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UPSの容量は、接続する機器の消費電力Wと皮相電力VAが、UPSの定格W・定格VAの両方に収まるように選びます。 その後、選んだ機種のバックアップ時間表で、安全にシャットダウンするまでの時間を確認してください。VAが大きいだけでは、使えるWや持続時間は決まりません。
自作PCなら、電源ユニットの「850W」などの出力定格を、そのままUPSに必要な消費電力として計算しないでください。実際に壁のコンセントから取り込む電力を、使用する負荷条件で測るのが出発点です。
| 数字 | 意味 | 確認先 |
|---|---|---|
| 負荷のW | 接続機器が消費する有効電力 | 電力計、機器の仕様、管理画面 |
| 負荷のVA | 電圧と実効電流の積で表す皮相電力 | VA対応の計測器、機器仕様 |
| 必要な時間 | 停電検知から処理停止・終了までの時間 | 対象PCやNASの終了時間、運用方針 |
OMRONの選定ツールは、機器の消費電力と必要なバックアップ時間を入力して選びます。容量の計算と持続時間の確認を、別の判断として扱ってください。
同じ1000VAでも、定格出力Wは製品で異なります。例えば仮に「1000VA/600W」の製品なら、負荷が700VAでも650WではW側の上限を超えます。「VAを超えていないから大丈夫」と判断できません。
三菱電機のUPSカタログも、接続機器のWとVAの合計が、それぞれ定格以下であることを選定条件にしています。仕様のどちらか片方だけを比較しないでください。
負荷の力率PFが分かると、次の関係でVAを求められます。
負荷のVA = 負荷のW ÷ 負荷の力率PF
一方で、製品の定格が1000VA/600Wなら、その定格比は0.6です。この数字を、PCの力率として代入してはいけません。PC電源の方式だけから力率を固定することも避け、計測値や仕様を確認します。
VAは出力の容量であり、バッテリーのエネルギー量そのものではありません。500VA・1000VAといった容量名から「何分動く」と一律には計算できません。APCのUPS選定案内も、出力容量と必要な実行時間を選定項目として説明しています。
最初に、停電中も動かす機器を決めます。PCだけが動いても、必要なNASやネットワーク機器が落ちる構成では、保存先への書き込みや遠隔操作を続けられません。
| 機器 | バックアップする理由 | 消費電力を確認する条件 |
|---|---|---|
| 自作PC | 作業保存、処理停止、安全な終了 | 実際に使う高負荷処理中 |
| モニター | 停電後に画面で終了操作をする | 使用する明るさと表示設定 |
| NAS | 書き込み完了とシステム終了 | ドライブ稼働中、実行する処理 |
| ルーター・スイッチ | NASや管理画面への接続を保つ | 常用状態、給電する機器を含む |
NASの構成を決めている段階なら、NAS構築ガイドでドライブ台数や用途を整理してから、UPSの負荷表を作ります。不要なモニターや周辺機器まで入れると、必要なバッテリー容量が増えます。
850W電源は、PCが常に850Wを消費するという意味ではありません。CPUのTDPとGPUの公称消費電力を足した値も、PC全体の壁側消費電力とは一致しません。電源の変換損失、メモリ、ドライブ、周辺機器なども関係します。
電力計で測る場合は、UPSに接続する予定の機器を対象にします。起動、ゲーム、書き出し、バックアップなど、実際の用途で数値を記録してください。ただし、一般的な電力計で短い突入電流まで捕捉できるとは限りません。起動時の負荷と許容条件は、機器とUPSの仕様でも確認します。
編集部は、アイドル時の低い実測値だけでUPSを選ぶ方法を勧めません。普段の最大負荷を記録し、容量の余裕と終了時間を確認する順序にします。
以下は計算方法を示す仮定の例です。特定のPC構成を測った数値や、製品の保証値ではありません。
| 接続機器 | 仮定する消費電力 |
|---|---|
| PC本体 | 300W |
| モニター | 40W |
| NAS | 40W |
| ルーター | 10W |
| 合計 | 390W |
この例の負荷は300+40+40+10=390Wです。計算に含めた機器が、UPSのバッテリーバックアップ側のコンセントに接続されることも確認します。雷サージ保護だけのコンセントがある製品では、接続先を間違えると停電中に動きません。
合計負荷の力率を仮に0.9とすると、390÷0.9=約433.3VAです。実際の力率が不明なら、0.9を保証値として使わず、VAを測るか、機器メーカーへ必要な値を確認してください。
機器別にWとVAが分かるなら、それぞれを合計して上限と比較します。全機器へ同じ力率を割り当てるより、確認できた個別の値を使う方が判断しやすくなります。
今回は設計上の例として30%の余裕を取ります。全製品に必要な一律の値ではなく、追加機器や負荷の変動を見込むための仮定です。
必要Wの目安 = 390 × 1.3 = 507W
必要VAの目安 = 433.3 × 1.3 ≒ 563.3VA
仮に定格が1000VA/600WのUPSなら、この例の507Wと563.3VAは両方収まります。次に、この機種が実際の390W負荷で何分動くかを、メーカーの時間表で調べます。507Wは余裕込みの出力選定値であり、常時の実負荷とは分けて扱います。
| 仮の定格 | 507Wを供給できるか | 563.3VAを供給できるか | この計算例での扱い |
|---|---|---|---|
| 650VA/400W | いいえ | はい | W不足で候補から外す |
| 500VA/450W | いいえ | いいえ | 余裕を含めると両方不足 |
| 1000VA/600W | はい | はい | 時間表と互換性の確認へ進む |
2026年10月5日に確認したOMRONの公式仕様(BWシリーズ・BNシリーズ)では、BW55Tは550VA/340W、BN50Tは500VA/450Wです。VAの大きい方がWも大きい、という並びにはなりません。
| 製品 | 定格VA | 定格W | 出力波形 | 390Wの例との関係 |
|---|---|---|---|---|
| OMRON BW55T | 550VA | 340W | 正弦波 | 余裕を付ける前からW上限を超える |
| OMRON BN50T | 500VA | 450W | 正弦波 | 30%の余裕を含む507W・563.3VAを満たさない |
これは容量の読み方を示す比較です。両機種を390W構成の購入候補として推奨する表ではありません。VAだけの比較、あるいは製品名の数字だけで候補を決めないでください。
実際の候補は、定格、負荷時の持続時間、出力コンセント数、OSとの連携、設置条件、交換バッテリーの入手性を同じ表で比較します。価格だけでなく、保守を続けられるかも確認してください。
停電検知、書き込み終了、アプリ停止、OS終了に必要な時間を合計します。手動操作を予定するなら、停電に気づくまでの時間も含めます。長時間作業を続ける用途と、安全に終了する用途では選ぶ条件が変わります。
編集部は、家庭のNASや自作PCでは、まず終了処理を完了するための時間を確保する方針です。「10分動けば十分」と固定せず、自分の機器の終了時間を確認して決めてください。
BWシリーズの公式仕様では、時間の目安に周囲温度25℃・バッテリー初期状態という条件があります。負荷やバッテリー状態が変われば、同じ時間が続く保証にはなりません。
同じシリーズでも容量別の表を取り違えないようにします。希望する負荷点の記載がない場合は、メーカーの選定ツールや問い合わせを使ってください。VA容量から直線的に持続時間を換算する方法は避けます。
UPSにUSB端子があっても、使うWindows、Linux、NASが対応しているとは限りません。メーカーの対応ソフト、NASメーカーの互換表、通知方法を確認します。複数機器を終了させる場合は、USB接続先の1台が止まった後の通知も設計します。
導入後はメーカーの手順でテストし、停電通知と自動終了が意図どおり動くことを確認します。運転中に電源コードを抜く独自テストを始める前に、製品の試験手順と注意事項を読んでください。
正弦波/矩形波などは出力波形です。常時商用、ラインインタラクティブ、常時インバーターなどは給電方式です。「正弦波だから常時インバーター」とは判断できません。接続機器が要求する波形、切替時間、使用可能条件を各製品の仕様で確認します。
レーザープリンターや暖房器具などを、PC用UPSへ一緒に接続する前提で計算しないでください。機器の種類、起動時の負荷、接続制限はメーカーの指示を優先します。入力コンセントの定格、放熱、騒音、設置温度も候補を絞る条件です。
交換時期や手順は製品と使用条件で変わります。警告表示を放置せず、メーカー指定の交換部品と手順に従ってください。内部を分解して清掃・改造する方法は、通常の保守として勧めません。
停電対策は、データの別保存と組み合わせます。UPSがあっても誤削除やストレージ故障には戻れないため、Kopiaのバックアップ手順で復元も確認しておくと役割を分けられます。
違います。定格VAと定格Wをそれぞれ確認してください。同じVAでも定格Wは機種ごとに異なります。負荷側もWとVAの両方を確認し、片方でも上限を超える製品は選びません。
0.7をすべてのPCに共通の値として使うことは勧めません。負荷のVAを測るか、機器仕様を確認します。UPSの定格W÷定格VAの数字を、接続PCの力率として代用しないでください。
容量名だけでは決まりません。機種ごとのバックアップ時間表で、実際の負荷Wに対応する時間を確認します。バッテリーの状態や温度など、表に記載された条件も合わせて読みます。
この計算例で置いた設計上の仮定です。追加機器や負荷変動を見込む余裕は必要ですが、割合は運用条件とメーカーの選定指示で決めます。余裕を付けても、実測や時間表の確認を省略できません。

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