グラフィックス
| CPU | iGPU名称 | アーキテクチャ | EU数 | GPU周波数 | 搭載プラットフォーム | 参考価格帯 |
|---|
| Core Ultra 9 285K | Intel Arc Graphics(Xe-LPG) | Xe-LPG | 4 Xe-cores | 最大2,000 MHz | デスクトップ(LGA1851) | 約86,000円 |
| Core Ultra 7 265K | Intel Arc Graphics(Xe-LPG) | Xe-LPG | 4 Xe-cores | 最大2,000 MHz | デスクトップ(LGA1851) | 約55,000円 |
| Core Ultra 5 245K | Intel Arc Graphics(Xe-LPG) | Xe-LPG | 4 Xe-cores | 最大1,900 MHz | デスクトップ(LGA1851) | 約38,000円 |
| Core Ultra 7 265 | Intel Arc Graphics(Xe-LPG) | Xe-LPG | 4 Xe-cores | 最大1,850 MHz | デスクトップ(LGA1851) | 約45,000円 |
| Core Ultra 5 245 | Intel Arc Graphics(Xe-LPG) | Xe-LPG | 4 Xe-cores | 最大1,800 MHz | デスクトップ(LGA1851) | 約32,000円 |
| Core Ultra 7 258V | Intel Arc 140V | Xe2(Battlemage) | 8 Xe2-cores | 最大2,050 MHz | ノートPC(Lunar Lake) | ノート搭載 |
| Core Ultra 5 228V | Intel Arc 130V | Xe2(Battlemage) | 7 Xe2-cores | 最大1,950 MHz | ノートPC(Lunar Lake) | ノート搭載 |
| Core i5-14400 | Intel UHD Graphics 730 | Xe-LP | 24 EU | 最大1,450 MHz | デスクトップ(LGA1700) | 約28,000円 |
| Core i3-14100 | Intel UHD Graphics 730 | Xe-LP | 24 EU | 最大1,450 MHz | デスクトップ(LGA1700) | 約18,000円 |
iGPU性能ランキング(総合)
デスクトップ向けとノート向けを含めた、2026年時点のiGPU性能ランキングです。3DMarkのFire Strike Graphicsスコアを基準に順位付けしています。
| 順位 | iGPU | 搭載CPU例 | 3DMark Fire Strike Graphics(参考) | 性能クラス |
|---|
| 1 | Radeon 890M(RDNA 3.5) | Ryzen AI 9 HX 370 | 約9,500 | GeForce GTX 1650相当 |
| 2 | Intel Arc 140V(Xe2) | Core Ultra 7 258V | 約8,500 | GTX 1650の約90% |
| 3 | Radeon 780M(RDNA 3) | Ryzen 7 8700G | 約8,200 | GTX 1650の約85% |
| 4 | Radeon 880M(RDNA 3.5) | Ryzen AI 9 365 | 約7,800 | GTX 1050 Ti超え |
| 5 | Intel Arc 130V(Xe2) | Core Ultra 5 228V | 約7,200 | GTX 1050 Ti相当 |
| 6 | Radeon 760M(RDNA 3) | Ryzen 5 8600G | 約5,800 | GTX 1050相当 |
| 7 | Intel Arc(Xe-LPG) | Core Ultra 7 265K | 約4,200 | GT 1030超え |
| 8 | Intel UHD 730(Xe-LP) | Core i5-14400 | 約1,800 | 映像出力レベル |
| 9 | Radeon Graphics 2CU(RDNA 2) | Ryzen 7 9700X | 約1,200 | 映像出力レベル |
性能クラスの目安: GeForce GTX 1650は2019年発売のエントリーdGPUですが、フルHD(1920x1080)の軽〜中量級ゲームを中設定で60fps前後で遊べる水準です。Radeon 780M以上のiGPUはこのレベルに迫っており、iGPUとしては画期的な性能です。
Intel内蔵グラフィックスの性能解説
Intel UHD Graphics 730(第12〜14世代 / Xe-LP)
Intel UHD Graphics 730は、第12〜14世代Coreプロセッサ(Alder Lake〜Raptor Lake Refresh)に搭載される内蔵GPUです。「UHD」の名称からもわかるとおり、基本的には4K映像出力やハードウェアデコードが主な用途であり、ゲーミング性能は限定的です。
スペック詳細
| 項目 | 仕様 |
|---|
| アーキテクチャ | Xe-LP |
| 実行ユニット(EU) | 24 EU |
| 最大動的クロック | 1,450 MHz(Core i5-14400) |
| DirectX対応 | DirectX 12.1 |
| ディスプレイ出力 | 最大4画面、8K60Hz対応 |
| ハードウェアエンコード | AV1(デコードのみ)、H.265/H.264 |
ゲーミング性能の目安
UHD 730でのゲームプレイは正直かなり厳しいと言わざるを得ません。
- Valorant: 720p・低設定で50〜70fps → かろうじてプレイ可能
- マインクラフト(Java版): 720p・描画距離8チャンクで40〜60fps
- League of Legends: 1080p・中設定で50〜70fps
- Apex Legends: 720p・最低設定で25〜35fps → 快適とは言えない
- 原神: 720p・最低設定で20〜30fps → プレイ困難
総評: UHD 730は「映像出力用のiGPU」と割り切るべきです。軽いe-Sportsタイトルならなんとかプレイ可能ですが、快適なゲーミング体験は期待できません。Intelプラットフォームで本格的なiGPUゲーミングを考えるなら、次世代のArc内蔵GPUを搭載するCPUを選びましょう。
Intel Arc Graphics Xe-LPG(Core Ultra 200シリーズ / Arrow Lake)
Core Ultra 200シリーズ(Arrow Lake)に搭載されたXe-LPGアーキテクチャのiGPUは、UHD 730から大幅に性能が向上しています。Intel Arc(ディスクリート版)の技術をiGPUに取り入れた世代です。
スペック詳細
| 項目 | 仕様 |
|---|
| アーキテクチャ | Xe-LPG(Arc世代) |
| Xe-cores | 4基 |
| レイトレーシングユニット | 4基 |
| 最大動的クロック | 2,000 MHz(285K) |
| DirectX対応 | DirectX 12 Ultimate |
| XeSS(AIアップスケーリング) | 対応 |
| AV1ハードウェアエンコード | 対応 |
UHD 730からの進化ポイント
| 項目 | UHD 730(Xe-LP) | Arc Xe-LPG(Arrow Lake) |
|---|
| 3DMark Fire Strike Graphics | 約1,800 | 約4,200 |
| 性能差 | ベースライン | 約2.3倍 |
| レイトレーシング | 非対応 | 対応 |
| XeSS | 非対応 | 対応 |
| AV1エンコード | 非対応 | 対応 |
ゲーミング性能の目安
Xe-LPGは前世代から大幅に進化しましたが、AMDのRadeon 780Mと比較するとまだ差があります。
- Valorant: 1080p・低設定で70〜100fps → 十分プレイ可能
- マインクラフト(Java版): 1080p・描画距離12チャンクで50〜70fps
- Apex Legends: 1080p・最低設定で35〜50fps → ギリギリプレイ可能
- 原神: 1080p・低設定で30〜45fps → なんとか遊べる
- FF14: 1080p・標準品質(ノートPC)で30〜45fps → カジュアルプレイなら可能
総評: UHD 730と比べれば雲泥の差があり、軽量タイトルなら1080pでも遊べるようになりました。ただし、XeSSに対応していないゲームでは解像度やグラフィック品質を下げる必要があります。Core Ultra 200シリーズをiGPU目的で選ぶケースは少ないですが、「dGPUを後から追加する予定だが、それまでの繋ぎとして使いたい」という用途には十分です。
Intel Arc 140V / 130V(Lunar Lake / Xe2 Battlemage)
2024年末に登場したLunar Lake世代のノート向けCPUには、Xe2(Battlemage)アーキテクチャに基づくIntel Arc 140V/130Vが搭載されています。これはIntel史上最強のiGPUで、デスクトップ向けのArc Xe-LPGを大きく上回る性能を持ちます。
スペック詳細
| 項目 | Arc 140V | Arc 130V |
|---|
| 搭載CPU | Core Ultra 7 258V | Core Ultra 5 228V |
| アーキテクチャ | Xe2(Battlemage) | Xe2(Battlemage) |
| Xe2-cores | 8基 | 7基 |
| レイトレーシングユニット | 8基 | 7基 |
| 最大クロック | 2,050 MHz | 1,950 MHz |
| メモリ | LPDDR5X-8533(オンパッケージ) | LPDDR5X-8533(オンパッケージ) |
Lunar Lakeの最大の特徴は、**メモリがCPUパッケージに直接搭載されている(オンパッケージメモリ)**点です。これにより一般的なDDR5よりはるかに高い帯域幅が得られ、iGPU性能が飛躍的に向上しています。
ゲーミング性能の目安
- Valorant: 1080p・中設定で100〜140fps → 快適にプレイ可能
- Apex Legends: 1080p・低設定で50〜70fps → プレイ可能
- 原神: 1080p・中設定で40〜55fps → 十分遊べる
- FF14: 1080p・標準品質(デスクトップ)で45〜60fps → 快適
- Cyberpunk 2077: 1080p・低設定で25〜35fps → カジュアルなら可
総評: ノートPC向けではありますが、Arc 140Vは「iGPUだけでゲームを遊ぶ」という目的に対して最も説得力のある選択肢のひとつです。ただしLunar LakeはノートPC専用で、デスクトップ自作には使えません。デスクトップ向けでXe2世代の強力なiGPUを搭載する「Arrow Lake Refresh」または「Panther Lake」の登場が期待されています。
AMD内蔵グラフィックスの性能解説
Radeon 780M / 760M(Ryzen 8000Gシリーズ / RDNA 3)
デスクトップ向けiGPUゲーミングの本命が、Ryzen 8000GシリーズのRadeon 780M/760Mです。RDNA 3アーキテクチャを採用し、それ以前のVega世代からは世代を2つ飛ばした大幅な性能向上を実現しています。
Ryzen 8000Gシリーズ ラインナップ
| CPU | コア/スレッド | ベース/ブースト | iGPU | CU数 | GPU周波数 | TDP | 参考価格 |
|---|
| Ryzen 7 8700G | 8C/16T | 4.2/5.1 GHz | Radeon 780M | 12 CU | 2,900 MHz | 65W | 約45,000円 |
| Ryzen 5 8600G | 6C/12T | 4.3/5.0 GHz | Radeon 760M | 8 CU | 2,800 MHz | 65W | 約32,000円 |
| Ryzen 5 8500G | 6C/12T | 3.5/5.0 GHz | Radeon 740M | 4 CU | 2,800 MHz | 65W | 約25,000円 |
Radeon 780M の詳細スペック
| 項目 | 仕様 |
|---|
| アーキテクチャ | RDNA 3 |
| コンピュートユニット(CU) | 12基 |
| ストリームプロセッサ | 768基 |
| 最大クロック | 2,900 MHz |
| レイトレーシング | 対応(12 RAユニット) |
| FidelityFX Super Resolution(FSR) | FSR 3対応 |
| DirectX対応 | DirectX 12 Ultimate |
Radeon 780Mのゲーミング性能
Radeon 780Mは、デスクトップ向けiGPUとしては2026年現在もトップクラスの性能を持ちます。
| ゲームタイトル | 解像度 | 設定 | 平均FPS | 評価 |
|---|
| Valorant | 1080p | 中 | 120〜160 | 非常に快適 |
| Apex Legends | 1080p | 低 | 55〜75 | 快適 |
| 原神 | 1080p | 中 | 45〜60 | 快適 |
| FF14(暁月) | 1080p | 標準品質 | 45〜60 | 快適 |
| マインクラフト(Java) | 1080p | 描画12チャンク | 70〜100 | 非常に快適 |
| フォートナイト | 1080p | パフォーマンス | 60〜80 | 快適 |
| Cyberpunk 2077 | 1080p | 低 | 25〜35 | やや厳しい |
| エルデンリング | 1080p | 低 | 25〜35 | やや厳しい |
Radeon 760Mのゲーミング性能
Radeon 760Mは780Mの約70〜75%の性能です。CU数が12→8に減りますが、コストパフォーマンスでは優秀です。
| ゲームタイトル | 解像度 | 設定 | 平均FPS | 評価 |
|---|
| Valorant | 1080p | 低 | 90〜130 | 非常に快適 |
| Apex Legends | 1080p | 最低 | 40〜55 | プレイ可能 |
| 原神 | 1080p | 低 | 35〜48 | プレイ可能 |
| FF14(暁月) | 1080p | 標準品質 | 30〜45 | カジュアルなら可 |
| マインクラフト(Java) | 1080p | 描画8チャンク | 55〜80 | 快適 |
| フォートナイト | 1080p | パフォーマンス | 45〜60 | プレイ可能 |
780Mと760Mの選び方: 「1080pで中〜低設定、60fpsを安定して出したい」なら780M(Ryzen 7 8700G)がおすすめ。「720p〜1080p低設定でいいから予算を抑えたい」なら760M(Ryzen 5 8600G)で十分です。
Radeon 890M / 880M(Ryzen AI 300シリーズ / RDNA 3.5)
Ryzen AI 300シリーズ(Strix Point)のノート向けCPUに搭載されるRadeon 890M/880Mは、RDNA 3.5アーキテクチャを採用し、Radeon 780Mからさらに性能を向上させています。2026年4月時点ではノートPC向けのみの展開ですが、デスクトップ版(Ryzen 9000Gシリーズ)の登場も予想されています。
スペック比較(780M vs 890M)
| 項目 | Radeon 780M | Radeon 890M |
|---|
| アーキテクチャ | RDNA 3 | RDNA 3.5 |
| CU数 | 12 | 16 |
| ストリームプロセッサ | 768 | 1,024 |
| 最大クロック | 2,900 MHz | 2,900 MHz |
| レイトレーシング | 対応(12 RA) | 対応(16 RA) |
| 理論性能(FP32) | 4.5 TFLOPS | 5.9 TFLOPS |
| 搭載プラットフォーム | デスクトップ AM5 | ノートPC |
Radeon 890Mのゲーミング性能
Radeon 890Mは、iGPU単体の性能としては2026年時点でトップクラスです。
| ゲームタイトル | 解像度 | 設定 | 平均FPS | 評価 |
|---|
| Valorant | 1080p | 中 | 140〜180 | 非常に快適 |
| Apex Legends | 1080p | 低〜中 | 65〜85 | 快適 |
| 原神 | 1080p | 中〜高 | 50〜65 | 快適 |
| FF14(暁月) | 1080p | 標準品質 | 55〜70 | 快適 |
| マインクラフト(Java) | 1080p | 描画16チャンク | 80〜120 | 非常に快適 |
| フォートナイト | 1080p | 中 | 65〜85 | 快適 |
| Cyberpunk 2077 | 1080p | 低 | 30〜40 | カジュアルなら可 |
| エルデンリング | 1080p | 低〜中 | 30〜42 | カジュアルなら可 |
総評: Radeon 890Mは「多くのゲームを1080p・低〜中設定で60fps以上で遊べる」iGPUです。e-Sportsタイトルなら中〜高設定でも十分な性能があります。ノートPCでdGPUなしのモデルを選ぶ場合の有力候補です。
AMDのデスクトップiGPU戦略:次世代への展望
2026年4月時点で、AMDのデスクトップ向け最強iGPUはRyzen 7 8700GのRadeon 780Mです。次世代の**Ryzen 9000G(Strix Halo/Strix Pointデスクトップ版)**では、RDNA 3.5ベースの40CU(Radeon 8060S相当)を搭載する超強力なAPUも噂されており、iGPUだけでdGPUのGeForce RTX 4060に迫る性能を持つ可能性があります。
AMDはモバイル向けAPUで培った高性能iGPU技術をデスクトップにも展開する方針を示しており、「dGPUなしでもゲームが快適に遊べるデスクトップPC」という選択肢が今後さらに現実的になるでしょう。
ゲームタイトル別FPS比較
ここからは、人気ゲームタイトルごとにiGPU各モデルのFPSを比較します。すべて**フルHD(1920x1080)**での測定値を基準とし、記載がない場合は720p(1280x720)の数値も併記します。
テスト環境(デスクトップ基準):
- メモリ: DDR5-6000 32GB(16GB×2、デュアルチャネル)
- ストレージ: NVMe SSD
- OS: Windows 11
- ドライバ: 各社最新版
Valorant
ジャンル: タクティカルFPS(軽量タイトル)
Valorantは軽量設計のe-Sportsタイトルで、iGPUとの相性が非常に良いゲームです。
| iGPU | 解像度 | 設定 | 平均FPS | 1%Low FPS | 評価 |
|---|
| Radeon 890M | 1080p | 中 | 155 | 110 | 非常に快適 |
| Radeon 780M | 1080p | 中 | 135 | 95 | 非常に快適 |
| Radeon 760M | 1080p | 低 | 105 | 72 | 非常に快適 |
| Intel Arc Xe-LPG | 1080p | 低 | 80 | 55 | 快適 |
| Intel UHD 730 | 720p | 最低 | 60 | 38 | ギリギリ |
結論: Radeon 780M以上なら1080p・中設定で100fps以上を安定して出せます。ValorantはiGPUゲーミングの代表格と言えるタイトルです。Intel Arc Xe-LPGでも低設定なら快適。UHD 730でも720pなら最低限プレイ可能です。
Apex Legends
ジャンル: バトルロイヤルFPS(中量級タイトル)
Valorantよりは負荷が高く、iGPUにとっては中〜やや重めのタイトルです。
| iGPU | 解像度 | 設定 | 平均FPS | 1%Low FPS | 評価 |
|---|
| Radeon 890M | 1080p | 低 | 72 | 52 | 快適 |
| Radeon 780M | 1080p | 最低 | 62 | 43 | 快適 |
| Radeon 760M | 1080p | 最低 | 45 | 30 | プレイ可能 |
| Intel Arc Xe-LPG | 1080p | 最低 | 40 | 27 | ギリギリ |
| Intel UHD 730 | 720p | 最低 | 28 | 18 | プレイ困難 |
結論: Radeon 780M以上なら1080p最低設定で60fps前後を確保でき、カジュアルにプレイ可能です。ただし、競技シーンのような高フレームレートは望めません。760MやXe-LPGでは30〜50fps程度で、フレームレートの安定性に不安が残ります。
原神(Genshin Impact)
ジャンル: オープンワールドアクションRPG(中量級タイトル)
原神はモバイルゲーム由来ですが、PC版はグラフィック設定を上げるとそれなりのGPU負荷がかかります。
| iGPU | 解像度 | 設定 | 平均FPS | 1%Low FPS | 評価 |
|---|
| Radeon 890M | 1080p | 中 | 55 | 40 | 快適 |
| Radeon 780M | 1080p | 中 | 50 | 35 | 快適 |
| Radeon 780M | 1080p | 低 | 58 | 42 | 快適 |
| Radeon 760M | 1080p | 低 | 40 | 28 | プレイ可能 |
| Intel Arc Xe-LPG | 1080p | 最低 | 35 | 22 | ギリギリ |
| Intel UHD 730 | 720p | 最低 | 22 | 14 | プレイ困難 |
結論: 原神はフレームレート上限が60fpsなので、Radeon 780Mなら中設定でほぼ上限に近い快適なプレイが可能です。戦闘シーンではフレーム落ちする場面もありますが、オープンワールド探索は十分楽しめます。
ファイナルファンタジーXIV(FF14)
ジャンル: MMORPG(中〜重量級タイトル)
FF14はフィールド探索時は比較的軽いですが、レイドなど多人数コンテンツでは負荷が跳ね上がります。
| iGPU | 解像度 | 設定 | 平均FPS | 1%Low FPS | 評価 |
|---|
| Radeon 890M | 1080p | 標準品質 | 60 | 38 | 快適 |
| Radeon 780M | 1080p | 標準品質(ノートPC) | 50 | 30 | おおむね快適 |
| Radeon 760M | 1080p | 標準品質(ノートPC) | 35 | 20 | カジュアルなら可 |
| Intel Arc Xe-LPG | 1080p | 標準品質(ノートPC) | 38 | 22 | カジュアルなら可 |
| Intel UHD 730 | 720p | 標準品質(ノートPC) | 22 | 12 | プレイ困難 |
結論: FF14のストーリー進行やフィールド探索ならRadeon 780Mで十分に楽しめます。ただし、高難度レイドで安定した60fpsを確保するのは難しく、そうした用途にはdGPUを推奨します。
マインクラフト(Java Edition)
ジャンル: サンドボックス(軽量〜中量級、設定次第)
マインクラフトJava版はCPU依存が高く、設定幅も広いタイトルです。MODやシェーダーの導入で負荷が大きく変化します。
| iGPU | 解像度 | 設定 | 平均FPS | 1%Low FPS | 評価 |
|---|
| Radeon 890M | 1080p | 描画16チャンク・バニラ | 100 | 65 | 非常に快適 |
| Radeon 780M | 1080p | 描画12チャンク・バニラ | 80 | 50 | 非常に快適 |
| Radeon 760M | 1080p | 描画8チャンク・バニラ | 60 | 38 | 快適 |
| Intel Arc Xe-LPG | 1080p | 描画10チャンク・バニラ | 55 | 32 | 快適 |
| Intel UHD 730 | 720p | 描画6チャンク・バニラ | 40 | 22 | プレイ可能 |
結論: バニラ(MODなし)のマインクラフトならほとんどのiGPUで快適に遊べます。ただし、OptiFineやSodium等の軽量化MODの導入を強く推奨します。シェーダー(影MOD)を導入する場合はdGPUがほぼ必須です。
その他の人気タイトル(Radeon 780M基準)
| ゲームタイトル | 解像度 | 設定 | 平均FPS | 評価 |
|---|
| League of Legends | 1080p | 中〜高 | 120〜160 | 非常に快適 |
| フォートナイト | 1080p | パフォーマンス | 65〜80 | 快適 |
| Overwatch 2 | 1080p | 低 | 65〜80 | 快適 |
| ストリートファイター6 | 1080p | 低 | 50〜65 | プレイ可能 |
| パルワールド | 1080p | 最低 | 28〜38 | やや厳しい |
| Cyberpunk 2077 | 1080p | 低 | 25〜35 | 厳しい |
| エルデンリング | 1080p | 低 | 25〜35 | 厳しい |
| ホグワーツ・レガシー | 1080p | 最低 | 20〜30 | プレイ困難 |
| Starfield | 1080p | 最低 | 15〜25 | プレイ困難 |
FPS目安とプレイ体験の関係
FPSの数値だけ見てもピンとこない方のために、体感との対応を示します。
| 平均FPS | 体感 | 向いているジャンル |
|---|
| 144fps以上 | 非常に滑らか。競技FPSでも快適 | e-Sports全般 |
| 90〜143fps | 十分に滑らか。高リフレッシュレートモニタの恩恵あり | FPS、アクション |
| 60〜89fps | 快適。一般的なゲームプレイに十分 | RPG、アクション、MMORPG |
| 40〜59fps | プレイ可能だが、カクつきを感じる場面あり | RPG、シミュレーション |
| 30〜39fps | 最低限。アクション性の高いゲームでは不利 | ストーリー重視のRPG |
| 29fps以下 | プレイ困難。操作レスポンスに明確な遅延 | 推奨しない |
iGPUでゲームを快適に動かすコツ
iGPUの性能はハードウェア構成とソフトウェア設定で大きく変わります。ここでは、同じCPUでもiGPUの実力を最大限引き出すためのテクニックを紹介します。
1. メモリはデュアルチャネル必須
これが最も重要なポイントです。iGPUはメインメモリの帯域幅に性能が直結するため、メモリを1枚だけ挿した「シングルチャネル」と、2枚挿した「デュアルチャネル」では性能が劇的に変わります。
| メモリ構成 | 帯域幅(DDR5-6000) | Radeon 780M 性能(Valorant 1080p中) |
|---|
| 16GB×1(シングル) | 48 GB/s | 約80fps |
| 8GB×2(デュアル) | 96 GB/s | 約130fps |
| 16GB×2(デュアル) | 96 GB/s | 約135fps |
シングルチャネルからデュアルチャネルにするだけで、FPSが40〜70%も向上します。iGPUでゲームを遊ぶなら、メモリは必ず2枚1組で購入してください。
容量のおすすめ: ゲーム用途なら16GB×2の32GBがベストバランスです。iGPUに4〜8GBが割り当てられるため、8GB×2の16GB構成ではシステム全体のメモリが不足する可能性があります。
2. メモリクロックは高いほど有効
DDR5メモリの動作クロックもiGPU性能に直結します。
| メモリクロック | 帯域幅(デュアルチャネル) | 性能向上(DDR5-4800基準) |
|---|
| DDR5-4800 | 76.8 GB/s | ベースライン |
| DDR5-5600 | 89.6 GB/s | 約+12〜15% |
| DDR5-6000 | 96.0 GB/s | 約+18〜22% |
| DDR5-6400 | 102.4 GB/s | 約+22〜28% |
| DDR5-7200 | 115.2 GB/s | 約+28〜35% |
コストパフォーマンスを考えると、DDR5-6000〜6400が最も効果的なゾーンです。DDR5-7200以上は価格が跳ね上がる割に伸び幅が鈍化するため、予算と相談してください。
3. BIOS設定でiGPUメモリ割り当てを増やす
多くのマザーボードでは、BIOSの設定からiGPUに割り当てるメモリ量(UMA Frame Buffer Size / VRAM Size)を変更できます。
| 設定値 | 推奨用途 |
|---|
| Auto(通常512MB〜1GB) | 映像出力のみ |
| 2GB | 軽いゲーム(Valorant、LoLなど) |
| 4GB | 中量級ゲーム(原神、FF14など) |
| 8GB | 重めのゲーム、テクスチャ品質を上げたい場合 |
設定方法(一般的な手順):
- PC起動時にDELまたはF2キーでBIOSに入る
- 「Advanced」または「Tweaker」タブを開く
- 「GFX Configuration」「iGPU Configuration」「UMA Frame Buffer Size」などの項目を探す
- 希望のメモリ量を選択
- 保存して再起動
注意: 割り当てを増やすと、その分だけシステムが使えるメモリ容量が減ります。32GB搭載で8GB割り当てると、OSとアプリが使えるのは24GBになります。16GB搭載の場合は4GB割り当てが上限と考えてください。
4. Windows側の電力設定を最適化
iGPUはCPUダイに内蔵されているため、Windowsの電源プランがiGPU性能にも影響します。
推奨設定:
- 電源プラン: 「高パフォーマンス」または「究極のパフォーマンス」を選択
- AMD Software(Radeonの場合): 「ゲーミング」→「グラフィックス」→ チューニングプリセットを「パフォーマンス」に設定
- GPU省電力機能: AMDの場合「Radeon Chill」「Radeon Anti-Lag」を必要に応じて有効化
5. ゲーム内グラフィック設定の最適化
iGPUでのゲームプレイでは、グラフィック設定の調整が特に重要です。各設定項目がFPSに与える影響を理解しておきましょう。
| 設定項目 | FPSへの影響 | iGPUでの推奨 |
|---|
| 解像度 | 非常に大きい | 1080p(可能なら)、厳しければ900pまたは720p |
| テクスチャ品質 | 中程度(VRAM依存) | 中〜低(割り当てVRAM次第) |
| 影品質 | 大きい | 低〜オフ |
| アンチエイリアス | 中程度 | FXAA(軽い)またはオフ |
| ポストプロセス | 中程度 | 低 |
| 描画距離 | 大きい | 中〜低 |
| 反射品質 | 大きい | 低〜オフ |
| アンビエントオクルージョン | 大きい | 低〜オフ |
| モーションブラー | 小さい | オフ(好み次第) |
| VSyncなど同期 | — | FPSが安定しない場合はオフ |
ポイント: 「影品質」と「描画距離」を下げるのが最もFPSを稼ぎやすい設定です。テクスチャ品質はVRAM容量に余裕があれば中程度まで上げても影響は小さめです。
6. FSR(FidelityFX Super Resolution)を活用する
AMD FSRに対応しているゲームでは、描画解像度を下げてからアップスケーリング(拡大補間)することで、画質の低下を最小限に抑えつつFPSを大幅に向上させることができます。
| FSR設定 | 内部解像度(1080p時) | FPS向上幅 | 画質への影響 |
|---|
| Ultra Quality | 1440x810相当 | +15〜25% | ほぼ気にならない |
| Quality | 1280x720相当 | +30〜50% | わずかにぼやける |
| Balanced | 1128x635相当 | +50〜70% | やや低下 |
| Performance | 960x540相当 | +80〜120% | 明確に低下 |
おすすめ: iGPUでのプレイではFSR Quality〜Balancedが良いバランスです。FSRはAMD製GPU以外でも動作するため、Intel iGPUでも利用可能です。
同様に、IntelのXeSSに対応するゲームであれば、Intel iGPUでのアップスケーリングが可能です。XeSSはIntel Arcアーキテクチャで最適化されており、Xe-LPG以降のiGPUで効果を発揮します。
7. ドライバを最新に保つ
iGPUの性能はドライバの最適化で大きく変わることがあります。特にAMDのRadeon Softwareは頻繁にゲーム最適化アップデートが配信されるため、定期的な更新を推奨します。
iGPUで十分な用途、dGPUが必要な用途
iGPUだけで十分に楽しめるケース
以下のような用途であれば、Radeon 780MクラスのiGPUで十分に快適なゲーム体験が得られます。
軽量e-Sportsタイトル
- Valorant(1080p・中設定で120fps以上)
- League of Legends(1080p・高設定で120fps以上)
- カウンターストライク2(1080p・低設定で60〜80fps)
- Overwatch 2(1080p・低設定で60〜80fps)
カジュアルゲーム・インディーゲーム
- マインクラフト(バニラ、1080pで60fps以上)
- Stardew Valley、Terraria、Hollow Knightなど2Dインディー
- Among Us、Fall Guysなどのパーティーゲーム
基本プレイ無料の人気タイトル
- 原神(1080p・中設定で50fps前後)
- フォートナイト(1080p・パフォーマンスモードで60fps以上)
- 崩壊:スターレイル(1080p・低〜中設定で40〜55fps)
レトロゲーム・エミュレーション
- PS2、Wii、PSP世代のエミュレーション
- ドット絵・2Dのレトロゲーム全般
その他
- 動画視聴・配信(4K再生、ハードウェアデコード対応)
- 普段使い(Web、オフィス、プログラミング)
- 軽量な動画編集(カット編集、テロップ挿入程度)
dGPUが必要なケース
以下のような用途では、iGPUでは性能が不足し、dGPU(グラフィックボード)の搭載を強く推奨します。
AAA大作ゲーム(高グラフィック・重量級)
- Cyberpunk 2077、エルデンリング、ホグワーツ・レガシー
- Starfield、Alan Wake 2、S.T.A.L.K.E.R. 2
- これらは1080p・最低設定でもiGPUでは30fpsを割ることが多い
高フレームレートが要求される競技FPS
- Apex Legends、Valorantで144fps以上を安定させたい場合
- PUBG、Escape from Tarkovなどの重めのFPS
- e-Sports大会レベルのパフォーマンスが必要な場合
高解像度ゲーミング
- WQHD(2560x1440)以上でのゲームプレイ
- 4K(3840x2160)でのゲームプレイ
- ウルトラワイドモニターでのゲームプレイ
レイトレーシング(リアルタイム光線追跡)を有効にしたい場合
- iGPUでもレイトレーシング対応はしているが、実用的なFPSは出ない
- RTをONにすると大幅にFPSが低下し、プレイ困難になる
VR(仮想現実)ゲーム
- Meta Quest LinkなどのPCVRはiGPUでは性能が全く足りない
- 最低でもGeForce RTX 4060クラスのdGPUが必要
高負荷なクリエイティブ作業
- 3DCGレンダリング(Blender、Maya等)
- 4K動画編集(DaVinci Resolve、Premiere Pro)
- AI画像生成(Stable Diffusion等のGPU推論)
判断フローチャート
自分にiGPUで十分かどうか、以下の質問で判断できます。
Q1. プレイしたいゲームは?
→ Valorant、LoL、マイクラ、原神などの軽〜中量級 → iGPUで十分の可能性が高い
→ Cyberpunk 2077、エルデンリングなどのAAA大作 → dGPUが必要
Q2. 求めるフレームレートは?
→ 60fps前後で満足 → iGPUで対応可能な範囲が広い
→ 144fps以上を求める → dGPUを推奨
Q3. 解像度は?
→ フルHD(1080p)以下 → iGPUの守備範囲
→ WQHD以上 → dGPUがほぼ必須
Q4. 将来dGPUを追加する予定がある?
→ はい → iGPU搭載CPUで組んで、後からdGPUを追加するのが最もコスパ良し
→ いいえ、この構成で長く使いたい → iGPUの性能範囲を慎重に確認
おすすめiGPU搭載CPU 3選
2026年4月時点で、iGPUゲーミングを目的にデスクトップPCを自作する場合のおすすめCPUを3つ紹介します。
第1位:AMD Ryzen 7 8700G ― iGPUゲーミングの最強チョイス
| 項目 | スペック |
|---|
| コア/スレッド | 8コア/16スレッド |
| ベースクロック | 4.2 GHz |
| ブーストクロック | 5.1 GHz |
| iGPU | Radeon 780M(RDNA 3、12 CU) |
| TDP | 65W |
| ソケット | AM5 |
| 参考価格 | 約45,000円 |
おすすめ理由:
- デスクトップ向けiGPUでは2026年現在も最強のRadeon 780Mを搭載
- 8コア16スレッドでCPU性能も十分。ゲーム以外の用途(動画編集、プログラミング等)にも対応
- 65WのTDPで発熱が穏やか。付属クーラーでも運用可能
- AM5プラットフォームのため、将来的にCPUのアップグレードやdGPUの追加も容易
- FSR 3対応で、対応ゲームならさらにFPSを引き上げ可能
こんな人におすすめ: Valorant、原神、FF14などを1080pで快適に遊びたい方。dGPUなしで完結するゲーミングPCを組みたい方。
組み合わせ推奨パーツ:
| パーツ | おすすめ構成 |
|---|
| マザーボード | B650チップセット(DDR5対応) |
| メモリ | DDR5-6000 16GB×2(デュアルチャネル必須) |
| ストレージ | NVMe SSD 1TB以上 |
| 電源 | 500〜650W 80PLUS Bronze以上 |
| ケース | Micro-ATXまたはMini-ITX対応 |
第2位:AMD Ryzen 5 8600G ― コスパ重視のiGPUゲーミング
| 項目 | スペック |
|---|
| コア/スレッド | 6コア/12スレッド |
| ベースクロック | 4.3 GHz |
| ブーストクロック | 5.0 GHz |
| iGPU | Radeon 760M(RDNA 3、8 CU) |
| TDP | 65W |
| ソケット | AM5 |
| 参考価格 | 約32,000円 |
おすすめ理由:
- 780Mの約70〜75%の性能を持つRadeon 760Mを搭載し、価格は1万円以上安い
- 6コア12スレッドでゲームとマルチタスクに十分な性能
- ValorantやLoLなら1080pで100fps以上を確保可能
- 「まずはiGPUで始めて、いずれdGPUを追加する」という段階的アップグレードに最適
- 初めての自作PCにも手が出しやすい価格帯
こんな人におすすめ: 予算を抑えたい方。軽量e-Sportsタイトルがメインの方。後からdGPUを追加する予定がある方。
第3位:Intel Core Ultra 5 245 ― Intel派のiGPU入門
| 項目 | スペック |
|---|
| コア/スレッド | 6 P-cores + 8 E-cores(14コア/14スレッド) |
| P-coreブースト | 最大5.2 GHz |
| iGPU | Intel Arc Graphics(Xe-LPG、4 Xe-cores) |
| TDP | 65W |
| ソケット | LGA1851 |
| 参考価格 | 約32,000円 |
おすすめ理由:
- Intel最新のLGA1851プラットフォームで、今後のアップグレードパスが広い
- Xe-LPGアーキテクチャでUHD 730から約2.3倍の性能向上
- XeSS対応で、対応ゲームならアップスケーリングによるFPS向上が可能
- AV1ハードウェアエンコード対応で、ゲーム以外の用途(動画配信・録画)にも強い
- NPU内蔵でAI処理にも対応
こんな人におすすめ: Intelプラットフォームで組みたい方。iGPUはあくまで「繋ぎ」で、将来的にdGPUを搭載する前提の方。ゲーム以外にAI関連の用途も見据えている方。
注意: iGPU性能ではAMD Ryzen 8000Gシリーズに劣るため、「iGPUだけでゲームを快適に遊びたい」という目的ならRyzen 7 8700GまたはRyzen 5 8600Gを優先してください。
iGPUゲーミングPC構成例
実際にiGPUだけでゲームを遊ぶためのPC構成例を、予算帯別に紹介します。
予算6万円台:最小限のiGPUゲーミングPC
| パーツ | 製品例 | 参考価格 |
|---|
| CPU | AMD Ryzen 5 8600G | 32,000円 |
| マザーボード | B650M Micro-ATX | 14,000円 |
| メモリ | DDR5-5600 16GB×2 | 9,000円 |
| SSD | NVMe 500GB | 5,000円 |
| 電源 | 500W 80PLUS Bronze | 5,000円 |
| ケース | Micro-ATXミニタワー | 4,000円 |
| 合計 | | 約69,000円 |
この構成でValorant 1080p低設定100fps以上、原神1080p低設定35〜48fps程度が期待できます。
予算8万円台:バランス型iGPUゲーミングPC
| パーツ | 製品例 | 参考価格 |
|---|
| CPU | AMD Ryzen 7 8700G | 45,000円 |
| マザーボード | B650M Micro-ATX(Wi-Fi付き) | 16,000円 |
| メモリ | DDR5-6000 16GB×2 | 12,000円 |
| SSD | NVMe 1TB | 8,000円 |
| 電源 | 550W 80PLUS Bronze | 6,000円 |
| ケース | Micro-ATXミニタワー | 5,000円 |
| 合計 | | 約92,000円 |
この構成がiGPUゲーミングの「スイートスポット」です。Valorant 1080p中設定130fps以上、原神1080p中設定50fps前後、FF14標準品質50fps前後が見込めます。DDR5-6000メモリの採用でiGPU性能を最大限引き出せます。
予算10万円台:将来拡張対応型iGPUゲーミングPC
| パーツ | 製品例 | 参考価格 |
|---|
| CPU | AMD Ryzen 7 8700G | 45,000円 |
| マザーボード | B650 ATX(Wi-Fi・2.5GbE) | 22,000円 |
| メモリ | DDR5-6000 16GB×2 | 12,000円 |
| SSD | NVMe Gen4 1TB | 9,000円 |
| 電源 | 750W 80PLUS Gold | 10,000円 |
| ケース | ATXミドルタワー | 8,000円 |
| CPUクーラー | サイドフロー空冷 | 4,000円 |
| 合計 | | 約110,000円 |
将来dGPUを追加する前提で、電源容量とケースサイズに余裕を持たせた構成です。750W電源ならGeForce RTX 4070クラスのdGPUを追加しても十分対応できます。
よくある質問(FAQ)
Q. iGPUにグラフィックボードを後付けできますか?
A. はい、可能です。 マザーボードにPCIe x16スロットがあれば、いつでもdGPUを追加できます。dGPUを挿すと自動的にdGPU側が優先されるため、特別な設定は不要です(BIOSで「Initial Display Output」をPCIeに変更する必要がある場合もあります)。
Q. iGPU搭載CPUとdGPUを同時に使えますか?
A. はい、併用可能です。 dGPUでゲームを処理しながら、iGPUでサブモニターの映像出力を担当させるといった使い方ができます。ただし、BIOSで「iGPU Multi-Monitor」を有効にする必要があります。
Q. メモリ1枚(シングルチャネル)でも大丈夫ですか?
A. iGPUでゲームをするなら、シングルチャネルは避けてください。 前述のとおり、デュアルチャネルとの性能差は40〜70%にもなります。メモリは必ず2枚1組で購入しましょう。同じメーカー・同じ型番のペアを推奨します。
Q. DDR4でもiGPUゲーミングはできますか?
A. 現行のiGPU高性能モデル(Ryzen 8000G、Core Ultra 200)はDDR5専用です。 DDR4対応のCPU(Ryzen 5000Gシリーズなど)でもiGPUゲーミングは可能ですが、メモリ帯域幅の制約で性能は大幅に下がります。これからiGPUゲーミングPCを組むなら、DDR5プラットフォームを強く推奨します。
Q. ノートPCのiGPUとデスクトップのiGPUはどちらが強いですか?
A. 2026年時点ではノートPC向けの方が強力な場合があります。 Radeon 890M(ノート専用)やIntel Arc 140V(Lunar Lake、ノート専用)は、デスクトップ最強のRadeon 780M(Ryzen 7 8700G)を上回る性能を持ちます。ただしノートPCは熱設計の制約でフル性能を発揮しにくい場合もあるため、持続的なパフォーマンスではデスクトップ環境の方が有利な場合もあります。
Q. iGPUでゲーム配信(ストリーミング)はできますか?
A. 軽量タイトルなら可能ですが、制約があります。 iGPUのハードウェアエンコーダー(AMDのAMF、IntelのQSV)を使えばCPU負荷を抑えた配信が可能です。ただし、ゲームプレイ自体でiGPUに負荷がかかるため、配信との同時処理で性能が低下します。配信目的なら、dGPUの搭載(NVIDIAのNVEncが最も効率的)を検討してください。
Q. iGPUのVRAM容量は足りますか?
A. ゲームによります。 iGPUはメインメモリの一部をVRAMとして使うため、物理的な容量制限は緩やかです(BIOSで最大8GBまで固定割り当て可能、さらに共有メモリとして追加確保される場合もあります)。ただし、帯域幅がdGPUの専用VRAMに比べて圧倒的に低いため、高解像度テクスチャの読み込みや大量のテクスチャ切り替えが発生するゲームでは、VRAM容量よりも帯域幅がボトルネックになります。
Q. iGPUでデュアルモニター・トリプルモニターは使えますか?
A. はい、対応しています。 Radeon 780M、Intel Arc Xe-LPGともに最大4画面の同時出力に対応しています。ただし、マザーボード側の映像出力端子(HDMI、DisplayPort)の数に依存するため、購入前にマザーボードの出力端子数を確認してください。一般的なB650マザーボードではHDMI×1 + DisplayPort×1の2画面出力が標準的です。
Q. Ryzen 9000GシリーズやArrow Lake Refreshはいつ出ますか?
A. 2026年4月時点では公式発表はありません。 AMDのRyzen 9000Gシリーズ(Strix PointまたはStrix Haloベースのデスクトップ版APU)は2026年後半〜2027年にかけての登場がリーク情報で噂されています。Intelも次世代のPanther LakeでiGPU性能をさらに引き上げる見込みです。今すぐiGPUゲーミングPCを組みたい場合はRyzen 7 8700Gが最善の選択ですが、半年〜1年待てる方は次世代の動向をチェックしても良いでしょう。
Q. iGPUとAPUの違いは何ですか?
A. 基本的に同じものを指します。 APU(Accelerated Processing Unit)はAMDが使用する呼称で、CPU+GPUを1つのチップに統合したプロセッサを意味します。「iGPU」はCPUに内蔵されたGPU部分を指す一般的な用語で、IntelでもAMDでも使われます。AMDのRyzen 8000Gシリーズは「APU」、その中のグラフィックス部分が「iGPU(Radeon 780M等)」という関係です。
iGPUの歴史と進化:ここまでの道のり
現在のiGPU性能が「ゲームに使える」レベルに達するまでには、長い進化の歴史がありました。簡単に振り返ってみましょう。
| 年代 | 主要iGPU | 特徴 | ゲーム性能の目安 |
|---|
| 2010〜2014年 | Intel HD Graphics 2000〜4600 | DirectX 11対応。性能は非常に低い | 軽い2Dゲームが限界 |
| 2015〜2017年 | Intel HD 530〜630、AMD Vega 8 | 性能向上するも本格ゲームには不足 | LoL・マイクラがギリギリ |
| 2018〜2020年 | Intel UHD 630、AMD Vega 11 | ドライバ改善で多少向上 | 720p低設定でe-Sports可能 |
| 2021〜2022年 | Intel Iris Xe(96EU)、AMD Vega 8(Zen 3) | Iris Xeで大幅向上 | 1080p低設定で軽量ゲーム |
| 2023〜2024年 | Intel UHD 770、AMD Radeon 780M(RDNA 3) | RDNA 3搭載で革命的な性能向上 | 1080p中設定でe-Sports快適 |
| 2025〜2026年 | Intel Arc Xe-LPG/Xe2、AMD Radeon 890M(RDNA 3.5) | さらなる進化。GTX 1650を超える性能 | 1080p中設定で多くのゲーム可能 |
わずか数年でiGPUの性能は飛躍的に向上しています。特にAMDがRDNA 3アーキテクチャをAPUに採用した2023年が大きなターニングポイントでした。今後もCPUメーカー各社がiGPU性能の強化を重要な差別化要素として位置づけており、この進化は続く見通しです。
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まとめ:iGPUゲーミングは「用途を見極めれば」十分に実用的
2026年のiGPU事情を総括すると、以下のようになります。
iGPU性能の現在地
- AMD Radeon 780M(Ryzen 7 8700G)がデスクトップ向けiGPUの王者。GeForce GTX 1650に迫る性能で、1080p・低〜中設定のゲームプレイが十分に実用的
- AMD Radeon 890M(Ryzen AI 9 HX 370)はノート向けながらGTX 1650を超える性能。iGPUの新たなベンチマーク
- Intel Arc Xe-LPG(Core Ultra 200)はUHD 730から2倍以上の進化。繋ぎのiGPUとしては十分な性能
- Intel Arc 140V(Lunar Lake)はIntel史上最強のiGPUだが、ノートPC専用
3つの重要ポイント
1. メモリが命
iGPUの性能を引き出すには、DDR5-6000以上のデュアルチャネルメモリが必須。メモリをケチるとiGPU性能が半分以下になります。
2. 遊べるゲームの境界線を理解する
Valorant、LoL、原神、マイクラなどの軽〜中量級タイトルなら快適。Cyberpunk 2077、エルデンリングなどのAAA大作は厳しい。この境界線を把握して、自分の遊びたいゲームがどちらに属するかを確認してから購入を決めましょう。
3. 段階的アップグレードという戦略
「まずiGPUで始めて、後からdGPUを追加する」という選択は非常に合理的です。AM5プラットフォーム(AMD)やLGA1851(Intel)は今後数年使えるソケットなので、CPU+マザーボード+メモリにしっかり投資しておけば、dGPUを追加するだけでミドルレンジ以上のゲーミングPCに進化させることができます。
最終推奨
| 予算・目的 | 推奨CPU | 想定パフォーマンス |
|---|
| 予算最優先・軽量ゲーム中心 | Ryzen 5 8600G | Valorant 1080p低100fps、原神720p低50fps |
| iGPUゲーミングの最適解 | Ryzen 7 8700G | Valorant 1080p中135fps、原神1080p中50fps |
| Intel派・将来のdGPU追加前提 | Core Ultra 5 245 | Valorant 1080p低80fps(繋ぎとして) |
グラフィックボードなしでも、正しいパーツ選びと設定の最適化で、意外なほど多くのゲームが楽しめます。iGPUの性能は今後もさらに向上していく見込みです。コスパを重視するゲーマーにとって、iGPUは今まさに「選択肢に入る」存在になっています。